昔ほど頻繁に聞かなくなりましたが、それでもやはり耳にするUX(ここではユーザー体験と定義)。「UX」とは、いわゆる「ユーザーエクスペリエンス」の略です。
和訳すると、
ユーザー(user)=利用者
エクスペリエンス(experience)=経験
※Experienceの頭文字、EXは、ドラクエの経験値を表す頭文字としても有名ですね。
お題としては今更感があるUXですが、「UI・UXを高める」という改善に対しては、よく議論や話題に上がります。今回は、UX(ユーザー体験)にフォーカスします。よく対で持ち出される、UI(ユーザーインターフェース)との違いは、別の機会で。
でもってUXが良いってどんな感じ?
「ユーザー体験を向上させたい!」「サイトでの体験向上!」という話は、社内の制作チームの中でも、話題に上がります。実際に最近のランチでも、社内のデザイナーとディレクターでその話になりました。そんな話で盛り上がる中、1つ素朴な疑問が。
「ユーザー体験が良かったって経験ってなんだろう」
「うーん…」
「なにかWebサービス使った時、感じたかな…」
実際にはUXがいいなーと思って、「あれってめっちゃUXよかった!UX最高!!」という話をしたことが、意外とないという現状。実際に、「体験が良かったこと」を思い出そうにも、Web業界だけ(特にWebサイトに強くフォーカスしてしまうと)で考えるとなかなか思いつかないんですね。
だったら、「実際に体験できる何か」で「体験を考える」ことがふさわしいと考えました。そこで、自分に置き換えて実際に体験して満足した音楽フェスティバル「フジロック」で考えてみました。
フジロックならではの体験って?
フジロックとは、ご存知の方も多いと思いますが、いわゆる「夏フェス」というやつです。20年以上も前からあり、7月の週末3日間、色々なアーティストが参加し、音楽ファンがわんさか集まるフェスティバルです。詳しくは、ここをご覧ください。
FUJI ROCK FESTIVAL’17:http://www.fujirockfestival.com/guide/
かくいう私も、何回か参加し、行くたびに「また来年も行きたい!」と毎回思って帰ります。そんなフジロックでの体験にフォーカスした良い思い出となると、「僕の場合」は以下でした。(以下は、ユーザーによってもちろん変わります。あくまで自分がペルソナの場合です。)
身構える遠さ
多分、字面だけ見ると近いほうがいいじゃん!てなると思うんですね。ただ、そのときは車で行ったんですが、「気心の知れた音楽仲間と好きな曲を聞きながら長野に向かうあの感じ」これが、あとあとの思い出話に花を咲かせます。初めてのフジロックは、すごい台風でしたが、富士山麓に向かっている旅感、は、今でもとても印象に残っています。
町が優しい
特に感じるのが、長野県苗場市の協力的な印象です。(個人の主観です。)
15年ぐらい前のお金のない頃、寝袋だけをもってフジロックに参加していたんですが、現地の人が、車でバス停まで送ってくれたり、本当に町ぐるみでフジロックが愛されているのが印象的でした。(運がいいだけとも言える)その時、現地の人から聞いた話では、新潟の苗場は、冬はスキー観光が盛んで人が来るが夏は閑散期だった。それが、フジロックが来て夏にも観光客を迎えられると。
このような背景もあると思いますが、町自体がウェルカムでとても気持ちよかったことを覚えています。
大自然!
フジロックは、苗場スキー場にあり、周りが山に囲まれています。また、「自然と音楽の共存」をコンセプトにしたフェスだけあって、周りは山だらけです。なのでもちろん、舗装された道ではなく、砂利道・山道も多く足がめっちゃ疲れます。
が!その自然がまた、なんとも言えず癒やされます。自然に。音楽を聞きに行ってるのに、バンドを見ずに川に足を浸しながら「ぼーーーーーっ」と、1時間ぐらいゆったりしたりします。このあたりも、フジロックならではの体験です。
美味い!
フジロックは、最大3日間開催されます。なので、必然的に3日間とも参加するユーザーは、3日間ずーーーとそこにいるわけです。お腹も減ります。常設の屋台があり、長野県の美味しいご飯が食べられるだけでなく、世界各国の料理が屋台にでます。
また、「音楽が好き」「なんやったら、好きなバンドが同じ」という共通項をもつ人々が集まるので、知らない人でも話が弾まないわけがありません。
バンドも良い
もちろん、出演バンドも良いことが多いです。他にも、「子供に優しい!」や「キャンプも最高!」なども感じました。
「体験が良いこと」で生まれる効果
そんなこんなで、色々良い体験を思い出しながら書きましたが、体験が良くなると、どんな効果があるのかなーと考えました。フジロックも、ベースはビジネスです。
早割チケット
フジロックには、「早割」という、制度があります。早割とはなにかというと、「まだ、ラインナップ決まってないけど、早く買うと安くなるよ」という制度です。
音楽聴きに行くイベントで、「ラインナップが決まってない」のにチケットを売る。という行為。で、それが完売してしまう感じ。普通そんなことあります?これはもう、「行くこと」そのものに価値を感じてる証拠かと思います。安くなるのも、数千円程度。
費用面の価値から、申し込んでいる人は少なそうです。ただ、初見のユーザーがトライするのには、少しハードルが高そうです。早い段階で参加人数が見込めれば、主催者側は開催可否の判断も早くでき、メリットが多いと考えます。
SNSでの拡散
7月になると、というか、夏になると自分のFacebookのタイムランは「フジロック」でざわつきます。Facebookの「フジロック楽しみ!」「今年も行くぞ!」「フジロック行ってきました。」的な投稿。僕自身も、こんな恨みつらみみたいな、投稿してます。
その当時の自分は、よっぽど行きたかったんでしょう。このように、ユーザーが自発的に「開催前」からSNSに投稿することで、広告以外でターゲットにリーチすることができます。また、SNS上での音楽好きの知り合いからの情報、という信頼感も相まってプロモーション効果が非常に高いと考えられます。
まとめ
音楽フェスティバルを事例にUXを考えてみました。音楽フェスティバルの楽しみというと、ふと浮かぶのは「どのバンドが出ているか?」という部分にフォーカスしがちですが、それがそのフェスの強みか?ときかれたら、少し異なりそうです。
なぜなら、そのバンド(コンテンツ)は、どのフェスにも理論上参加できるので、どのフェスの強みになり得るからです。それと違って、先に上げた「良い体験」は、なかなか他のフェスに移動しにくくまたそれを真似しようと思っても難しいことがわかりました。
このような「良い体験を味わいたい」というユーザーの想いが、ファン化を促進し、果てには、「どのバンドが出るかわからないのに早割チケットが売れてしまう」という事象に消化されるのでしょう。
ユーザーの体験が向上されると、ファン化が促され、それによる効果はすごく大きそうです。また、その体験の向上は「Webだけで再現する」ことが難しい場合も多そうですね。(ましてや遠い、や、不便、がポジティブに消化されることもあります。)
よって、「UXの向上」には、トータルでの設計・施策が必要になります。弊社は多種多様なサービスが揃っておりますので、ぜひともご相談ください。