新しいガイドラインの案について、有識者からは、行政の透明化や法令順守の観点から評価できるという意見の一方、効率的な行政に支障がでかねないといった指摘も出ています。
旧建設省出身で、政策研究大学院大学の福井秀夫教授は「公文書管理の範囲が広がって、政策の決定プロセスをかなりの程度検証できるようになり、行政の透明化や法令順守という観点から非常に意味がある」と評価する考えを示しました。
また福井教授は「録音や電子技術も非常に発展しており、紙で文書を管理するしかなかった時代と比べると、飛躍的にコストが安くなっている。その意味で、この程度文書管理の範囲を広げるのは、さほどの支障にならない」としています。
そのうえで福井教授は、各省庁の裁量でガイドラインの実効性が失われることがないよう将来的に法制化を検討することや第三者の専門家が文書の管理状況を監視する仕組みを導入することなどが必要だと指摘しました。
一方、旧経済企画庁出身で、大正大学の小峰隆夫教授は「政府の意思決定過程を透明にするため、文書もなるべく残していくことは当然だが、残すべき文書が多くなればなるほど、プロセスが厳しく規定されればされるほど、関わる人や時間が多くなりコストがかかる。行政の効率性や生産性も考えるべきだ」と述べました。
また、小峰教授は「あまりにも厳しい規定にしてしまうと結果的に、その規定にかからないためにはどうすればいいか工夫するようになる。公務員の自主性と良心で行政を行うという環境をつくる視点も重要だ」としています。
そのうえで小峰教授は「アメリカなどでは、相当細かいものまで公文書で残し、例えば大統領が辞めると文書をもとに回想録などが書かれる。日本でも残した文書を使って政策決定プロセスを分析するなどの活用を進めていくことも検討すべきだ」としています。
行政文書取り扱い 政府が新たなガイドライン案
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政府は、獣医学部の新設などで問題となった行政文書の取り扱いに関する新たなガイドラインの案を取りまとめ、メールなどの電子文書について、行政文書に該当するものは共有して保存する一方、私的文書は個人での管理を徹底することなどを明記しました。
政府は8日、有識者で作る公文書管理委員会の会合を開き、行政文書の取り扱いに関する新たなガイドラインの案を取りまとめました。
それによりますと、獣医学部の新設をめぐって、文部科学省に、伝聞を含む内容が確認されていない、個人的なメモとされる文書が省内の共有フォルダに保存されていたことなどを踏まえ、政策の立案に影響する場合は、これまで記録を作成していなかった打ち合わせも含めて行政文書を作成するとしています。
また文書の作成に当たっては、複数の担当職員や出席者などから、文書の内容の確認を取るほか、メールなどの電子文書について、行政文書に該当するものは共有して保存する一方、私的文書は個人での管理を徹底するとしています。
さらに財務省が大阪・豊中市の国有地売却をめぐる交渉記録を省の規則に従い、1年未満で廃棄していたことに関連し、行政運営が適正か検証するのに必要な文書に加え、日常的な業務連絡も、重要な情報を含む場合は1年以上保存するなどとしています。
政府は、この案についてパブリックコメントで意見を募ったうえで、来月決定し、各省庁に通知することにしています。
それによりますと、獣医学部の新設をめぐって、文部科学省に、伝聞を含む内容が確認されていない、個人的なメモとされる文書が省内の共有フォルダに保存されていたことなどを踏まえ、政策の立案に影響する場合は、これまで記録を作成していなかった打ち合わせも含めて行政文書を作成するとしています。
また文書の作成に当たっては、複数の担当職員や出席者などから、文書の内容の確認を取るほか、メールなどの電子文書について、行政文書に該当するものは共有して保存する一方、私的文書は個人での管理を徹底するとしています。
さらに財務省が大阪・豊中市の国有地売却をめぐる交渉記録を省の規則に従い、1年未満で廃棄していたことに関連し、行政運営が適正か検証するのに必要な文書に加え、日常的な業務連絡も、重要な情報を含む場合は1年以上保存するなどとしています。
政府は、この案についてパブリックコメントで意見を募ったうえで、来月決定し、各省庁に通知することにしています。
識者 評価の一方で課題指摘も
新しいガイドラインの案について、有識者からは、行政の透明化や法令順守の観点から評価できるという意見の一方、効率的な行政に支障がでかねないといった指摘も出ています。
旧建設省出身で、政策研究大学院大学の福井秀夫教授は「公文書管理の範囲が広がって、政策の決定プロセスをかなりの程度検証できるようになり、行政の透明化や法令順守という観点から非常に意味がある」と評価する考えを示しました。
また福井教授は「録音や電子技術も非常に発展しており、紙で文書を管理するしかなかった時代と比べると、飛躍的にコストが安くなっている。その意味で、この程度文書管理の範囲を広げるのは、さほどの支障にならない」としています。
そのうえで福井教授は、各省庁の裁量でガイドラインの実効性が失われることがないよう将来的に法制化を検討することや第三者の専門家が文書の管理状況を監視する仕組みを導入することなどが必要だと指摘しました。
一方、旧経済企画庁出身で、大正大学の小峰隆夫教授は「政府の意思決定過程を透明にするため、文書もなるべく残していくことは当然だが、残すべき文書が多くなればなるほど、プロセスが厳しく規定されればされるほど、関わる人や時間が多くなりコストがかかる。行政の効率性や生産性も考えるべきだ」と述べました。
また、小峰教授は「あまりにも厳しい規定にしてしまうと結果的に、その規定にかからないためにはどうすればいいか工夫するようになる。公務員の自主性と良心で行政を行うという環境をつくる視点も重要だ」としています。
そのうえで小峰教授は「アメリカなどでは、相当細かいものまで公文書で残し、例えば大統領が辞めると文書をもとに回想録などが書かれる。日本でも残した文書を使って政策決定プロセスを分析するなどの活用を進めていくことも検討すべきだ」としています。
旧建設省出身で、政策研究大学院大学の福井秀夫教授は「公文書管理の範囲が広がって、政策の決定プロセスをかなりの程度検証できるようになり、行政の透明化や法令順守という観点から非常に意味がある」と評価する考えを示しました。
また福井教授は「録音や電子技術も非常に発展しており、紙で文書を管理するしかなかった時代と比べると、飛躍的にコストが安くなっている。その意味で、この程度文書管理の範囲を広げるのは、さほどの支障にならない」としています。
そのうえで福井教授は、各省庁の裁量でガイドラインの実効性が失われることがないよう将来的に法制化を検討することや第三者の専門家が文書の管理状況を監視する仕組みを導入することなどが必要だと指摘しました。
一方、旧経済企画庁出身で、大正大学の小峰隆夫教授は「政府の意思決定過程を透明にするため、文書もなるべく残していくことは当然だが、残すべき文書が多くなればなるほど、プロセスが厳しく規定されればされるほど、関わる人や時間が多くなりコストがかかる。行政の効率性や生産性も考えるべきだ」と述べました。
また、小峰教授は「あまりにも厳しい規定にしてしまうと結果的に、その規定にかからないためにはどうすればいいか工夫するようになる。公務員の自主性と良心で行政を行うという環境をつくる視点も重要だ」としています。
そのうえで小峰教授は「アメリカなどでは、相当細かいものまで公文書で残し、例えば大統領が辞めると文書をもとに回想録などが書かれる。日本でも残した文書を使って政策決定プロセスを分析するなどの活用を進めていくことも検討すべきだ」としています。
行政文書取り扱い 政府が新たなガイドライン案
政府は、獣医学部の新設などで問題となった行政文書の取り扱いに関する新たなガイドラインの案を取りまとめ、メールなどの電子文書について、行政文書に該当するものは共有して保存する一方、私的文書は個人での管理を徹底することなどを明記しました。
政府は8日、有識者で作る公文書管理委員会の会合を開き、行政文書の取り扱いに関する新たなガイドラインの案を取りまとめました。
それによりますと、獣医学部の新設をめぐって、文部科学省に、伝聞を含む内容が確認されていない、個人的なメモとされる文書が省内の共有フォルダに保存されていたことなどを踏まえ、政策の立案に影響する場合は、これまで記録を作成していなかった打ち合わせも含めて行政文書を作成するとしています。
また文書の作成に当たっては、複数の担当職員や出席者などから、文書の内容の確認を取るほか、メールなどの電子文書について、行政文書に該当するものは共有して保存する一方、私的文書は個人での管理を徹底するとしています。
さらに財務省が大阪・豊中市の国有地売却をめぐる交渉記録を省の規則に従い、1年未満で廃棄していたことに関連し、行政運営が適正か検証するのに必要な文書に加え、日常的な業務連絡も、重要な情報を含む場合は1年以上保存するなどとしています。
政府は、この案についてパブリックコメントで意見を募ったうえで、来月決定し、各省庁に通知することにしています。