(9/1)の「遊」の講座のご案内です。
シリーズ「北海道の150年をみつめ直す」の第4回講座は土橋芳美さんを講師に迎えます。
今年出版された土橋さんによる長編叙事詩『痛みのペンリウク』の朗読も予定されています。
(会報誌「ゆうひろば」掲載の花崎皋平さんによる書評を転載しておきます)
お薦めの講座です。この回のみの参加も歓迎いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
北海道150 年をみつめ直す
「人びと」からみた北海道の近代
http://www.sapporoyu.org/modules/sy_course/index.php?id_course=570
第4回 囚われのアイヌ人骨
日 時 9月1日(金) 18:45 ~ 20:45
会 場 さっぽろ自由学校「遊」(愛生舘ビル5F 501)
受講料(単発) 一般1,500 円 会員1,000 円 ユース500 円
●講師 土橋 芳美(どばし よしみ)さん
平取出身。1970 年代に月刊の新聞「アヌタリアイヌ」を発行する。
明治期のアイヌ指導者の一人である平村ペンリウク氏の遺骨が北大にあることがわかり、返還を求め、長編叙事詩『痛みのペンリウク』を出版された土橋芳美さんにお話を伺います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
土橋芳美作 叙事詩『痛みのペンリウクー囚われのアイヌ人骨』について
花崎 皋平
この叙事詩は、知里幸恵、バチェラー八重子、戸塚美波子以来、久々に現れたアイヌ民族の詩人、土橋芳美による長編叙事詩です。
この作品は二つの面で特徴があります。一つは、近代アイヌ史における大きな先住民族差別事件であり、多数派日本人による植民地支配の事実でもあるアイヌ人骨を掘り返し、持ち去った事件の被害者の一人 平取町のエカシ ペンリウクの家系につながる作者が作ったものであるという面です。民族の歴史を自分の問題として受け取り、差し出しているのです。
もう一つの面は、それを叙事詩という文学作品に仕上げていることです。アイヌ民族は、詩歌を好む人々ですが、今は、詩を書く人は多くありません。この作品は、内容、形式ともにすぐれており、これからアイヌ文学の古典として味わわれてほしいものだと思います。
作者は、先祖ペンリウクを呼び出して語り合い、その願いをかなえるために立ち上がります。作者にとっては、出来事は遠い過去のことではなく、その遺骨が。北大に平取1号と分類されて保存されていることを知った時から、アイヌとしての魂をゆり動かされ、自分がそれを取り戻し、故郷の地に返すことを求められてるという自覚に立ったのです。歴史を背負って現在に向き合う在りようです。
作品の終わりは次のようです。
“わしが死んで
一一三年
ここに
おまえが来てくれた
アイヌは滅びず
生きて在るとな
芳美よ
悲しむことはない
人間として
恥入らねばならぬのは
わしら
アイヌではない
だから涙をふいて
立ちあがり
ペンリウクの
痛みを
語りつづけよ”
序文に書きましたが、私は、土橋さんとは一九七三年以来の旧い知り合いです。長い年月をへだてて再会し、この作品を読ませてもらって、生涯にめったにない感動を味わいました。土橋さんは、今では伝説のように語られる、一九七〇年代に若いアイヌが作ったオピニオン新聞『アヌタリアイヌ(われらアイヌ)』刊行に取り組んだ人でした。もっと若い頃には、『日高文芸』で、鳩沢佐美夫さんたちと文芸活動をしていた人です。
この本が多くの人に読まれるよう願っています。
(「ゆうひろば」2017年6月号より転載)
NPO法人さっぽろ自由学校「遊」
コメントを残す