見た目はかわいらしいフクロモモンガだが、オトメインコ(Lathamus discolor)にとっては恐ろしい天敵だ。
オーストラリアのタスマニア島では、農業と林業の拡大に伴って森林伐採が進んでいる。そのせいで、この島にすむオトメインコが深刻な絶滅の危機に直面し、わずか2000羽にまで減少した。70メートルの巨大な木が次々に切り倒され、オトメインコが卵を産む場所がなくなってきている。(参考記事:「新種インコを発見、声はタカ似、残り100羽ほどか」)
だが、それ以上に彼らの脅威となっているのが、タスマニアで大量に繁殖したフクロモモンガだ。
手のひらサイズのフクロモモンガはリスに似ているが、リスよりも目が大きく、丸々とした体をしている。19世紀半ばにオーストラリア本島からペットとしてこの島へ持ち込まれ、後に野外へ放されて外来種として定着した。(参考記事:「【動画】フクロモモンガ 夜のお出かけ」)
「たぐいまれな能力で、彼らは森林伐採が進んでいる地域に適応してきました」と語るのは、「ディフィカルト(困難な)・バード・リサーチ・グループ」の保全科学者であるデヤン・ストヤノビッチ氏だ。
このグループ名は、明るい緑色をした小さなオトメインコが困難な研究対象であることから名付けられたとストヤノビッチ氏は言う。タスマニア島に営巣するが、花樹を求めてオーストラリア本島や周囲の島々にも飛来する。すべての木が毎年花を咲かせるわけではないが、ストヤノビッチ氏によると、オトメインコにはどの木で餌が得られるかを見分ける特殊な能力があるという。だが、これに関してはまだ研究中だ。(参考記事:「地球の奇跡! 目を疑うほど色彩豊かな動物たち」)
「カフェインを過剰に摂取したような感じです」。ストヤノビッチ氏は彼らの様子をいつもそうやって説明する。というのも、追いかけっこをしたり、けたたましくさえずったりしながら、鳥たちが木々の間を高速で飛ぶためだ。(参考記事:「コーヒーは幻覚を引き起こす?」)