『ゲーデル、エッシャー、バッハの薄い本』が電子書籍で読めます
知的冒険の書として『ゲーデル、エッシャー、バッハ』という本がある。タイトルが長いので、頭文字をとってGEBとしよう。
GEBは、ダグラス・ホフスタッターという天才が、知を徹底的に遊んだスゴ本だ。不完全性定理のゲーデル、騙し絵のエッシャー、音楽の父バッハの世界を、「自己言及」のメタファーで縫い合わせ、数学、アート、音楽、禅、人工知能、認知科学、言語学、分子生物学を横断しつつ、科学と哲学と芸術のエンターテイメントに昇華させている。
知的興奮に満ち溢れた一冊であり、わたしも大いにお薦めしているのだが、一言で言うと、こいつは鈍器である。700頁を超える大著であり、だいたい1kgで、サイズ的には大きめのレンガといったところか。GEBで殴り続けると人は死ぬ。
この厚いGEBを緩く読もうという読書会があり(ゆるゆるゲーデル、エッシャー、バッハ、略してゆるげぶ)、ゆるーくやっている。ゆるーくやっている割には、じつにさまざまな人が参加しており、「この本から楽しんでやろう」という熱い思いに満ちており、いくら語っても語り尽くせない面白さにあふれている。主催者の白石さんやよしおかさんの記事が楽しそう。
そんな読書会から出てきたのが『GEBの薄い本』なり。要するにGEBの同人誌やね。
断っておくが、これはGEBの要約本ではない。天才が知を自在にあやつり楽しんだ600ページの遊び場が、たかだか数十ページの薄い本にまとまるわけがない。
しかし、GEBを手にするものが、いかに知的興奮を刺激し、夢中になり、そして何よりも楽しめるかは、この薄い本を読めば充分に伝わる。なぜGEBが面白いのか、GEBにインスパイアされて何を思い出し、どんな思考がつむぎだされたかが詰まっている。早めぐり、コミカライズ、音楽方面からの再解釈、腐女子のためのBL化、味わいつくすための年表など、薄いわりにバラエティ豊かな同人誌なり。わたしは、GEBへの熱い思いを語ったインタビューと、「GEBの読前・読後にお薦めする本の紹介」で参加させてもらった(先月、アキバの技術書典という同人誌の即売会があったが、開始1時間以内で売り切ったらしい)。
GEBの薄い本は、「読むとGEBを読んでみたくなり、GEBを読んだらまた読みたくなる」がコンセプトだ。これは、GEBを読む気にさせる(既読者には再読する気にさせる)呼び水のような、エンジンのような本なのだ。
GEBは、もっと気軽に、楽しく読める。薄い本は、未読の方は情熱を焚きつけるとっかかりとして、既読の方は再読の呼び水として。
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コメント
で、電子版どこで読めるの……?
投稿: | 2017.11.08 23:54
ここです。書影クリックで行けますけど、文字列で表記しておきますね。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB%E3%80%81%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%80%81%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F%E3%81%AE%E8%96%84%E3%81%84%E6%9C%AC-1-%E3%82%86%E3%82%8B%E3%81%92%E3%81%B6-ebook/dp/B0776Y9RS7/ref=as_li_ss_il?ie=UTF8&qid=1510151226&sr=8-2&keywords=%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB+%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC+%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F&linkCode=li2&tag=daincocologni-22&linkId=327851a781547fb65fc03c0663b68575
投稿: Dain | 2017.11.09 00:00