地獄2

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重要記事
カルマの法則1――アンマ
人生・魂を救済するガヤトリー・マントラ
世界の困難
リサ・クリスティン:現代奴隷の目撃写真
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必要な注釈が書いてありますので、地獄1よりお読みください。
※この記事は非常に過激な描写が含まれるため、強い不快感を与えるおそれがあります。
 地獄1よりさらに過激な記事となります。



聖なる看護師

ファニ・モイセーワは、1895年1月1日に、ロシアのチェルニゴフで、ツァー・ニコライⅡ世皇帝に仕える篤信の正教徒の家族に生まれました。祖父は聖人と呼ばれるほど高徳な人でした。子供の頃から聖週間ごとに修道院に篭って断食祈祷する習慣を培い、死期が迫ると正確に自分の死ぬ日を予言したと伝えられています。

中略

母はロシア革命が起きた年に、革命軍によって焼き殺されますが、神を讃えながら息を引き取ったと伝えられています。ファニはロシア革命の時代に「白軍」(皇帝軍)お付きの赤十字看護師の仕事につきます。しかし、戦いは革命軍の勝利に終わり、白軍と共に中国に逃れました。負傷して漢口(ハンコウ 現:武漢)の病院に収容され、9日間昏睡状態に陥ったときに、鮮烈な臨死体験をし、未来世界を見聞する機会に浴したのです。彼女は誰も信じないと思い、体験を胸の内に秘めていましたが、ある日、守護天使が現れて言いました。



「なぜ、見たものを人々に証(あかし)しないのですか。神を恐れなさい。今日からあなたはすべてを書き下すのです。人々が永遠の存在を知るようになるために」

こうしてまれに見る霊界旅行の手記が出来上がりました。彼女の記録は、当時大迫害を受けていたロシア正教徒に希望の光を灯し、海外に逃れた皇室からも絶賛の便りが寄せられています。

「素晴らしい原稿をお送りくださり心から感謝します。夫は子供たちに大きな声で原稿を読んでくれました。私は嬉しさのあまり泣きました。子供たちは若いのですが、霊的なものになら何でも心を引かれます。あなたの著作は彼らの関心をとらえました。このようなご本の執筆に選ばれたあなたは本当に恵まれていると思います。私のことを覚えてくださったことに、感謝致します。ご自愛ください。オルガ・アレクサンドロヴィナ大侯爵夫人(ニコラスⅠ世皇帝の妹)」

「マダム・ファニ・モイセーワ、女王陛下は、原稿をお読みになったことをあなたにお伝えするよう、私にご依頼になりました。その内容はいかに心動かされたかをあなたにお知らせし、感謝の気持ちを受けてくださるようにとのことです。1934年3月9日、ブルガリア女王宮殿女官、ヘレン・ペトロフ」


星の世界

中略

「これから、あなたに外宇宙の脅威を見せてあげましょう」

輝かしい日であった。地球が暗い点になるまでゆっくり昇ると、突然、私たちは未知の力に捕えられ、目が眩むほどの速さで回転し始めた。私は震えを起こしたが、ほどなくして銀河の中央に来ているのを見た。

「おお、何と速い旅でしょう」

「私たちは、このようにして惑星から惑星へ旅するのです」

太陽の輝きは薄れたが、周囲には不思議な光があり、それで何もかも見分けられた。このようにしてあらゆる星を観測したが、肉眼によって見たのではなく、すべては霊眼によって見たのである。私は星が無秩序に散らばっているのではなく、集団ごとに整然と並べられているのを知った。表面に火焔状の霧があり、かなりの高熱が発散している星もある。定まった運動をする星もあれば、動かずに輝いているものもある。壮観な惑星の間を飛んでいると、随伴者が言った。

「見なさい、宇宙のすべてを!全能者なる神の御心なくしてそのどれも存在し得ません。死すべき存在を終え、天に入った人は、歓びの祝日にこれらの惑星を訪問できるのです」

遠くに銀色の天体が見えたが、近づいてみると大気はとても冷たかった。表面は悲しく荒れ果て、何一つ育たず、すべては太古の昔から死んだままの状態に見える。海と川、湖、すべてが冷たい光を放ち、氷の山々が上を覆っている。私たちは高い峰にとまった。

「ここでは氷も雪も溶けないのですか」

「決して溶けません。ここではすべてが永遠に凍り付くことが神の御心です」

見渡す限り荒涼とした世界。きらめく氷の輝きが私の目を突き刺したとき、いいがたい悲しみを覚えた。


暗黒の惑星

私たちは氷結した惑星を離れ、さらなる未知の惑星へ向かった。何故かはわからないが、私は混乱をきたした。惑星に接近するにつれ、眩しい光に目が眩んだ。ますます熱くなり、耐えられないほどになった。

ついに、私たちは到着し、ある山の頂に立った。火山が大量の噴煙を出している。方々の亀裂から黒雲と火が吹き出し、赤い溶岩ときらきらする液体金属が、四方の谷へ流れ出している。視界は効かない。何時間かの間、熱い幕に覆われた円盤状の天体が見え、そこからかすかな光が下方に向かって放たれた。方々で火が長い時間吹き上げては突然やんだ。

私はとても悲しくなり、絶望し始めた。方々の谷間に葉のない異様な形の朽木がある以外、どんな種類の草木も見えない。その反対側では、泥の河がゆっくり動いている。何もかもがどす黒く、荒涼とし、砂漠を思わせた。それから、随伴者が一段と深い谷を指差して、「見なさい!」と言った。

彼の指差す方を見ると、ほとんど見通せないほどの暗がりの中に、忙しく動き回る影を見た。渓谷に降り、途中の岩場に立つと、随伴者は言った。

「今から、あなたは一人で彼らの中に入るのです。私抜きでです。何が起きても、たとえ恐怖に襲われても、けっして祈ってはなりません。ひどい仕打ちを受けることになります。知恵を絞り、神の御名を呼んではなりません。ここでは祈りが聞かれないからです」

「何故です、何故聞かれないのですか。祈りが妨げられる理由がわかりません」

「罪が神の恵みを妨げるのです。地上の人々が、電話や無線の助けがなければ、遠くの人に話せないのと同じく、精霊の恵みを通さなければ祈りは神に到達しません」

こう話すと、突然、彼は姿を消した。私はさらに下に降りてみた。罪人の群れが踊り狂っている。彼らは止めたくても止めれられなかった。魔物たちが、男、女、老人まで駆り出している。疲れて倒れるものがいれば、蹴飛ばして、どろどろした肥溜めに投げ込んだ。



この場を離れて、さらに下の平地へ向かった。そこは荒涼たる砂漠で、ここでも、哀れな罪人たちの恐ろしい踊りを見た。踊りは一瞬たりとも止まないように見えたが、彼らは多くの涙を流して、悲鳴を上げていた。さらに近づくと、悪霊たちが、たえず罵倒しながら、共に踊っている。彼らは、回るたびに「やれ!やれ!」と叫び、哀れな魂を強制していた。

罪人たちは完全に希望を失っていた。彼らは刺々しい枝に縛り付けられ、蹴られ、殴られ、石で打たれ、燃える溶岩に押し込まれた。石で目をふさがれたまま、かみそりのように尖る岩に追い立てられた。それ以外の残虐行為はとても言葉に表せない。

それから、悪霊たちは彼らの背中に乗り、汚れで固まった髪の毛をむしりとった。一人をふるい落とせば、次のもっと強力な悪霊が背中に乗った。恐ろしい魔物たちは、ときどき地獄で苦しむ家族と地上で犯した罪の数々を見せたが、これが彼らの苦しみをいっそう大きくした。

この恐ろしい光景を後にして、さらに奥に踏み入り、石だらけの谷に来た。そこでは、竜巻とつむじ風が至ところで起き、塵の雲を巻き起こして、石が飛び交っている。彼らは骨と皮ばかりで、腕を力なく下げ、言語を絶する苦しみに顔を歪めていた。渇きに苦しみながら砂嵐の中で黙々と体を引きずっていた。辺りはひどい悪臭に満ち、黒い塵の雲に覆われている。ひどい罰が待っているのに争い合う者たちがいた。彼らは、地獄には希望が全くないことを知り、すべてに無関心だった。



焼ける熱風に耐えられなくなり、さらに下にくだり、泥の池に着いた。異様な姿の者たちが、どろどろした悪臭を放つ水を散らし、手でかいては、舐めている。私は憤怒の霊が間断なく彼らを苦しめる様子を見て恐怖に包まれた。

尖った岩の間を一歩一歩進み、ついに突き出した岩場に着いて、随伴者に助けられることを願いつつ、腰を下ろした。突然、不思議な唸り声に驚かされた。耳を覆うと、悲しい溜息と嘆きの声が聞こえてくる。声のする方を振り向くと、大きな谷間の中で、真っ暗闇を見つめながら休む疲れ果てた者たちを見た。

「いつも夜と闇ばかりだ。いつになったら光が見られるのだろう。日の出がないなんて」

彼らは太陽と春の陽気、日の下で怠け暮らしていた頃を思い出していた。他の者たちも、これに倣って追憶に耽った。一瞬ではあったが、それが永遠にわたる彼らの苦しみを、少しでも和らげた。彼らの話から、過去の記憶が鮮明にあることがわかったが、悪霊は、彼らが一瞬でも苦しみから解かれるのを許さなかった。突然、高い岩の背後から、大きな赤い火の手が上がり、彼らが休むのを妨げた。

地獄に平和はない。平和と静けさを愛する私は、このような恐ろしい光景に、それ以上耐えられなかった。暗い平地に移動して歩いた。すると、そこを通る誰をも監視し、冷酷に鞭打つ悪霊に再び出会った。ときどき、色の付いた炎が上がって暗闇を照らしている。



憂鬱な歌声が聞こえてきた。近づいてみると、向こうの岩場に、土気色と青白い色をした顔の群れを見た。彼らは骨と皮ばかりの手で巨岩を押していたが、岩はぴくりともしない。上からは、黒い煙の雲から、たえず燃える石が降り注いでいる。

それから、地下から轟音が聞こえてきたので、私は慎重に降り始めた。強い硫黄の臭いと真っ赤に燃える炭火を飛ばす熱風のために、ほとんど息ができない。焼けた喉を潤そうと一滴の水を求める者たちを見た。地獄の霊がたえず彼らを走らせている。倒れる者がいれば、容赦なく鞭打ち、他の者を追わせた。

それを見ていたときに、随伴者が私の前に現れて、「怖かったですか」と声をかけた。

「恐ろしい」としかいえない。

「この場を離れて、他の惑星に行かなければなりません」と彼は言った。

私たちは非常な速さで上昇し始めた。白熱の星に接近して降り立つと、大気はいっそう熱く感じられた。大気は非常に濃密で、視界は霞み、何とも言いようのない息苦しさを感じる。

悪霊が、罪人たちを引き回しては、彼らにふさわしい新しい罰を加えている。混沌がすべてを支配している。岩窟に逃れようとする罪人たちは、恐ろしい虫に刺され、這い出してくると、鞭で打たれて、火の池に投げ込まれた。彼らは「死はどこにあるのか!愛する死はどこに!」と叫んだ。

死はない。あるのは存在のみである。善良な者には永遠の歓びが存在するが、邪悪な者には永遠の苦しみが存在する。




魔王祭






※グロテスクな映像が含まれます。ホラーが苦手な方はお控えください。



それから、私たちは堅固な岩に覆われた大洞窟へ下った。強い山羊の異臭がそこから漂い、気味の悪い物音が聞こえてきた。そこには裸の木が二、三本あるだけで、未知の化け物が上空を舞い、光景をいっそう不気味なものにしている。

随伴者は言った。
「今夜、サタンが年に一度の祭りを行います。見るものを記憶に刻み付けなさい」

洞窟がゆっくり口を開くのを見ていると、炎の舌が突出し、魔物たちが中から罪人を引き出した。地上で非常に残忍だった者たちである。サタンは、特定の罪人たちしか出席させず、残りは何世紀も待たされていた。

大祭はかつて善良な大天使だったサタンが、大胆にも神に反逆した日を記念して、年に一度行われている。彼はこの祭りで気を紛らわしているが、天の永遠の至福を失ったことを思い出せば、彼のプライドを満たせるものは何もなかった。

一人の美女が洞窟から投げ出された。髪は火に包まれ、両手を伸べている。邪悪に満ちた目はサファイアのように怪しく輝き、燃える赤毛を頭の上で卵型に結っている。彼女は蛇のように地を這いながら岩陰に隠れた。火の中から別の女が現れた。髪は炭のように黒く、目は石炭のように燃えている。彼女は悠々と最初の女に近づきその頭に手を置いた。最初の女は岩場にしがみつき、震えながら泣いて、そこから離れない。

別の洞窟から背中を丸めた白髪と白髭、濃い眉毛の老人が出てきた。驚いたことに、二人の女に近寄ると、彼に付いていた魔物が離れた。彼は顔を上げて強い意志力で周囲を見回した。目には並々ならぬ英知が見える。静かに下を向くと胸が白い髭に覆われた。それから、憤怒に燃える魔物の一団が、別な年寄を引き出して、背中を殴りつけた。禿げた背の低い肥満体の老人である。魔物は狂ったように彼を鞭打ち、蹴り、怒鳴った。

「何も信じなかったおまえ、地上の人生がすべてだと思い込んでいたおまえ、国を駄目にして、好きなだけ人殺しをしたおまえ。それについて釈明しなければならないことを思いもしなかった。ようやくわかったか。サタン自らが、おまえのために、一番の苦しみをご用意くださった。さあ、御前に行け」

それから、彼は、絶叫と騒音のする大洞窟に引いて行かれた。私は洞窟の入口を見守った。さらに一人が加わり、禿げの横に立った。彼は背が高く、細面で、鼻はよく整い、頬はこけている。異様で恐ろしい姿の生き物の群れが、騒がしい洞窟から出てきた。老人が顔を上げて身震いしたが、他の二人は顔を背けた。



そのときに、かすかな音が聞こえてきた。音は次第に大きくなり、羽ばたく音に変わった。有翼の魔物の大群が、罪人たちめがけて飛んで来た。全員は空中に移されてから、大きな口を開く洞窟に、まっ逆さまに投げ落とされた。

随伴者の天使が言った。
「あなたはここで、もう一度一人になるのです。勇気を持ちなさい。何が起きても、私は近くにいます」



地下の玉座

私の前で、非常に深く、暗い、切り立った崖が口を開いた。谷底でちらちら火が燃えているのが見える。降りるにつれて、火は次第に輝きを増し、強くなってきた。最後に奇岩の並ぶ荒地に来た。ほど遠くないところに、光の漏れる亀裂があり、そこに底知れぬ下り坂を見つけた。そこを降りると、大通りが開けて、先に入口が見えた。そこに近づくにつれ、鼓膜が破れるほどの絶叫がしてきた。光の漏れてくる方へ歩いてゆくと、多くの入口のある大広間を見た。



サーカス場のような大広間の中央に立派な玉座があったが、非常に陰気で、金属のような黒いキューポラが天井についている。言葉に表せないほど醜い魔物の群れが、ザワザワ音を立てながら、辺りをうごめいている。そこは罪人の群れを一望できる大円形劇場で、全体を照らす大きな光の柱もあった。

黒い玉座の左で、ぎらぎらする赤銅色の髪の美女が、脚にもたれている。やせていて、巨匠の手になる彫刻のように美しい。黒い瞳をもつ気位の高そうな女がもう一人いた。黒髪は黒い玉座に調和し、黒い瞳は大勢の視線に憤るかのように憎悪に燃えている。彼女は巨匠が描く王家の血を引く婦人のように見えた。サタンの祭りのために洞窟から引き出された女の姿も見た。

円形劇場の前は、罪人たちで混雑している。彼らは普通の罪人ではない。もっともひどい罪で人生を汚した者たちで、階級はなかった。みな同罪だったからである。私はまた、不愉快なハゲの男と弟子を見た。彼は生粋のポーランド人で、まさしく獣(けだもの)だった。また、悲しげな顔の白髪の老人を見た。この人は次の聖書の言葉を思い出しているようだった。

「私を信じるこの小さい者たちの一人にでも、躓きを与えるような者は、大きい石臼に首をかけられて、湖の深みで溺れ死んだほうがましである」

彼は地獄に来てはじめてこの言葉の意味を知ったのだ。





魔王の姿

突然、大きな地響きが鳴り、続いて雷鳴と稲妻が走り、光の柱が明るくなった。嘆きと呻き声、魔物たちの拍手と血に飢えた叫び声の中、突然サタンが現れ、邪悪な笑いで彼らに応えた。






玉座の前に大罪を犯した者たちがいた。彼らは、偉大な学者と称されていたが、今は地獄の中で名誉を失い、他の者たちと同じように、震えながらサタンに釘付けになっている。

サタンは笑うのをやめた。不思議なことに、彼は人のようにも見えるが、まったく違った存在にも見える。顔は自己依頼と権力を表しているが、何ものにも満足していない。

彼は巨大なブロンズ像のように見えた。斜めの曲線を描く薄い眉毛の下で、曲がった鼻を囲む二つの黒い大きな目が怪しげに光っている。サタンは悪党のような図太さで、赤い「五芒星」を載せる玉座に静かに着いた。ブロンズ像のように、座ったまま動かない。背後で黒いビロードの翼が大きく広げられると、威圧感がいっそう増した。
彼は美しい瞼を降ろして目を閉じたが、その古めかしい横顔は、苦悩を表現していた。悠久の昔、神が彼を天国から追放した日を記念する、この年に一度のお祭りで、苦悩をあらわにしていた。

彼は、自分が良い大天使であったときのことを思い返し、眉間に深くしわを寄せた。その間に、彼の翼はゆっくりと下がり、嵐が過ぎた後の旗のように、背後に垂れ下がった。サタンが眉を上げると、目は他を威圧する、邪悪と憎悪に輝いた。

彼は集まった者たちをじっと見た。何という目付き、何という憎悪だろう。次に、憎悪と企みの中で巨体を持上げた。ホールは墓のように静まり返った。それから、大ホールの隅々にまで響く大声で宣言した。

「あなた方により多くの苦しみを与える。前に苦しんだことがないと思えるほど、苦しみを大きくする。苦しみは毎年激しくなり、永久に絶えることはない」

ふたたび、彼は大きな翼を広げた。何という存在であろう。宣言を聞いた小悪魔たちは、責め苦を増やす約束に狂喜したが、哀れな罪人たちは恐怖と悲しみに震えた。サタンはふたたび玉座についた。

私は悪霊の群れが黒髪の女を立たせようとするのを見た。女は傷ついた獣のように、歯を剥きながら体を起こした。憎しみで目を光らせながら、腰をくねらせ、胸をはだけ、モデルのようにサタンの前に出ると、急に顔色を変えた。

サタンは言った。
「おまえは、地上にいたときに、その声で、その美貌で、その魅力で、男たちを誘い操った
(管理人注:霊の世界は精神がそのまま現象化する世界だと言われているので、通常、肉体を脱いで霊体になると、精神がまさにそのまま反映した姿になると多くの信頼できる文献では言われています。心が醜くれば醜い姿に、逆に無私の愛で満ちていれば輝かしい光を放つ美しい姿になると言われています。それは生きている人間でも、心がある程度は人相に現れることを考えてみても、いくらか想像できるのではないかと思います。地獄の主であるサタンのいる地獄は当然地獄の最下層ですから、最も罪の大きい邪悪な魂が落とされる場所であり、他の文献を参照しても通常はその魂たちは人間の原形を留めていないほどのまさに怪物のような醜悪な姿になっていると考えられますが、この女性は美貌を保っていると言われています。いろいろな理由が考えられますが、もしかしたらサタンの力でその女性の生前の美貌を現象化させていたりと、何らかの力が働いているのかもしれません)。富と権力を与える男たちには、彼らの欲する悦びをみなやった。おまえにしかできない歌で男どもに歌い、快楽をたっぷり与えた。何も考えずに、金と富を浪費し、王宮にいるあいだ、美貌と栄光を欲しいままにした。心に決めた男どもを女の武器を使って征服し、飽きれば冷酷に殺した」

大きな手で合図すると、サタンが一番醜い霊に命じた。
「好きなだけ愛撫してやれ」

女にはこう言った。
「行け。もう用はない。だが、もう一度キスの感触を味わいたい。ここだ。足元に」

「嫌です!」と彼女は抗議した。怒った顔も美しかった。

「嫌だ?私の意志がどんなプライドにも勝ることを知らないのか」とサタン。

それを聞くと、悪霊どもは彼女をサタンの足に無理やり近づけて、キスをさせ、燃える火に顔を押しつけた。女は顔を黒く焦がしながらも、サタンを睨みつけた。



前世を見せられる

その間にも、玉座に待っていた他の悪魔が、有名人を連れてきた。禿頭の男とポーランド人である。彼らはサタンの足元に跪いた。サタンは身震いするような顔をして言った。
「ここに集う罪人の群れを見たか。おまえたちの罪深い人生を再現させよう。それが何よりの喜びだ」

サタンは合図すると、ホールの中は真っ暗になった。それからスクリーンが現れ、全員の前に大戦争の映像が展開した。爆弾の炸裂、砲弾のかすめる音、自動小銃の乱射の音が聞こえる。将軍と士官たちが、戦争の中で軍を進めていた。そこに禿げ頭の男がいた。


ポーランド・ソビエト戦争

サタンが言った。
「全員、この男が何をしたかをよく見よ!」

場面は変化したが、戦闘の音はやんでいない。場所は、赤煉瓦造りの宮殿の正面広場で、中央の細い柱の上に天使像が見えた。宮殿を襲撃する者たちで広場は埋まっている。ふたたび、場面が変わり、きらびやかで静かな宮殿内部が映し出された。暴徒の群れが宮殿の中になだれ込んできた。扉の一つは鎧を着て銃を下げる女兵に警護されていた。

彼女たちは皇族を守ろうと勇敢に戦った。所属階級を示す、赤いバンドとベルトをつけ、陸海軍の制服を着た野蛮な男たちが宮殿になだれ込んだ。彼らは、淫らな言葉を吐きながら、か弱い女の手からライフルを奪い、彼女たちを辱めた。そして、狂ったように叫んだ。

「自由よ、永遠なれ!われらの長よ、永遠なれ!」

この旋律すべき光景を見、血に飢えた叫びを聞いて、ハゲ頭の男はサタンの足下に伏し、泣いて悲しんだ。

スクリーンが暗くなり、場面は変化して、囚人の一団が映し出された。その中に、少女たちに付き添われた貴婦人の姿があった。その前には、14歳ほどの男の子を連れた男性が座っていた。彼は軍服を着て、革のブーツを履いている。彼には見覚えがある。よくよく見て、皇帝陛下だと知った。

場面が再び変わり、骸骨のように痩せ細った哀れな女の姿が映し出された。女は、狂人のような目をして、髪の毛を振り乱しながら、震える手で家の中を漁っていた。

ついに、ゆりかごの中で泣く赤子を見つけると、残忍な笑いとともに赤子を取り上げ、なんとその子を刃物で突き殺し、煮えたぎる鍋に放り込んだ。

私はこの光景を見て身震いを起こした。それは、ロシアを大飢饉が襲ったときに食人鬼と化した女の姿だった。

この恐ろしい光景は別のものに変わったが、それは少し前に地獄で見た光景を思わせた。悲しそうな目をした炭坑労働者たちが、非人道的な重労働をさせられ、悪魔のような衛兵に鞭打たれている。彼らはロシア軍の司令官だった。彼らは祖国への強い愛国心のために厳しく処罰されていた。この光景も消えた。

この間、サタンは玉座の上にふんぞり返っていたが、禿頭の男は恐怖に慄きながら、意味不明な言葉を口走っていた。

「おまえは地上で自分のやってきたことを見たか」とサタン。

「見ました」と罪人は低い声で答えた。

サタンは荒々しく叫んだ。

「この男を打ち叩いて下に置け。共犯者を連れてこい」

小悪魔たちが引いてくると、サタンはすぐに彼の体を踏みつけ、瞑目して泣く様子もないポーランド人に言った。

「顔を上げて見ろ。おまえのしてきたことを見せてやる」

果てしなく続く広い道が映し出された。司教、司祭、修道女、将軍、教授、若い士官を含む無数の男女子供がそこを歩いている。労働者、兵士、貧民もともに足を引きずっていた。首にロープを掛けている者たちもいる。彼らは、未知の運命に向かって静かに歩いていた。突然、奇跡が起きた。彼らは重い死の鎖から解かれて、燃えるろうそくを手にする光の霊に変えられた。顔は神秘な青い光に包まれ、至福に輝き、体は後光を発している。道は美しい花に覆われ、霊魂は天上の光に迎えられた
(管理人注:このように、地上での認識と魂の世界でのまなざしとでは、真逆と言っていいほど解釈が異なります。地上での苦しみは、過去世の罪を償いカルマを解消し、魂を純化成長させるものになるのに対し、他人を犠牲にして好き放題に生きた魂は大きな罪を背負うことがわかります)



映像が終わると、サタンは叫んだ。

「すべて、おまえがやったことだ。おまえが与えた拷問も苦しみも、彼らが天国に行く助けをしただけだ。殺さなければ多くの者がわが王国に入れたのだ。よって、おまえを処罰する」

玉座から、八方に触手を延ばすタコのような気味の悪い怪物が現れ、ハゲの男とポーランド人を捕えて姿を消した。化け物が消えると、赤胴色の髪の女が自ら進み出て、髪をたくし上げ、哀願するような目でサタンを見た。

サタンは皮肉を込めて言った。
「おまえの過去は知っている。有名な娼婦だ。その美貌と知性で、老人、若者の別なく、男達を誘惑した。おまえは有名人しか出入りしない宮殿で贅沢に暮らしていた。物質的な快楽だけを信じ、そのためだけに生きた。邪悪な方法で男を誘惑し、彼らの人生を壊し、奴隷のようにした。蛇のように狡猾な女。淫乱とわがままと男の人生を壊すのが一番の楽しみだった。その罪のために、おまえは蛇のように地を這う。魔物が永遠におまえを苦しめる」


魔王の予言

先に見た白髭の老人は自分を保っていたが、彼の教えに惑わされた人々の嘆きを聞いたとたん、暗くなり、犯した大罪を深く思うかのように眉間にしわを寄せた。過去を思い返し、愛と真理と善の道から引き離した者たちを思うにつれ、何とも言えぬ苦しみに襲われた。

老人は勇気を振り絞って頭を上げ、サタンに大胆なことを言った。
「これがあなたの生きる道か」

「そうだ」とサタンは皮肉な笑いを浮かべて言った。

老人は続けた。
「なぜ、あなたは、いつまでも永遠の火の中に居続けて、全宇宙に空しく敵対し、このような邪悪なやり方で人々を苦しめるのか」

ホールは静まり返った。
「なぜ、反省して正しいことを行い、邪悪を終わらせて、良い存在に戻らないのか」

サタンは遠くから彼をにらんで答えた。
「私は呪われているからだ」

いっとき話が途切れ、サタンが考えている間に、老人が口を開いた。
「わしはあなたが存在することも、呪われていることも信じない。あなたにはどんな星も光を射さない。あなたの王国に太陽はない。おまえは、人を罪に誘うことによって地上を汚した。未来に何をしようというのか。破壊し続けるだけか、もっとよいことをつくりだせないのか」

サタンは邪悪な色を浮かべ、脅すような声で言った。
「私は地上に反キリストを送る。私を呪った者にふたたび戦いを挑む」

「反キリストだって?」老人は叫んだ。

「いかにも反キリストだ」とサタンは憎しみをあらわにして話し続けた。

「ある日、ある場所に、私自らが選んだ者が出現する。一人の娼婦が生まれる。女はさらにみだらな娘を生み、娘はさらに娼婦を生み、幾つか世代が続く。最後の世代に生まれる女は、不死を手にするほどに邪悪な者になる。

この女から全人類を滅ぼす男が生まれる。彼が反キリストになる。その父を知る者はいない。彼は泥酔の中で母に受胎する。彼が誕生する時に、私も共にいる。身ごもっている間に、女は多くの異常な、理解し難いしるしに気づくが、私が黙らせる。

彼は、ずば抜けた知性と優れた教育を身につける。成人すると、貪欲と自由解放の啓示を受け、自ら選んだ者たちによって支持される。私は彼に巨富を授け、この方法により、彼は最大の権力者になる。世界のすべての国を巻き込む大戦争のなかで、彼が司令官になる。勇猛果敢な能力により、彼は瞬く間に昇進し、最高位に登りつめる。勝利に勝利を重ね、名声はとどまるところを知らなくなり、全世界から篤い信頼を受ける。

いかなる武器も彼を傷つけることはない。軍艦も、軍機も、軍隊も、どんなものも彼の手で制圧される。私は、水と火とすべての元素を支配する力を彼に授ける。彼は、刃向う者の勢力をことごとく砕き、服従させる。君主制、独裁制、大統領制、すべてを滅ぼし、逆らう者をすべて支配下に置く。彼は最高絶対君主として全世界に君臨する。

私は、誰もが彼をキリストと信じられるやり方で、彼に奇跡を働く力を与える。人々は彼の行動を理解できなくても批判する者は一人もいなくなる。こうして、彼の行為により、信仰に矛盾する新しい思想と哲学を導入することにより、全人類を混沌に引き込もう。

すべての倫理法則を滅ぼし、嘲りと汚聖と呪いをもって、極端な変化を起こし、新時代の進歩的思想を立ち上げよう。それは多くの若い男女を引き寄せ、もっとも洗練された堕落への熱烈な探究心をそそるであろう。

われわれはあらゆる邪悪の中で富を獲得する。彼が統治するあいだ、われわれの忠実な僕たちは、これらがみな悪魔によって計画されたことすら考えまい。彼らは人類を誘惑し、本能を抑制する人格を失わしめ、邪悪が蔓延する。その間に最も激しく活動しなければならない。キリストを呼び出す祈りの一つが一人の魂を救うからだ。

われわれの軍は総力を上げて攻撃し、愚かな暴力的な生を創り出し、全人類を支配し、すべてを破壊するために彼らを駆り出すであろう。特に、聖堂と教会を。われわれは、全能者を称える光はすべて消す。

教会で祈る者どもにはへびが出る。私が反キリストとして支配するあいだ存在するのは、邪悪と苦しみだけだ。それは、世界がかつて一度もお目にかかったことのないものとなる。

苦しみと狂気と空しい希望に絶望した人間どもは、何事においても神に呟(つぶや)き、呪いの言葉さえ神に浴びせるようになる。私の願いはここに絶頂を極める。これは、私の永遠にわたる憎しみと邪悪の支配期となるだろう」

サタンはものすごい形相でそう予言した。

(管理人注:もうすでに幾らかは、このような世界になっている感もしないではありませんが、しかし、大統領選で好戦家のヒラリーが敗れたり、またそれによるTPPの頓挫、シリア政府軍のアレッポ奪還など、さまざまな事柄をみても、地球は闇から光寄りになってきていることが感じられます。支配者層の企てはことごとく頓挫しており、その力が失われつつあることは明らかです。なので、このサタンの予言は成就することはないと思われるので、心配する必要はないかと思われます。また現在、波動上昇によって宇宙からの支援を遮っていた地球の覆いは全て外れ、支援が全開でできるようになったと確かな情報筋は言われています。なので、支配者層のあがきによる表面的な混乱はありながらも、地球は光の軌道を突き進んでいくものと思われます。)

老人は深く眉を寄せていたが、目は不思議な光に照らされていた。

「とんでもない!あなたはまったくわかっていない!悪が光に勝利するわけがない。悪はけっして善に打ち勝てない。私は前の生では欺かれたが、今はキリストが勝利し、暗黒世界の子であるあなたを踏み砕くと心から信じる」

サタンは立ち上がり、荒々しく叫んだ。
「その図太さと冒涜の言葉により地獄で一番恐ろしい拷問を用意する。だが、私の律法を理解しろ。悪の律法は神の律法と同じほどに厳粛である。私の言ったことは予言通りに成就することを」

広場全体を指してさらに言った。
「ここに、どれほど多くの罪人が集まっているか考えよ。反キリストの到来後に、この数は何百万倍にも膨れ上がる。彼らに適した責苦も考えてある」

そのとき、黒い人影が老人の近くに現れた。サタンは座って言った。
「今は体を苦しめない。それより、付き添いと一緒に地上に送り返す。おまえはその場所で昔の仲間に引き合わされる。おまえは彼らの汚聖の言葉と過ちを聞く。それはおまえ自身が彼らに吹き込み、今になって悔やんでいるものだ。おまえは、自分が間違っていたといい、彼らを納得させよう、正しい道に引き戻そうと全力を尽くすが、おまえの声は聞こえない、何の成果も得られない。これは、おまえにとって一番の苦しみになる。せいぜいやっていろ。負けを認めたら、おまえを果てしない海の惑星に送ってやる。その真中に高い岩が一つだけある。そこに座って、おまえの生徒たち、私の忠実な僕たちを見ていよ。彼らが、引きも切らずに私の王国に入ってくるのを見晴らせる。おまえには心から感謝する!行け!」

彼が手を大きく振ると、老人は黒い影に静かに伴われて、出口に向かった。全員の目が彼に注がれた。彼は出るや否や、身軽な小悪魔がサタンの座に飛び乗り、何かを彼に耳打ちした。サタンは「進めろ」とだけ言った。


地獄の舞踏会

小悪魔は広場の砂の上に飛び降り、玉座の前に並ぶ罪人の群れに合図した。すると、他の悪魔が叫びや悲鳴と共に、広場の中央に罪人たちを引いてきた。それから、無数の炎は交叉しながら、あらゆる方向に向かって地面から吹き出した。何千という数の、色とりどりの火の玉が空中に上がった。燦然たる照明がホール全体を照らし出した。

残りの罪人たちと悪魔らが、耳を覆いたくなるような大声を上げ、口笛を鳴らす中、突然、数千人のバレリーナが入場してきた。みな同様に短いスカートをはき、背をはだけて、イバラの花冠を被っている。踊るたびに、冠が激しい痛みを起こした。バレリーナは悲しげにサタンの玉座を回りながら、練習を重ねた古典バレーを演じた。そこに見る複雑なステップの意味が、私にはわからなかった。彼女たちは、前の世ではバレリーナだったが、享楽のためにしか生きず、罪を罰する霊界の存在をまったく考えなかったのだ。

それから、数百人のプリマドンナが広場に踊り出てきた。世界が輩出した最高のバレリーナばかり。彼女たちが地獄にいたのは快楽だけを追求したからである。あらゆる国から集められていた。目には悲しみが宿り、辛さを覆い隠すかのように、唇を噛んでいる。それが言葉以上に苦しみを物語った。だが、彼女たちは舞踏の技術を忘れていなかった。透き通った亡霊のように、やかましい地獄の伴奏に合わせ、軽く、優雅に、舞台の上をつま先で飛んだ。誇らしげに顔を上げ、過去の栄光に浸る者もいれば、失われた過去の栄光に泣く者もいる。陰気な主人の前で、ときどき絵のような美しいポーズをとったが、サタンは喜ばず冷笑するだけだ。小悪魔たちも主人に倣った。

観客はだんだん見るのに飽きてきた。数人の踊り子が途中で力尽きて倒れると、冷酷な小悪魔が馬乗りになって、顔が変形するほど殴りつけた。跪いて許しを願うが、聞いてもらえない。

サタンは「つまらん。悲しい!」と突然大声を上げた。

彼は、巨翼を広げて立ち上がり、目から火花を散らして周囲を見回すと、深く眉を寄せた。すると、彼をなだめようと羽音を立てて虫が飛んできた。それがきれいな聖歌に変わったが、サタンは悲しい思いに浸っているようで、聞こうとしない。その目は遠くに向けられていた。

それからサタンを喜ばそうと、聖歌隊が立ち上がると、火の矢が彼らの胸を突き刺した。次に、さらに多くのバレリーナ、曲芸師、ピエロ、奇術師が繰り出し、演芸に力を入れた。私は一人の赤毛の道化師が気になった。彼が難しい動きをして、転び、顔を歪めると、笑いが起きたが、私は彼の胸の苦しみを感じて同情を覚えた。彼は、灰色の悪魔によって、他の者と一緒に連れ出された。

喜びはない。ただ、恐怖だけが歌と舞踏を支配している。すべてが恐怖と暴力に包まれていた。突然、緑色の目をした半透明の奇怪な生き物が、クモの子を散らすように飛び散り、罪人たちを噛んで、耐えがたい苦しみを与えた。広場は断末魔の叫びに包まれたが、それでもサタンは満足せず、さらに多くを求めた。彼は目から火花を散らしながら、王者のように手を振って、小悪魔に合図した。小悪魔は罪人の群れに飛び込んで、彼らを叩き、男も女も狂った踊りに駆り立てた。



何もかもが、目を覆いたくなるほどぎらぎら輝いている。それから、空中にあがった火の玉が、踊り狂う群れの上に落下し、溶けた熱い金属となって体にかぶさり、音を立てて焼き焦がした。

地面から火の手が上がり、蛇が火の帯を巻きつけるかのように、罪人たちの体を覆った。私は騒音で耳が聞こえなくなってきた。大広間の目に見えない亀裂からは、硫黄の煙が霧のように立ち昇り、場所を埋め尽くした。

光が消え、翼をさする音が聞こえたときに、私は震え慄いた。サタンが、巨翼を広げて飛び立ったのだ。彼は、緑色の煙に包まれた罪人たちと小悪魔全員の上に来た。何かを呟き、勝利の笑い声を上げたが、言葉を聞き取ることはできなかった。

最後に、濃い霧が晴れたときに、次に起こることを、はっきりと見ることができた。苦しみに耐えかねた罪人らが、魔物に立ち向かったのである。激しい戦いが起きたが、容赦ない魔物たちが勝ち、罪人が鎖に繋がれた。

これが、サタンの祝う年に一度の祭りだった。ゴロゴロという不気味な音が頭に響いたときに、視界が霞み、一陣のつむじ風が、わたしを洞窟から吹き出した。それは未知の力によるものだった。



煉獄1に続く




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