Radeonの顔だったRaja Koduri氏がIntelに入社。将来的には「Intel製単体GPU」登場か
IntelとAMDは,つい先日,第8世代CoreプロセッサのH Processor Line(Hシリーズ)におけるRadeonの採用を発表したが(関連記事),Intelはほぼ同時に,Radeon部門のトップも採用したわけである。
RTGとIntelが,第8世代CoreプロセッサにおけるRadeonの採用計画で接近しており,さらにKoduri氏がRadeon RX Vegaの発表後に長期休暇へ入っていたという一連の動きからすると,周到に計画された移籍劇だったのかもしれない。
さて,ニュースリリースによると,Koduri氏はIntelが新たに組織する「Core and Visual Computing Group」のチーフアーキテクト兼副社長に就任するという。そして今後のIntelは,氏の率いる新チームにより,CoreプロセッサのPC市場における統合型グラフィックス機能(iGPU)から,ハイエンド向けの単体グラフィックス製品まで,幅広い分野でリーダーとしての地位を目指すとしている。文字どおりに受け取るなら,単体グラフィックス製品(dGPU)登場の可能性が出てきたことになる。IntelがdGPU市場を狙うのであれば,それは頓挫した「Larrabee」(ララビー)計画以来だ。
なお,Koduri氏の入社と新部門の設立に関して,Intelのクライアント&IoT部門のプレジデントを務めるVenkata (Murthy) M. Renduchintala博士がコメントを寄せている。いわく,「Intelには自社のグラフィックス機能を拡張し,強力なIP基盤を構築する計画がある。今後,IntelはKoduri氏のリーダーシップの下で,クライアント/データセンター部門やAI,エッジコンピューティングといった幅広い分野に渡る強力なIPを開発し,統合することになる。Koduri氏は,Intelによるデータ革命の原動力になるだろう」とのことだ。つまりは,単にGPUを作りますという話ではなく,AIなどの分野で先行するNVIDIAを追いかけ,追い越すための人事なのだと思われる。
Intelも2017年10月に,ニューラルネットワーク専用プロセッサ「Nervana」を発表するなど,まさに今,NVIDIAの後を追っているところだ。Koduri氏の入社によってIntelは,GPU製品を強化し,Intelが持つ強力なIPの1つに加えることで,AIに代表される次世代のコンピューティングに向けたポートフォリオの強化を図っていこうということなのだろう。
一方,Koduri氏を失ったRTGが今後どうなるのかも気になるところだ。AMDのRadeonシリーズが新たなアーキテクトを迎えて大きな変革を遂げることになるのか,あるいはアーキテクトを失って進化が停滞するのか,いずれにしても大きな転機を迎えることになりそうである。
Intelによるニュースリリース(英語)
関連記事:AMDのGPU部門を率いていたRaja Koduri氏が退職
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