雑誌「日経レストラン」今月の特集・顧客リストを眠らせるな!
写真左は、店の看板料理「わたりがに塩焼き」。その写真だけのDM(写真上)が高い反響を呼んだ。料理写真に力を入れたことも、リピート客が増えた一因
セールス目的以外のDMを送る
と言っても、セールの告知DMを数打って集客を図っているのではない。DMを送るのは、お客との信頼関係を作り、それを保つため。だから、「松屋」ではお客に、来店のお礼状だけでなく、1 ~2カ月に1度の頻度で、季節の挨拶だけを目的としたハガキを送っている。来店を促す内容は一切書かない。一方で、商品をPRする販促のDMは年間4回だけと決めている。例外は、一部のお客だけに送る誕生日や記念日向けの特別コースを提案する封書のみだ。
お客が飲食店に再来店しない最大の理由は、「何となく」。何か特段の理由があるわけではないと言われている。店を忘れさせないという意味で、季節の挨拶を定期的に送ることは十分な意義がある。
また、セールス目的以外のハガキを継続して送ってくる店は珍しいので印象にも残る。その生真面目さが、店への信頼感を生む。人生経験が豊富で、継続して何かを続けることの難しさを知る年配客なら、なおさらのことだ。
セールス目的ではないハガキには、何となく店に来づらくなっている人に、「また来てください」と伝える効果もある。それを濱田氏が実感したのは、あるお客がハガキを持って店に来店し、「また店に来てもよかったんだ」と喜んでくれた出来事。しばらく来れなかったことで、来店をためらっていたのだ。店側からすると、再来店をためらう理由にならないと思うことでも、お客がそう考える場合もある。
では、なぜ「松屋」のハガキにこれほどの効果があるのだろう。それは「お客と良い関係を作れるかどうかは、日頃、どれだけお客とコミュニケーションを取れているか次第のため」と集客UP塾の土屋薫氏は指摘する。つまり、「松屋」のハガキは、あくまで手段で、コミュニケーションが取れるなら、その手段は「フェイスブック(Facebook)」や「ツイッター(Twitter)」でも構わない。無論、「松屋」のように、年配のお客が多いなら、ハガキを選ぶのが妥当な戦略だ。
前ページのハガキは、250通を送り、50組もの来店があった販促のDM。店の看板料理「わたりがに塩焼き」の写真だけで価格さえも書かれていないにもかかわらず、高い反応があった。良好な関係を築くことが、お客への高い販促効果につながることがよく分かる事例だ。
「松屋」ほど徹底しなくても、DMを送る前に、必ずすべきこととして専門家が口をそろえるのが、来店のお礼状を送ること。来店から1週間以内に送ることがポイントで、セールスではなく、感謝の気持ちを伝えるだけにとどめる。「住所を聞いて、友人や知人に手紙を書くときに、いきなりお願い事を書いたりはしないでしょう。それと同じ」と土屋氏。友人・知人でも、お客でも、良好な関係を作るポイントは変わらない。
では、DMを送るために欠かせない顧客の情報はどうやって集めるべきなのだろうか。
創業から48年の老舗:「割烹 松屋」が現在の場所に移転したのは32年前。個室タイプの和室はゆっくりできると人気だ
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