私は帰って来た、いっしーです
前回、前々回の続きでラストです。
この話はフィクションです。
発端
ナンパがキッカケで、16歳の家出少女2人と仲良くなり、水族館に行く約束をしました。
なぜ水族館なのかは忘れました。若さゆえのノリと勢いってヤツです。
「水族館イキターイ」
「OKOK、じゃ~いくかぁ~」
家出少女2人の話を聞いていると、どうにかして現状を打破したい。私たちだって普通の女の子になりたい!
でもどうしたらいいのか分からない・・・。
頼れる人も居ないし・・・。
心の底ではこう思っているのが伝わります。
話を詳しく聞いている内に、ぼくの中でニャースと雪見に対して”親戚の子供のような放っておけない感情”が沸いていました。
送迎
当日。友人の車で彼女たちを迎えに行きます。
「はろー」
「ハロー」
「!?」
夜の街で出会った時とは正反対の、カジュアルで16歳らしい服装でした。
素の自分たちを見せてくれる事で、少しは信頼されたのかな?とも思いました。
相変わらず2人共ピアス滅茶苦茶に空いてますけど。
「ぶ~ん」
水族館
「水族館なんて何年振りに来たんだろう・・・」
「ワーイ。魚キレーイ」
「これ食えんのかな~?」
「晩飯は寿司にでもいこうか」
可愛いです。性的な意味では無く、健全に可愛いです。
16歳の女の子が水族館で楽しんでいる姿を見てほのぼのしていました。
お土産コーナー
ひとしきり魚を見て楽しんだ後、最後にお土産コーナーに行きました。
可愛い魚の人形やキーホルダー、お土産用のクッキーが売っているアソコですね。
店に入ろうとした時、二人の目つきが変わりました。明らかに周りを気にしています。
「・・・何見てたの?」
「・・・・・・監視カメラの場所」
・・・万引きですね。
2人共お金が無いので、日常的に万引きをしているらしいのです。お店に入る時には監視カメラの死角を探すのがクセになっていると言っていました。
「もうそういう事は辞めよう。欲しいものがあれば買ってあげるから持っておいで。」
「じゃぁ・・・みんなでお揃いのキーホルダーが欲しい!」
「このイルカのやつ可愛いね。」
「4人分買うか~」
ニャースと雪見、2人は本当は素直でとってもいい子です。葛藤しつつも、自分を変えたいと思っているのが伝わります。
周りにちゃんと指導してくれる大人が居ないだけで、彼女たち自身は何も悪くありません、本気でそう思いました。
もしかしたら、世の中の家出少女達はみんなそうなのかもしれません。
自分を変えたい、普通の女の子になりたい、人並みに幸せになりたい。
でもどうしたら良いのか分からない、手を差し伸べてくれる大人も居ないし、頼れる人もいない・・・
ぼくらの言う事を素直に聞いて、自分を変えたいと前向きなニャースと雪見を見ていると、すごく応援したい気持ちになります。
ぼくらがレジでお会計をしている時、離れた場所で2人そろって募金箱をジーっと見つめていた時はマジで焦りましたけど。
帰路
魚を見てお寿司が食べたくなったので、回転寿司に行きました。
「ウチ、ワサビ食べれない」
「ウチもムリ」
「ハンバーグうめぇ」
「(なんで寿司に来たんだよ・・・)」
「パフェ食べていい?」
「うん。好きにして・・・そういえばニャースちゃん。なんでほっぺにピアス付いてるの?」
「コレね~外すとエクボになるんだよ!ほら!」
「おっおう・・・」
ニャースは顔にコンプレックスを多く抱えているらしく、エクボが欲しいので頬にピアスを開けて、その凹みでエクボを再現しているらしいのです。
これに関しては最後まで理解できませんでした・・・。
その後
その後も何回か一緒に買い物に行ったり、相談に乗ったりしました。
結局、雪見ちゃんは学校を辞めてしまいましたが、今では頑張って仕事をしているようです。
ニャースは学校に行ったり行かなかったり・・・それでも卒業の目途が立ったようです。
2人共、ヤバいバイト先を逃げるように辞めたので、岩手の繁華街にもう顔を出せなくなってしまいました。
しかしこれで良かったと思います。16歳の女の子が、夜の街をふらついている事の方が異常ですからね。
終わり。
またねbyいっしー