雑誌「日経レストラン」今月の特集・顧客リストを眠らせるな!
割烹 松屋
(和食店、大阪府泉佐野市)
次々と姿を消す高客単価の和食店。売り上げが大きく落ち込んだある老舗は、来店客の情報を集めて、手書きのお便りを送り続けることで再生を果たした。その手法から学ぶべき点は多い。
会話の回数が重要:その日に調理する食材の説明をすることで、自然に会話ができる関係を作っている
「やっていなければ、潰れていただろう」──。大阪の和食店「割烹 松屋」(以下、松屋)の二代目店主、濱田憲司氏が、老舗の再生を賭けて、地道に顧客情報を集め、ダイレクトメール(DM)を送り始めたのは、今から5年前の2007年のことだった。
創業は1964年。ワタリガニ料理の専門店という珍しい業態で、夜だけで3回転するほどの人気店だった。地元の中小企業経営者を数多く得意先に抱えていたが、バブル崩壊後、ジリジリとお客が減少。得意先には掛売り(後で集金する売り方)をしていたが、気が付くと、「最盛期で150社あった得意先の8割くらいが潰れていた」(濱田氏)。
濱田氏が経営を引き継いだのは2004年。月商は一時、350万~400万円まで落ち込んでいたが、今では月商600万~700万円となり、業績は安定している。送迎サービスや飲み放題プランもやめたので、収益力も高まった。このV字回復の要因の1つは、顧客情報の巧みな活用だ。
現在の平均客単価は1万5000円。メーンの客層は60 ~70代の富裕層だ。これまでに集めた顧客の情報は6000人分。「1年以内の来店客」、「2年以内の来店客」、「その他」の3つに区分して管理している。計画的にDMを送るようになって、客単価の高い店ながら、景気の浮き沈みから影響を受けることが無くなった。
松屋では、毎月1000枚から多い時で3000枚のハガキを、1 ~2年以内の来店客を中心に送っている。DMのコストは、ハガキ1枚80円。毎月1000枚のハガキを出せば、そのコストは8万円だ。
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