crage(クラゲ)・ACT NOW(アクトナウ)
crage(クラゲ)・ACT NOW(アクトナウ)
大阪 匡史
クラウドファンディングがやっていることは、こうやったら社会がもっと良くなるという可能性の検証です。
杉山 央
「クラウドファンディング」という言葉を聞いたことがありますか?「クラウド(crowd)」は群衆という意味で、インターネットを介して不特定多数の人々から少額の資金を集める仕組みのこと。2000年代後半から欧米で広まり、日本でも2011年以降次々とクラウドファンディングサービスがスタート。札幌にも「crage(クラゲ)」と「ACT NOW(アクト ナウ)」という2つのクラウドファンディングが登場しました。株式会社ACT NOW代表の杉山央さん、crage実行委員会代表の大阪匡史さんにお話を伺いました。
「ACT NOW」は、「初音ミク」で有名なクリプトン・フューチャー・メディアと赤れんが法律事務所の弁護士である杉山央さんが立ち上げたクラウドファンディング。「北海道の地域活性化」をコンセプトに、2015年4月から運用を開始。「小樽にコミュニティカフェをつくる」「北海道の魅力を発信する多言語フリーペーパーをつくる」などのプロジェクトが目標額を集め、実現に向けて動き出しています。2014年10月から運用が開始された「crage」は、「大通公園のベンチを塗り替える」「太陽光発電を利用したビアバーを出店する」といった札幌のプロジェクトを支援するクラウドファンディング。札幌のコワーキングスペース「ドリノキ」のメンバーを中心に企画・運営されています。
ACT NOWは、多くのクラウドファンディングと同様に、インターネット上で支援金の決済を行います。支援額も500円からと気軽で、金額に応じて特典がつくところが人気のポイント。一方、crageの決済方法はユニークで、窓口となる札幌市内のお店に足を運び、支援したい額のサポートカードを購入することで決済します。例えば、2015年8月25日まで支援募集中の「太陽光発電を利用したビアバー」のプロジェクトの場合は、クラフトビールを飲める店などでサポートカードを取り扱い中。お客さんが「面白そう!」と購入していくケースが多いそうです。大阪さんはこの決済方式にした理由を、「札幌のまちでお金が動くことで、札幌にとって価値のあるプロジェクトが実行される仕組みをつくりたかった」と話します。
クラウドファンディングは、「単にお金集めをするためだけのサービスではない」と二人は口を揃えます。「さまざまなプロジェクトを通して、人々の潜在的なニーズを図れるところが魅力」と大阪さん。杉山さんは「クラウドファンディングがやっていることは、社会がもっと良くなる可能性の検証なんです」と言います。「検証だから、失敗したっていい。僕らは、プロジェクトが目標額に達成しなかった場合、もう一回挑戦してみませんか?と声をかけます。そうやって、より多くのアイデアを実行に移すことで、北海道や札幌をどんどん面白くしたいと考えています」。
タイプの異なる二つのクラウドファンディング。「ACT NOW と crage が連携してひとつのプロジェクトを同時に募集すれば、もっと盛り上げることが可能かも」という話も飛び出しました。まずは、それぞれのサイトをチェックしてみてください。興味を引かれるプロジェクトを見つけたら、一緒に実現を目指してみませんか?
株式会社アクト ナウ 代表取締役
1980年札幌生まれ。北海道大学大学院卒業後、東京の法律事務所に入所。その際、ベンチャー企業やIPO及び上場維持に関する法的支援、VC投資、M&A・IPOの法務DDを中心に業務を行う。29歳で札幌に戻り、『赤れんが法律事務所』を設立。所長に就任。札幌をはじめ、日本国内に顧問先も多数。上場会社の独立取締役他、札幌ビズカフェ事務局長も務める。
crage実行委員会代表
コピーライター。1973年札幌生まれ。札幌西高等学校、北海道大学工学部建築工学科卒業。フリーランスのコピーライターとして企業・大学などの広告・広報媒体の企画・ライティングを担当。2012年よりコワーキングスペース「ドリノキ」内にオフィスを構え、「crage」をはじめとした札幌のまちづくり関連プロジェクトにも参加している。