危機に直面する乾燥林
これほど大きな昆虫が今まで知られていなかったのは不思議に思えるかもしれない。
その理由のひとつは、昆虫学者がこれまで主に目を向けていたのはこの国の熱帯雨林であり、マダガスカルの大半を占める乾燥林ではなかったことである。「これは残念なことです。乾燥林のほうがはるかに変わっていて特別なのですから。にもかかわらず、乾燥林そのものや乾燥林が今直面している大きな脅威について理解している人はほとんどいません」とベッカローニ氏は言う。
「バオバブの木があったり、壮観な多肉植物などが生えていたりと、ここには地球上のどんな場所とも違う生息地があります」(参考記事:「少女とバオバブ、マダガスカル」)
その森林が、木炭を作るための伐採といった人間の活動によって縮小している、とベッカローニ氏は訴える。(参考記事:「マダガスカル熱帯雨林、森林に迫る危機」)
「マダガスカルにふりかかる脅威の深刻さを考えれば、そこに生きるすべての種をそれらが絶滅する前に記録することを最優先すべきでしょう」(参考記事:「混乱のマダガスカル、保護区で略奪横行」)