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富山

高岡の鋳物 安全を願う 有礒正八幡宮「ふいご祭」

高熱で溶けた青銅を鋳型に流し込む鋳物師=高岡市横田町で

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 高岡市横田町の有礒正八幡宮で八日、高岡銅器の発展を祈願する「ふいご祭 鋳造式」があり、鋳物師が、御祭神で鋳物師の祖神「石凝姥神(いしごりどめのかみ)」に鋳造の技を奉納した。高岡銅器発祥の地とされる金屋町の嶋田一成自治会長(61)が講元を務めるふいご講が主催した。

 先だって、上田正宙宮司(49)による神事が行われ、昨年に鋳造された「御神鳥かわせみ」「御神紋」「誓い獅子」を奉納。業界関係者が玉串をささげて鋳造業の安全を祈願した。鋳造式で使う炉の種火をおこす「火きり」も行われた。

 鋳造では鋳物師の藤田勝与(しょうよ)さん(61)=藤勝工房代表=が指揮し、若手でつくる「青銅会」の職人が、炉で一二〇〇度まで熱して溶解した青銅を大小の勾玉(まがたま)の鋳型に流し込んだ。勾玉は来年の祭りに奉納する。鋳造式は二〇一一年から始まった。

 嶋田自治会長は「金屋町には銅器の店も多く、感謝の気持ちで講元を務めた」と話し、伝統工芸高岡銅器振興協同組合の梶原寿治理事長(66)は「生業としている鋳物の一年間の安全をお守りいただく神事」と鋳造を見守った。鋳物師として初めて参加した渡辺尚希さん(34)=梶原製作所=は「鋳造に対して新たな気持ちになった」と話した。

 鋳物師が振る舞うミカンを食べると風邪をひかないといわれており、同振興協同組合から提供されたミカン、鏡に見立てた丸餅が参列者百二十人に配られた。 (武田寛史)

登坂選手五輪連覇に期待

奉納「御神鳥かわせみ」贈る

塚原俊也さん(左)から、カワセミの置物を受け取る登坂修さん=高岡市横田町で

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 八日に高岡市の有礒正八幡宮で行われた「ふいご祭 鋳造式」で奉納された置物「御神鳥かわせみ」が、同市出身で二〇一六年リオデジャネイロ五輪レスリング女子48キロ級金メダリストの登坂絵莉選手(24)=東新住建=に贈られた。五輪二連覇を願って、金箔(きんぱく)が施されており、この日の神事に参列した父修さん(53)が受け取った。

 置物は昨年行われたふいご祭の鋳造式で鋳造された一体。銅器着色業の塚原俊也さん(50)=高岡市内免=が鋳型の基になる原型を製作した。

 登坂選手は一月に慢性的な痛みに悩まされてきた左足親指付近を手術。復帰戦となった九月の全日本女子オープン選手権で優勝したが、十月の合宿中に左膝と左足首の靱帯(じんたい)を損傷し、全治三カ月と診断された。

 修さんは「来月、娘に会う時に届けたい。けがからの復活を願う皆さんの思いが詰まっている貴重な物なので、娘も大変喜ぶと思う」と話した。

 登坂選手はリオ五輪前の正月に同神社を参拝。「リオ金 登坂絵莉」と書いた絵馬を奉納し、金メダルの願いがかなった神社として話題になり、その時の縁から、今回、置物を贈ることにした。 (武田寛史)

 

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