◆ザ・サークル / The Circle 感想◆
評価/オススメ:★★★★
この作品ジャンルは?:スリラー
オススメしたい人は?:SNSを利用するすべてのネットユーザー
印象を一言で?:当たり前のツールとなっているからこそ、違和感を感じない怖さ。
グロテスクですか?:そうした描写はありません。
◆synopsis◆
世界NO.1のシェアを誇る超巨大SNS企業<サークル>
創始者であり、カリスマ経営者のベイリーが掲げる理想は
全人類がすべてを隠す事なくオープンにする完全な社会、だ。
大きな輪を意味する<サークル>では、誰もがいつでもつながりあい、互いの体験をシェアしあい、最高に刺激的な毎日を送ることができる。
憧れの最先端企業<サークル>に採用され、日々奮闘する新人のメイはある事件をきっかけにベイリーの目に留まり、画期的な新サービスの実験モデルに抜擢される。
それは至る所に設置された小型カメラにより、「自らの24時間をすべて公開する」というもので、彼女は瞬く間に1,000万人以上のフォロワーを獲得し、一躍アイドル的な存在となる。
ベイリーの理想「全人類の透明化」を実現するために、更なる公開実験が始まる。
熱狂とともに始められたその実験は無数の「善意」という仮面を被った「監視・追跡」サービスだった・・・・
果たして、個人のプライバシーは電子の海に投影することはできるのだろうか?
※公式HPより
※ネタバレ防止に付き、一部文月加筆訂正
◆comment◆
2017/11/10から公開です。
今回の予告編は結構素敵。
上手に編集されていて、本作の魅力を過不足なく表現していますな。
ただし、本作を観て、恐怖や違和感を感じなかった方もいるのではないでしょうか?
それはまさしく「ニュータイプ」であって、
わたしのように「怖い」と思う方が
「時代が変わったというのか?エマちゃんみたいなのが24時間見られてケロッとしているとはな!?」
とランバ・ラル大尉とともに後退するしかなくなるのですな。
・・・
人は独りでは生きていけない、だから家族と繋がる。
その家族も彼らだけでは生きていくのは難しい、だから地域が生まれる。
その小さなコミュニティだけでは立ち行かない、だから村ができ、村が集まり街となり、国となる。
はるか昔、世界は平らだった。
水平線の向こうには崖があって、すべてのものが底に落ちてしまうと信じられていた。
しかし地球平面説が常識とされていた時代でも、世界の概念は丸いものだった。
世界を表すのにもっとも役に立ったのは、見上げた空に浮かんだ太陽と月だったのかも知れないのではないかと個人的には思う。
時は進んで現代においても、もちろん、世界は丸い。
あたかもそれはすべての事象の象徴であるかのように。
ザ・サークル。
それは人と、世界と、その双方を表しているシンボルだ。
そしてわたしたちは物理的なサークルの上で暮らしているだけでなく、0と1から成り立つ電子のサークルの中でも暮らしている。そしてそれをもはや手放すことはできないのだ。
この作品が取り扱っているのは、熱狂であり、世界と接続するという曖昧な動機による安心、孤独感、自己満足を「ただ描いている」
この作品自体が何かわたしたちに教訓を垂れているのではないのです。
今の現実をただただ描いているだけ。
それがかえって、恐ろしい怨霊や怪物、怪奇現象とは別の意味での恐怖を掻き立てる。
題材自体が新しいという訳ではないですね。
群集心理やある種の熱狂の中で正常な判断を失うという展開がこの作品の基軸になるのだけど、それ自体は近年の作品だとパッと思いつくものだと
「THE WAVE」
「クーデター」
「23分間の奇跡」
「蝿の王」
なんかで既に描かれている。
個人的には、世にも奇妙な物語版の23分間の奇跡は未だにトラウマものです。
ただし、これは「ある特殊な状況」の中で繰り広げられる狂気なのです。
本作が新しいという点は「もうすでにわたしたちが疑問も持たないで受け入れている状況」の狂気を描いている点ですな。
ザ・サークルはGoogle、アップル、フェイスブック、ツイッターをはじめとしたwebサービスをいってみればひとつに統合させたようなサービス。
ひとつの企業が、個人のすべての生活を掌握している状況であり、それを利便性の名のもとにすんなり受け入れている、ものすごく活用している、わたしたちを描いています。
作中描かれるのは、「よく見慣れた」ジョブズスタイルのプレゼンテーションだし、典型的なIT企業のオフィス、端末、サービスだ。
それらを違和感なく見ていられること=すでにこの作品の描く狂気に自分も参加していることに他ならない。
たった一言、たった一枚の写真をポストしただけですべてを失うリスクのもう一つ先、
そこで暮らしていること、で世界中に追われるというリスク。
残念ながら、オチもそれほどすごくないのです。
結局自分のことは秘密にしたいという、陳腐なものに。
しかし、「自分のプライバシーなんだし当たり前だろう」と思ったあなた。
少しお待ちを。
あなたがメールやチャットも含めて、誰とも繋がっていないというのなら、それは正しいのです。
結局世界とつながることとは、リツイートも、ファボも、ブクマも、見えない多数に自分の評価を丸投げしているということになる。
丸投げしたくせに、その価値に依存して一喜一憂する。
わたしは例えば作家気取りの方が、SNSなどで何万字書いて、どのくらいブックマークされただとかを指標にされているのをよく見かけますが、正直なところウンザリすることが多いです。
それでは10万字書いたら不朽の名作なのか?10時間の映画が、永久に残る傑作なのか?
単純にそう感じるからです。
しかしながらテクノロジーによって、自分の生活を切り売りしているのが現代のSNSのどうしようもない側面ですな。
いいね!のために生きている、というのは、映画そのものを象徴するコピーではなくて、
この映画が描いている現代のわたしたちの側面にこそ用いられるものですな。
あ、ジョン・ボヤーガは本作ではダークサイドには落ちません!
ご安心を(笑)!
エマ・ワトソンがどんどん世界に身を投げ出していくプロセスには、彼女の嬉々とした表情も含めて、本当にホラーを感じました。
2017年映画鑑賞 201本目
post from #pixelbook
◆overview◆
・原題:The Circle 2017年公開
・上映時間:110分
・監督:ジェームズ・ポンソルト
代表作:『人生はローリングストーン』
・脚本:ジェームズ・ポンソルト デイブ・エガーズ
・メイン・キャスト
エマ・ワトソン
トム・ハンクス
ジョン・ボヤーガ
カレン・ギラン
エラー・コルトレーン
現代的であり、ちょっと興味深い題材ですね!
返信削除観に行こうかな?
トム・ハンクスとその相方は○ップルを彷彿とさせてウケますよ♩
削除プレゼンシーンのみんなイッチャッテルところは必見!