雑誌「日経レストラン」今月の特集・顧客リストを眠らせるな!
上客のみに、手書きで誕生日・記念日専用の会席プランの提案を送っている。写真上は、カニのほぐし身サラダ。店からの1品としてプレゼントする場合もある
リスト集めの基本は笑顔と会話
一般的なのは当然、アンケートだが、問題はどうやって氏名や住所まで書いてもらうかだ。アップ・トレンド・クリエイツの白岩大樹氏は「第一印象の笑顔が大切」と話す。入店時に、店のスタッフに良い印象を持てなければ、その分だけ、アンケートに答える意欲が減少するためだ。「まず、笑顔で接客することを意識すること。こちらが笑顔だと分かれば、お客様も笑顔になるはず。逆に言えば、お客様が笑顔になったときの自分の表情を覚えておいて、その表情で接客するように意識すること」。
アンケートはテーブルに置いておくだけでは、高い回答率は期待できない。自然な流れで会話をし、食事や会話の邪魔にならないように、アンケートの記入をお願いすることが必要だ。
「松屋」の場合、接客スタッフが、桶に入れた調理前のワタリガニをお客の前まで持って行き、「縛っているのは、水槽の中でケンカしないようにするためなんですよ」などと説明することで、自然な会話のきっかけを作っている。
接待などのお客には話しかけにくそうだが、「何かを売り込もうとしなければ、結構、話をしていただける」(濱田氏)。アンケートの対象は初来店のお客のみ。記入をお願いするのは、デザートを食べ終えたタイミングだ。「茶碗蒸しは熱すぎませんでしたか?」などと何気ない会話を重ねることで、アンケートの回答率は高まる。
「松屋」で聞いているのは、氏名と住所以外には、「誕生日」や「記念日」「食べられない食材(アレルギーも含む)」といった事柄だ。その情報をもとに、毎月40 ~60人の「誕生日」や「記念日」を迎えた一部の常連客のみに、特別な会席コースの提案を封書で送っている。文面はすべて手書きだ(ページ上)。
その常連客が食べられない食材を必ず除く一方で、常連客の顔を濱田氏が思い浮かべながら、その季節の旬の食材を使ったコース料理を提案している。封書を受け取ったお客のうち、少ない月でも4組、多い月には14組も来店するほど好評だ。
以前は予算別の誕生日コースを作り、それを印刷したものを送っていた。月に40通を送って、1 ~2組しか来店しなかったこともあったという。手書きが与える「特別感」の威力は絶大だ。
「松屋」の場合、前出の誕生日向け封書以外にも、毎月送っているハガキは、宛名や、書き添える簡単な挨拶文をすべて手書きにしている。毎月1000枚以上のハガキを手書きするため、料理人も含めたスタッフ全員で手分けして行っている。1人で1時間に30枚は書けるという。
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