絶妙な打鍵感とTrackPointを備えるキーボード――Lenovo(旧・IBM)の「ThinkPad」シリーズを語る上で外せない要素だ。
その25周年記念モデル「ThinkPad Anniversary Edition 25(ThinkPad 25)」は、約5年前までのキーボードを“復刻”していることで大きな話題となった。
ThinkPad 25のキーボードはきちんと“復刻”できているのだろうか。あれこれ思い出しつつ、実機を使って確かめてみよう。
ThinkPad 25のキーボードを語る前に、まずはThinkPadのキーボードを振り返ってみよう。
1992年に登場した「ThinkPad 700C(PS/55note C52 486SLC)」のキーボードは、デスクトップPC用キーボードの配列を極力崩さず、業務システムで必要なシステムキーを省かないことを主眼に置いて設計された。端的にいえば、デスクトップPC用キーボードからテンキーを省いたキーボードを搭載した。
途中、「ThinkPad 240」や「ThinkPad 310」など例外はあったものの、ThinkPadのキーボードはThinkPad 700Cの配列を踏襲してきた。
今思うと、ThinkPadのキーボードが“変わる”予兆は2008年からあったのかもしれない。
この年にLenovo 3000シリーズの実質的な後継として登場した「ThinkPad SL」シリーズが6列キーボードを採用したのだ。ただし、ThinkPad SLのそれは出自ゆえであるともいえる。事実、他のシリーズには展開されなかった。
しかし2009年、「ThinkPad T400s」において7列キーボードに大きな変化が発生した。「Escキー」と「Deleteキー」が縦方向に大きくなり、それに伴い一部のシステムキーの位置がずれたのだ(参考記事)。
当時、T400sのキーボードについての議論がファンの間で起こったように記憶している。だが、ThinkPadのキーボードの“要”である7列は堅持していたこともあり、そこまで大問題になることもなかった。
その後、この新7列キーボードはTシリーズやWシリーズ(現在のPシリーズに相当)を経て、2011年にはXシリーズにも展開された。 少し配列は変わったものの、ThinkPadのメインストリームであるT/W/Xシリーズ(Classic ThinkPad)は7列キーボードのまま――この時、少なくとも筆者はそう思っていた。
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