2003年6月号ガバナー月信掲載記事  

 
ガバナー日記6月号
 
ロシア勉強会始まる
 
 ロータリーの5010地区(2510地区ではなく5010!)はウラル山脈東側とサハリン、カムチャッカ、アラスカの一部を含む世界でもっとも広大な地区の1つである。サハリンには既に3つのロータリークラブが誕生し、故富山惟夫PG、石垣博美PG、米山道男地区幹事などがかつてこれらのクラブを訪問したことがあり、すでに友好関係が結ばれている。また、近く数名の地区ロータリアンがサハリンを再度訪問する計画もある。こういったことは国際奉仕に関わるロータリアンの草の根の活動の1つであり、RIラタクル会長の言われるボトムアップの象徴でもあり、まことに結構なことと思う。
 
 国際奉仕員会のもとに友情交換委員会があるが、この委員会の中の新たに始まった国別部会では、いろいろな国々に関わる豊富な人材がわが地区にたくさんおられることでもあり、あらゆる角度の国際奉仕を是非活発な活動を進めていただきたいものである。
 
 ロシア部会は他の国々に比べ特に準備が先行してきた。これは札幌セントラルRCの長谷川久夫会員というロシア通のベテランがおられるお陰と思うのだが、5月6日(火)には札幌グランドホテルでサプリン在札ロシア総領事ら(挨拶のあと退席)を招いて懇談会が開かれた。
 
 ロシアだけでなく、オーストラリア、スリランカ、タイなどにも具体的な勉強、交流、支援が行われている。
 その他の全ての国々についても友好をめざして積極的な勉強会が欲しいと思う。いずれの国ともロータリアンの節度ある範囲内で関係者のコンセンサスを得ながら着実に一歩一歩前進していきたいものである。
やはり家庭を考えよう!
 「自分の家庭については特に何も考えたことがない」と言うロータリアンが意外と多い。誰だって無意識のうちに家庭を案じているのだろうが、それを表だって気にすることは余りないようだ。
 
 家庭奉仕委員会がわが地区に出来てから1年に近い。和田壬三委員長の熱意ですでに数回の勉強会がもたれ、また、第4・5グループ合同のIMには初めて家庭のことが話し合われ成功であったと思う。現在は十分幸せだから、と言えばそれまでだが、家庭のことは話し合えば合うほど、段々面白くなって将来への展望も見えて来るように思う。
 
 そんな折り、5月9日(金)pm6:00から「家庭」についての第3回ワークショップが函館の国際ホテルで開かれた。集まった人は第10・11グループの遠藤哲二(函館RC)、松見修二(函館北RC)の両ガバナー補佐をはじめ、クラブ会長・幹事・社会奉仕委員など35名。テーマは「日頃心がけている家庭奉仕」、「心がけたい家庭奉仕」(家族との共有体験、コミュニケーションなど)である。
 
 和田委員長の発案で参加者全員が自己紹介とともにテーマに沿い各自の家庭への奉仕の現状と理想を語り、後半は全員の討論となった。池上公介会員(札幌モーニングRC)、土橋信男会員(札幌幌南RC)、土橋芳美さん(土橋会員ご夫人)のアドバイスによって議論も盛り上がった。残念ながら時間制限で夜9時に終了。
 
 今回のワークショップでふだん家庭を考えたことのない人も家庭の大切さについて何か気付かれたのではなかったと思う。今回の企画に出て良かった、あるいはロータリーに入って良かったとの参加者の声も少なからず耳にした。私自身、家庭奉仕についての話を聞くことで、いつもさわやかな興奮を覚えるのである。
 
 最後に私は、みなさまは各クラブに戻られてから今回と同じような各自の家庭を語り合う機会を作っていただきたいとお願いした。そんな試みによって、これまで何となくタブー化されていたお互いの家庭観が見えてきて、それでまた会員間の親近感が一段と深まるのではないかと思うのである。
美唄は30年おめでとう!
 人間の30歳といえば一番働きざかりの青年である。若いといえば若いのだが、30歳ではすでに老化が始まっているのも事実である。
 美唄RC(大竹繁夫会長)の30年の式典とお祝いの会が5月10日(土)pm2:30から美唄市のホテルスエヒロで開かれた。周年行事の目的は、ただ飲んで食べて終わるのではなく、クラブ創設の頃の先人のご苦労を偲び感謝の気持ちを思い起こすこと、もう1つはこれからの5年、10年、20年先のクラブをどのように発展させていくかの決意を新たにすることではないか。
 式典の後、全員バスでアルテピアッツァという新設の彫刻広場に赴き、途中満開のさくらを鑑賞した。4時30分から祝賀会、井坂紘一郎美唄市長も参加。いつもながら人と人との不思議な縁を教えてくれるのもロータリーの隠れた魅力の一つと思う。
 
 辻野修ガバナー補佐のほか次年度の佐藤秀雄ガバナー・エレクト、木村照男代表幹事エレクトも集まり、和気あいあいの家庭的な会であった。それと、美唄RCの後藤三雄会員とのご縁で北見紋別から約30人に近いロータリアンの友情参加があったのには感激した。
IMをやるべきか否か


 かつて12グループの川田憲秀AG(白老RC)は、IMをやらないと宣言していた。その理由は設営の苦労もさることながら、多額の費用に見合っただけの成果がないのではないかとの危惧からだった。
 
 ところが、IMがなくともそれに代わる何かがあってもいいのではないかと、グループ内でその後いろいろの意見交換があったようだ。その結果、グループ内の4クラブ合同例会が5月12日(月)pm6:00からホテルニュー王子で開かれた。簡単な挨拶だけで余興など一切ないスマートなものであったが、和気あいあい楽しい会だった。ちなみに次年度IMはすべて原則中止とのこと。それでは淋しいとの声もあり、ただ中止ではなくIMに代わる何か新しい企画を創り出していけばよいのでないか。
職業奉仕のひとつ?
 自分の職業を通して社会の皆さんにお役に立つようなことをするのが職業奉仕の1つである。かねて札幌東RCの奥貫一之会員から当クラブの職業奉仕・社会奉仕委員会主催で社会福祉法人北海道リハビリーのデイケアに来られる近隣の方々に私の専門のがんの話をして欲しいとの依頼があった。5月15日(木)午後、清田区の一角にあるこの施設に着いたところ、清田RCの阿部哲夫会長、江口洸幹事はじめ数人もお見えになり、札幌東クラブの会員、地域住民ともども総勢60人ほどの方々が私の話を熱心に聴いて下さった。
 
タイトルは『私ができるがんの予防』ということで、難しい話は一切なしにして、どのような生活をすればどのくらいのがんの予防効果が期待できるかということをお話した。話が終わってからも質問が相次ぎ、皆さんの笑顔に支えられながら、時には笑い声をたてながら楽しく質疑応答をさせていただいた。がんは難しい病気だから話題にしたくないという思いが強いが、今ではがんはもっとも身近な病気になったし、これといかに上手に長く付き合っていくかの知恵が試される時代になってきたと思う。
 
 終わって御礼にということで、福祉施設に通う方々が作られた大小色々な柄の布袋を何点か頂戴した。また、子ども達が作ったカラフルな布袋もいくつもプレゼントされた。子ども達が慣れない手つきで苦労して作ったんだなぁと思いながら、見事な出来映えに驚くお土産であった。こんなお土産はほんとに心から嬉しく思う。
小粒ながら立派!
 岩見沢東RCの20周年記念式典並びに祝賀会が5月17日(土)に岩見沢平安閣で行われた。岩見沢東RCは現在34名で世界の平均会員数よりは若干少ない。しかしその活動内容を見ると、坂田知樹会長が国際的事業を展開したり、金子賢一実行委員長が日本ロータリー親睦ゴルフ全国大会の実行委員長を務められたり、また車椅子財団(7170地区)に車椅子50台を寄贈したり、タイ・バンコクのパヴェナ基金に30万円を寄贈したりしている。さらに今回、市内の光が丘学園(社会福祉法人)、岩見沢サッカー協会、岩見沢青少年育成基金にもそれぞれ多額の寄付をされている。そのめざましい活動は何度か月信に紹介されたとおりである。
 
 金子賢一実行委員長が「小粒なクラブではありますが」と言われたその言葉の中には、小人数ではあっても大人数のクラブに負けないだけのことはやっているという自信のほどを紹介されたと思う。また、坂田知樹会長は「ロータリーの原点を見つめ直そう」と力説しておられた。
 
 数多くあるロータリークラブの中で岩見沢東RCは、今後とも「小粒ながら」ロータリーの原点を見つめながら着実に発展していくと信ずる。頼もしい限りである。これぞ本当に20年おめでとうである。
最後の最後のIM
 今年度は第12グループを除き都市連合会(IM)は実施してきたが、次年度はIM形式の集会はない。第1・2グループ合同のIM(5月24日(土)、赤平文化会館)は名実ともに最後のIMとなった。世話役は第2グループガバナー補佐の藤原税会員(赤平RC)、ホストは赤平RC(赤川清介会長)だが、第1グループ(吉本勲ガバナー補佐)のみなさんとともに積極参加。懇親会には20数名の美女コンパニオンも加わり、地区最後のIMを盛り上げてくれた(次頁写真)。
 
 今回のIMのテーマはポリオ。国際医療協力で我が国を代表する専門家の千葉靖男先生(札幌医大卒)の『世界ポリオ根絶計画の進捗状況と課題』の記念講演。とくにインド、パキスタンなどのワクチン投与の現場の写真は圧巻だった。ポリオを患った四肢麻痺の気の毒な子ども達の姿は決して他人事ではない。千葉博士は未だに流行する地区のポリオは、医療対策の遅れというよりはむしろ貧困が原因だという。貧困であれば手洗いする場もなく、もちろん下水道もなく糞便と共存するような生活環境からポリオウィルスの経口感染は絶えることはない。
山間僻地のほかに部族紛争とか内戦とか治安の悪化が加われば、ポリオ撲滅は益々難しくなる。言うなればポリオは政治経済の落とし穴の中にある。
 
 地区のポリオキャンペーン担当の城木浩一地区広報委員長(札幌北RC)は記念講演に先立って、ポリオ撲滅宣言がなされた後なぜ改めてポリオが再登場してきたかの経緯説明と、ポリオ撲滅に必要な目標額の根拠をわかり易く解説いただき有り難かった。
 
 50年前の日本はまだ発展途上国だった。当時の北海道は各地にポリオが流行した。外国から呼吸麻痺に陥った子ども達を救うための「鉄の肺」などたくさんの暖かい手を差し伸べてもらった。今度はわれわれがポリオ流行地の子ども達を助けてあげる順番なのではないか。
 
 私はポリオで四肢麻痺に陥った1人の子どもの叫び声が忘れられない。「1度だけでいいから起き上がってごはんを食べたい!」というのであった。
 
 
 
明日のエネルギーをどうするか?
 面白いワークショップだった。第4回ワークショップ「明日のエネルギーを考える」は、山名善久(札幌幌南RC)、井上勝一(札幌北RC)の2人の司会で5月25日(日)、北大学術交流会館で行われた。日曜の午後で、しかも北大構内ということで集まったロータリアンは少なかったが、一般市民の参加もあり白熱した議論は大変参考になった。
 
 ふだんエネルギーのことなど無関心できたが、これはいけない。これからの日本、あるいは北海道のエネルギー戦略はいかにあるべきかの関心を盛り上げていく必要があるのではないか?
 
 4人の演者のうち井上勝一会員はエネルギーの健康との関わりのこと、橋本信夫会員(札幌西RC)はエネルギーの文化史的背景、川田憲秀会員(白老RC)はエネルギーの実学的背景、村山正会員(札幌RC)のエネルギーの種類別効率対比の話はいずれも初めて耳にする興味深いものだった。原子力、風力、水力、火力、太陽熱、地熱など利害のからむ複雑な問題だが、成り行きまかせのいまの状況は何とも情けない。国家戦略の慾しいと思うのが、これは専門外なるが故の単純な夢なのだろうか?
 
 それと1人ひとりのロータリアンがエネルギー消費の節減にもっと努力する必要があるのだろう。いずれにしてもいつか時間と場所を変えてもう1度是非やっていただきたい大切なテーマと内容だったと思った。