TPP新協定を公表 米離脱で20項目の凍結など明記

TPP新協定を公表 米離脱で20項目の凍結など明記
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TPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加11か国が協定の発効で大筋合意したのを受けて、共同議長を務める茂木経済再生担当大臣らが記者会見して合意内容を発表しました。新たな協定には、アメリカの離脱を受けて20の項目の実施を先送りして「凍結」することや、6か国が国内手続きを終えると協定が発効することが明記されています。
TPP協定の参加11か国の閣僚会合で、離脱したアメリカを除いて協定を発効させることで大筋合意したのを受けて、共同議長を務める茂木経済再生担当大臣とベトナムのアイン商工相がベトナム中部のダナンで記者会見し、新たな協定を発表しました。

それによりますと、焦点となっていたアメリカの離脱を受けて実施を先送りする「凍結」項目は合わせて20で、医薬品の開発データの保護期間や著作権の保護期間など「知的財産」に関する項目が多く含まれています。

また、海外に進出した企業がその国の急な制度の変更などによって損害を受けた場合、国を相手取り国際的な仲裁機関に訴訟を起こすことができる「ISDS条項」と呼ばれる制度の一部なども凍結の対象となりました。日本政府の関係者は「こうした項目が凍結されることによる日本への影響は極めて限定的だ」と述べました。

11か国は、将来的にアメリカが復帰した際には、凍結を解除することで一致しており、協定には、アメリカの復帰が見込まれる場合やいずれかの締約国の要請がある場合などに、内容の見直しを行うことも明記されました。

また、協定の発効条件は参加国の半数以上に当たる6か国が国内手続きを終えることとしているほか、名称をTPPから「CPTPP」にするとしています。

共同記者会見で茂木大臣は、「極めて短期間で高い水準を維持したバランスの取れた内容になった。アメリカやほかのアジア・太平洋諸国、地域に対しても積極的なメッセージとなったのではないか」と述べ、意義を強調しました。

今回の閣僚会合では、いったん大筋合意が確認されたものの、その後カナダが異論を唱え、予定されていた首脳会合が開催できない事態となり、11か国が足並みをそろえて協定を発効に導けるのか不安も残す結果となりました。

共同議長「各国の利益保てる合意」

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加11か国が協定の発効で大筋合意に達したことを受けて、共同議長として茂木経済再生担当大臣とともに会見に臨んだベトナムのアイン商工相は、「高い自由化の水準を維持しながら、各国の利益を保てる合意となった。自由貿易を促進し、地域における経済協力を高める内容だ」と述べ、大筋合意の内容を評価しました。

そのうえで、アイン商工相は「アメリカが離脱したときは、TPPの枠組みを維持することは難しいと考えられていた。まだ完全に合意できていない点も残っているが、難しい部分はもう終わり、確実に新しい協定の実現に近づいている」と述べました。

カナダ トルドー首相「引き続き取り組むべき作業がある」

いったん閣僚会合で大筋合意された後に、異論を唱えたカナダのトルドー首相が、現地で記者会見しました。この中で、トルドー首相は、「新たな協定の枠組みが進展したことに満足している。しかし、引き続き取り組むべき作業があり、カナダ国民の利益のため、時間をかけて交渉していく」と述べ、労働や環境規制などの分野を例に挙げて、協定の発効に向け慎重に対応する考えを示しました。

またカナダが異論を唱えたことで、予定されていたTPPの参加11か国の首脳会合が開催できなくなったことについては、「安倍総理大臣と会談する中で、首脳会合を延期することが各国の利益になることがはっきりした」と説明しました。

さらにアメリカとの間で継続中のNAFTA=北米自由貿易協定の再交渉が、TPPでのカナダの交渉姿勢に影響したのではないかという質問に対して、トルドー首相は、「それは違う」と否定しました。

経団連会長「戦略的な意義大きい」

経団連のサカキ原会長は「アメリカが離脱を表明して以来、日本政府が発揮してきたリーダーシップのたまものであり、心から歓迎する。内向き志向の政策や保護主義的な動きが世界的に広まることが懸念される中で、アジア太平洋地域にまたがる包括的で高水準の貿易投資に関するルール作りが前進することの戦略的な意義は大きい」というコメントを出しました。
(※木へんに神) 

農相「農林漁業者に説明尽くす」

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加11か国が協定の発効で大筋合意したことについて、齋藤農林水産大臣は、「農林漁業者などの懸念と不安を払拭(ふっしょく)するため、合意内容についての説明を尽くすとともに経営安定対策を講じていきたい。また、国際競争力を強化し、農林水産業を成長産業とするための体質強化策を確実に実施していく考えだ」というコメントを出しました。

専門家「輸出拡大や関係強化に効果」

シンガポールのシンクタンク、「RSIS」のフィデル・ビネレスシニアアナリストは、シンガポールやベトナムなどTPPに参加するASEAN=東南アジア諸国連合の国々への影響について、「アメリカ市場へのアクセスはないが、高いレベルでの自由貿易の枠組みで合意できたため、日本をはじめとする参加国への輸出拡大や関係強化に効果がある」と話しています。

また、TPPから離脱したアメリカについては「ASEANにおける政治的、経済的な影響力が低下するおそれがある。多国間の枠組み作りは、日本や、RCEP=東アジア地域包括的経済連携に参加する中国がリードしている状況だ。ASEANはアメリカ以外の市場に活路を見いだそうとするため、中国はRCEPを通じてさらなる影響力をもてるようになる」と分析しています。

TPP新協定を公表 米離脱で20項目の凍結など明記

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加11か国が協定の発効で大筋合意したのを受けて、共同議長を務める茂木経済再生担当大臣らが記者会見して合意内容を発表しました。新たな協定には、アメリカの離脱を受けて20の項目の実施を先送りして「凍結」することや、6か国が国内手続きを終えると協定が発効することが明記されています。

TPP協定の参加11か国の閣僚会合で、離脱したアメリカを除いて協定を発効させることで大筋合意したのを受けて、共同議長を務める茂木経済再生担当大臣とベトナムのアイン商工相がベトナム中部のダナンで記者会見し、新たな協定を発表しました。

それによりますと、焦点となっていたアメリカの離脱を受けて実施を先送りする「凍結」項目は合わせて20で、医薬品の開発データの保護期間や著作権の保護期間など「知的財産」に関する項目が多く含まれています。

また、海外に進出した企業がその国の急な制度の変更などによって損害を受けた場合、国を相手取り国際的な仲裁機関に訴訟を起こすことができる「ISDS条項」と呼ばれる制度の一部なども凍結の対象となりました。日本政府の関係者は「こうした項目が凍結されることによる日本への影響は極めて限定的だ」と述べました。

11か国は、将来的にアメリカが復帰した際には、凍結を解除することで一致しており、協定には、アメリカの復帰が見込まれる場合やいずれかの締約国の要請がある場合などに、内容の見直しを行うことも明記されました。

また、協定の発効条件は参加国の半数以上に当たる6か国が国内手続きを終えることとしているほか、名称をTPPから「CPTPP」にするとしています。

共同記者会見で茂木大臣は、「極めて短期間で高い水準を維持したバランスの取れた内容になった。アメリカやほかのアジア・太平洋諸国、地域に対しても積極的なメッセージとなったのではないか」と述べ、意義を強調しました。

今回の閣僚会合では、いったん大筋合意が確認されたものの、その後カナダが異論を唱え、予定されていた首脳会合が開催できない事態となり、11か国が足並みをそろえて協定を発効に導けるのか不安も残す結果となりました。

共同議長「各国の利益保てる合意」

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加11か国が協定の発効で大筋合意に達したことを受けて、共同議長として茂木経済再生担当大臣とともに会見に臨んだベトナムのアイン商工相は、「高い自由化の水準を維持しながら、各国の利益を保てる合意となった。自由貿易を促進し、地域における経済協力を高める内容だ」と述べ、大筋合意の内容を評価しました。

そのうえで、アイン商工相は「アメリカが離脱したときは、TPPの枠組みを維持することは難しいと考えられていた。まだ完全に合意できていない点も残っているが、難しい部分はもう終わり、確実に新しい協定の実現に近づいている」と述べました。

カナダ トルドー首相「引き続き取り組むべき作業がある」

いったん閣僚会合で大筋合意された後に、異論を唱えたカナダのトルドー首相が、現地で記者会見しました。この中で、トルドー首相は、「新たな協定の枠組みが進展したことに満足している。しかし、引き続き取り組むべき作業があり、カナダ国民の利益のため、時間をかけて交渉していく」と述べ、労働や環境規制などの分野を例に挙げて、協定の発効に向け慎重に対応する考えを示しました。

またカナダが異論を唱えたことで、予定されていたTPPの参加11か国の首脳会合が開催できなくなったことについては、「安倍総理大臣と会談する中で、首脳会合を延期することが各国の利益になることがはっきりした」と説明しました。

さらにアメリカとの間で継続中のNAFTA=北米自由貿易協定の再交渉が、TPPでのカナダの交渉姿勢に影響したのではないかという質問に対して、トルドー首相は、「それは違う」と否定しました。

経団連会長「戦略的な意義大きい」

経団連のサカキ原会長は「アメリカが離脱を表明して以来、日本政府が発揮してきたリーダーシップのたまものであり、心から歓迎する。内向き志向の政策や保護主義的な動きが世界的に広まることが懸念される中で、アジア太平洋地域にまたがる包括的で高水準の貿易投資に関するルール作りが前進することの戦略的な意義は大きい」というコメントを出しました。
(※木へんに神) 

農相「農林漁業者に説明尽くす」

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の参加11か国が協定の発効で大筋合意したことについて、齋藤農林水産大臣は、「農林漁業者などの懸念と不安を払拭(ふっしょく)するため、合意内容についての説明を尽くすとともに経営安定対策を講じていきたい。また、国際競争力を強化し、農林水産業を成長産業とするための体質強化策を確実に実施していく考えだ」というコメントを出しました。

専門家「輸出拡大や関係強化に効果」

シンガポールのシンクタンク、「RSIS」のフィデル・ビネレスシニアアナリストは、シンガポールやベトナムなどTPPに参加するASEAN=東南アジア諸国連合の国々への影響について、「アメリカ市場へのアクセスはないが、高いレベルでの自由貿易の枠組みで合意できたため、日本をはじめとする参加国への輸出拡大や関係強化に効果がある」と話しています。

また、TPPから離脱したアメリカについては「ASEANにおける政治的、経済的な影響力が低下するおそれがある。多国間の枠組み作りは、日本や、RCEP=東アジア地域包括的経済連携に参加する中国がリードしている状況だ。ASEANはアメリカ以外の市場に活路を見いだそうとするため、中国はRCEPを通じてさらなる影響力をもてるようになる」と分析しています。