東芝、7 - 9月期は営業利益最高1351億円で市場予想上回る

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Toshiba Memory Corp. Plant And News Conference
Photogarpher: Akio Kon/Bloomberg
  • メモリーに続く収益力期待のインフラ事業の営業利益は43億円
  • 半導体製造などの部門で設備投資2000億円上乗せ6000億円に-今年度

東芝の7-9月期の営業利益は前年同期比76%増の1351億円だった。メモリー事業の好調が続き、同期としては2001年以降の最高となった。市場予想1278億円を上回った。ただ、同社は来年3月末までにメモリー事業の一部を売却する予定で、収益構造の転換が課題となる。

  9日の開示資料によると、売上高は2%増の1兆2426億円、純損益は1001億円の赤字(前年同期は355億円の黒字)に転落した。9月末時点の債務超過額は6198億円(6月末は5043億円)。2018年3月期の営業利益予想は4300億円を据え置いた。メモリー製造を手掛ける事業部門の今年度設備投資額を従来計画から2000億円上乗せして6000億円とすることも発表した。

  メモリーを主力とするストレージ&デバイスソリューション事業の営業利益が2.4倍の1314億円と全体の97%に上った。一方、新たな収益源に据えたいインフラシステムソリューション事業は52%減の43億円にとどまった。エネルギー関連事業は営業赤字だった。ただ、メモリー事業では合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)との係争問題が収益に影響を与える可能性もある。

  7-9月期の営業利益は14年の902億円がこれまでの最高だった。4-9月期で見ると前年同期比2.5倍の2318億円となり上期ベースでは、1989年の1630億円以来、28年ぶりに最高益を更新した。  

  東芝は2期連続で債務超過となり上場廃止基準に抵触するのを避けるため、メモリー事業の一部を米投資会社ベインキャピタルが主導する日米韓連合に売却することを決めた。10月には社会インフラやエネルギーなど4事業を分社化し、各事業で経営の自立性や責任の明確化を高め収益力を強化しようとしている。

  米国モーニングスターの伊藤和典アナリストは、メモリー事業について一部売却後は「現在のような収益の大黒柱としての活躍は望めない」と指摘。インフラや電力事業も安定はしても大きな成長は期待できず「以前のような利益水準の回復は当面は難しい」とみる。WDとの係争は設備投資の遅れにつながる可能性も指摘する。

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荒れた日本株、続落日経平均の値幅1年ぶり-海外勢買いと高値警戒感

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Bloomberg
  • 一時1992年1月以来の2万3000円乗せ、468円高から午後急失速
  • 円高も響きゴムや自動車安い、建設や小売堅調、代金3年ぶり多さ

9日の東京株式相場は下落。一時25年ぶりに2万3000円台に乗せた日経平均株価は午後に入り急失速、高安値幅は859円と丸1年ぶりの大きさに達した。好業績、日本株の出遅れを評価する海外投資家の買いに期待が強い半面、高値警戒感や為替の円高推移を受けた売りで相場は荒れた。

  TOPIXの終値は前日比4.49ポイント(0.2%)安の1813.11と3日ぶりに反落、日経平均株価は45円11銭(0.2%)安の2万2868円71銭と続落。

  みずほ証券投資情報部の三野博且シニアストラテジストは、午後に入り「このところの特徴の『円売り・株買い』の反動が出た。短期プレーヤーのヘッジファンドは、決算発表が一巡する11月中旬にかけ決算売りを出してくる」と指摘。10月の日本の総選挙から続いた上げ相場は、「区切りをつける動きがいったん出やすい」との見方を示した。

株価ボード前のウォッチャー(イメージ)
株価ボード前のウォッチャー(イメージ)
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  この日の日本株は、朝方からミネベアミツミや明治ホールディングスなど好業績銘柄を買う動きに加え、需給面では海外投資家の買いに対する期待が強く、主要株価指数は上昇で開始。史上最高値からの下げ幅の半値戻しを達成した日経平均は前引けにかけ一段高、一時468円(2%)高の2万3382円まで買われた。

  財務省がこの日午前に発表した10月の対外・対内証券売買契約の状況によると、海外投資家の対内株式投資は3兆4288億円の買い越しとなり、ゴールドマン・サックス証券によると比較可能な2005年以降で最大の金額規模だった。

  SMBC信託銀行の山口真弘シニアマーケットアナリストは、「米国と欧州勢は自国のマーケットが底堅いため、日本株のリスクを取る動きにつながっている」と言う。企業決算も、「為替やコストカットより、世界経済堅調の中で売り上げの伸びが利益拡大に貢献している。実力の伴った業績拡大」とみている。

  ただし、午後に入ると先物主導で失速。為替がやや円高方向に振れたのと歩調を合わせ、マイナス圏に転じた日経平均は一時390円(1.7%)安まで下げ幅を広げた。1日の値幅は850円を超え、トランプ氏が勝利した米大統領選直後の昨年11月9日(1315円)以来の大きさを記録。あす10日は株価指数11月限オプションの特別清算値(SQ)算出で、これに絡む先物の影響を受けやすい面があった。大阪取引所の日経平均先物の出来高は17万9000枚と前日から8割近く急増。オプションの取引上位では、2万3000円プット(売る権利)が出来高を伴い大きく下げた。

  東証1部33業種はゴム製品、石油・石炭製品、繊維、ガラス・土石製品、海運、輸送用機器、非鉄金属など21業種が下落。ゴム製品は、営業利益の低進捗(しんちょく)が嫌気された住友ゴム工業が下げを主導した。上昇は鉱業、建設、鉄鋼、保険、小売、精密機器、証券・商品先物取引など12業種。

  売買代金上位ではソニーや日産自動車、ブリヂストンが安く、野村証券が好業績は株価に反映済みと慎重な見方を示した三菱マテリアルも売られた。半面、中期経営計画の前倒し達成の可能性を示唆したミネベアミツミ、業績計画を引き上げた明治ホールディングス、上期利益が市場予想を上回ったスクウェア・エニックス・ホールディングスは高い。  

  • 東証1部の売買高は27億4775万株、売買代金は4兆9936億円、代金は14年11月4日以来、3年ぶりの高水準
  • 値上がり銘柄数は858、値下がりは1111

  

  
  

きのう決算発表したSMCや明治ホールディングスなど好業績銘柄が買われやすい。ただ、最近の株高に伴う高値警戒感もくすぶり、戻り売りが上値を抑えそう。

  野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、日本企業の好決算発表が相次ぐ状況から「省力化投資に関連した機械やテクノロジーのセクターを中心に視線は温かくなる」とみている。

  米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の8日清算値は2万2945円と、大阪取引所の通常取引終値(2万2940円)に比べ5円高。きょう上昇すれば日経平均株価は反発、TOPIXは3日続伸となる。

  若生氏によれば、野村証券が昨日までの決算発表結果をまとめたラッセルノムラ・ラージキャップ(除く金融)の今期経常利益見通しは、第1四半期が終わった8月時点の16.3%増から17.2%増に、同様に来期も7.7%増から8.5%増へと上昇した。若生氏は「業績は足元の今期だけでなく、来期以降も見通しが明るい」と述べた。

  SMCが8日発表した4-9月期営業利益は、自動制御機器の需要が日本、アジア、北米地域の半導体関連産業向けで伸長したことなどから前年同期比41%増の954億円だった。明治HLDは、18年3月期営業利益予想を945億円から前期比9.2%増の965億円に上方修正した。

  8日の米国株は、S&P500種株価指数は前日比0.1%高の2594.38、ダウ工業株30種平均は0.03%高の23563.36ドル。ナスダック総合指数は0.3%高の6789.12となった。この日は終値で初めて時価総額が9000億ドルを突破したアップルのほか、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどテクノロジー株が上昇した。

  米上院の共和党指導部が法人税減税の実施時期を1年延期することを検討しているとの一部報道に対し、ムニューシン米財務長官は「法人税率は来年のスタートを強く希望する。長く待てばその分、米経済にとってよくない」と発言した。

  きょうの株式相場の方向性を決める材料として、内閣府が取引開始前に発表する9月の機械受注がある。市場予想は前月比2%減、8月の3.4%増から悪化すると見込まれている。若生氏は「予想されている減少幅なら問題ないレベル。注目するのは同時に出される10-12月見通しで、高い数字ならば設備投資の回復が進むことになり、景気にプラスとなる」と述べた。

  ただ、若生氏はテクニカル指標からみた短期過熱感が上値抑制要因になるとみる。日経平均の25日移動平均線からの上方乖離(かいり)が昨日時点で6.2%であることや、相対力指数(RSI)も高水準にある点を挙げ、「ここまでくると買われ過ぎ。調整が入ってもおかしくない」と指摘する。

  けさのドル・円相場は1ドル=113円80銭台で推移。前日の日本株終値時点の113円83銭とほぼ変わっていない。米10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.33%。 

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