世界の超富裕層、投資先は自分で選ぶ-株・債券より企業に直接投資

1496252495_One57 Central Park South New York NY
Photographer: Roberto Machado Noa/LightRocket

世界の富裕層でも超が付くような一族は、投資先を自ら選ぼうとしている。超富裕層の代替投資向けオンラインマーケットプレイスのアイキャピタル・ネットワークが9日公表したリポートによると、1家族の資産を管理するファミリーオフィスの66%が、向こう3年に企業への直接投資を増やす計画。

  既に直接投資をしているオフィスの60%超が過去1年にそのような投資を増やしたことも分かった。アイキャピタルのローレンス・カルカノ最高経営責任者(CEO)は、ファミリーオフィスは企業経営にプラスの影響を与えられると自信を持っていると指摘。また、直接投資は「ポートフォリオ全体で支払う手数料を下げる方法だ」とも述べた。

  ファミリーオフィスは伝統的な株・債券から投資対象を広げ、投資の世界で存在感を高めている。特に、創業者の世代ではなく2代目が運営するオフィスは直接投資を増やす傾向があるという。2代目はまた、ヘッジファンド投資についてもより前向きで、59%がそのような投資を増やす公算が大きいと答え、創業世代の25%未満と対照的だった。

  アイキャピタルは2016年下期-17年上期にかけて157のファミリーオフィスを調査した。

原題:World’s Richest Families Seeking to Make More Deals on Their Own(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE

日本株続落、米減税先送り警戒と失望決算に売り殺到-ブリヂスト急落

更新日時
  • 米上院共和党、法人税減税を19年に先送りする減税計画を公表
  • SUMCOなど好業績株は上げ、日経平均356円安からは下げ渋る

10日の東京株式相場は続落。米国の法人税減税の先送りが警戒されたほか、通期利益計画の下方修正がアナリストから悲観視されたブリヂストンが急落するなど、ゴム製品株の下げが全体の足を引っ張った。非鉄金属株、増資による1株価値の希薄化が嫌気された熊谷組など建設株も安い。

  TOPIXの終値は前日比12.67ポイント(0.7%)安の1800.44と続落。日経平均株価は187円29銭(0.8%)安の2万2681円42銭と3日続落となった。

  しんきんアセットマネジメントの鈴木和仁シニアストラテジストは、「法人税減税への不透明感から前日の米国株が弱含み、為替もドル安・円高に進んだため、米国株に比べ上昇ピッチの速かった日本株はその反動で大きく下げた」とみていた。11月月初から9日までの世界主要96の株価指数のパフォーマンスをみると、日経平均は3.9%高、TOPIXは2.7%高で上昇率トップ10にランクイン。米S&P500種株価指数の0.4%高など欧米主要市場を上回る。

東証アローズのウオッチャー
東証アローズのウオッチャー
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  米上院共和党は9日、法人税税率を現行の最高35%から20%に下げ、2019年に実施することを盛り込んだ税制改革法案を公表した。下院が先に発表した税制改革法案では、法人税減税の実施時期が18年となっていた。

  これを受け、9日の米国株はS&P500種が0.4%安の2584.62など下落。為替市場ではドル・円が一時1ドル=113円09銭と同日の日本株終値時点113円60銭からドル安・円高方向に振れた。10日の東京市場ではおおむね113円40銭を挟んで取引された。

  大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは、米税制改革法案が「早めに成立することになれば、企業業績の押し上げにつながるとの期待もあり、米国株を下支えしていた。1年先送りしなければならないくらい交渉が難航しているのかと、実現へのハードルの高さが意識された」と言う。

  この日の日本株は、法人税減税の先送りリスクが米国の経済、市場に悪影響を及ぼす可能性が懸念されたほか、前日に乱高下した相場波乱への不安も残り、大きく下げて取引を開始。TOPIXは一時1.3%安と1800ポイントを下回り、日経平均は356円(1.6%)安まで下げ幅を広げた。一方、SUMCOなど業績内容がアナリストらに評価された銘柄には着実に資金が入り、午後には利益計画を上方修正したJXTGホールディングス、1ー9月期が3割を超す増益だったユニ・チャームなどが上昇。両指数とも引けにかけては徐々に下げ渋った。

  野村証券投資情報部の小高貴久エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「今回は業績相場。企業業績がしっかりしている間は上昇トレンドが続く」との見方を示した。

  東証1部33業種はゴム製品や非鉄金属、空運、建設、電気・ガス、その他金融、陸運、証券・商品先物取引、保険など25業種が下落。上昇は石油・石炭製品、鉱業、海運、倉庫・運輸など8業種。売買代金上位では、今期の営業利益計画を下方修正したブリヂストのほか、業績計画の増額が物足りないと野村証券が指摘した住友金属鉱山、決算失望銘柄のセコムやディー・エヌ・エー、森永製菓の下げもきつい。半面、SUMCOのほか、テルモ、安川電機、日本精工は高い。

  • 東証1部の売買高は18億9046万株、売買代金は3兆5894億円
  • 値上がり銘柄数は596、値下がりは1357
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE