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  • 娘の奨学金を収入とみなされ生活保護費の返還を求められた問題
  • 県審査会は「那覇市の処分は不当で取り消すべきだ」と答申した
  • 自立への配慮を欠き、子どもの学習意欲をそぎかねないと指摘

 生活保護を受けていた那覇市の40代女性が、娘2人の借りた貸与型奨学金を「収入」とみなされ、那覇市に生活保護費計約93万円の返還を求められた処分を不服として県に審査請求している問題で、県行政不服審査会は9日までに「長女が受けた奨学金分の返還は不当で、処分は取り消すべきだ」との答申をまとめた。答申を受けた県は、近日中に処分の妥当性を判断する裁決を出す。

(資料写真)那覇市役所

 答申は10月31日付。それによると、市側が2012年7月に「貸し付け奨学金を利用したら、保護費である高校就学費が支給されない可能性がある」と女性側に説明した点について、「奨学金を受けなくても就学費用はおおむね賄えるなどと示唆しており、形式的には問題ないと思われる」と理解を示した。

 その上で「市側は奨学金の活用を図るための説明を尽くしておらず、『自立に向けて奨学金を受けたい』とする女性側への配慮が欠けていたと言わざると得ない」と指摘した。さらに「奨学金受給を巡って生活保護受給者と行政が争えば、受給者の子どもが必要な奨学金の受給を控え、学習意欲がそがれる結果になりかねない」と危惧した。