まずは、最近読んだ本の感想から…。
『エンターテインメントという薬 -光を失う少年にゲームクリエイターが届けたもの-』 - ファミ通BOOKS - ファミ通.com
読む前から(良い意味で)不思議が満載の本です。
一つ目の不思議
作者の 松山 洋さん 作家ではなくゲーム開発会社の社長
二つ目の不思議
ゲーム会社の社長が書くのに、テーマがノンフィクション(小児ガン・失明をテーマ)
三つ目の不思議
角川書店から発売されている本なのに、推薦文がジャンプ(集英社)の編集長!?
などアニメ・マンガ・ゲームなどジャンルの垣根を超え評価されている本。
色々と気になるキーワードが羅列されているので、つい手にとってしまいました。
感想を一言で言うと『カッコいいとはこういうことだ!』です。
3週間後、目が見えなくなる少年に「発売前のゲームを届ける」
開発にうん百億円の予算と数百人の人が関わるゲーム業界で
「たった一人の消費者」に対して行った特例措置。
その「奇跡(特例措置)」を実現するために動いた大人たちを
10年たった今、松山社長の視点で描かれていました。
改めて松山社長が取材することで「明らかになった事実」
「ゲームを受け取った少年がどう成長したのか」がテンポよく書かれています。
ボク自身、職業としてエンターテイメントに関わっています。
だからこそ、難しさ、共感する部分がたあくさんあり10ページほど読んだところで
涙がこぼれました。
その涙は、決して「同情」や「悲しい気持ち」ではなく
心の内に眠る『熱い気持ち』が表面化したものだと…。
残念ながら、肩書が「ゲーム開発会社の社長」ということからもわかるように
文章の流れやポイントは粗削りの部分があります。
※それが良い風に作用している部分もありますが、概ね反作用しています。
ですが、作者の「熱意」「思い」「伝えたいコト」がダイレクトに伝わり
疾走感がある文章の流れが読んだ後の気分の高揚につながります。
まさに表題のとおり「エンターテイメントという薬」
ゲーム業界やエンターテイメントの舞台裏に興味がある人はもちろん
「現在やっているコトに意味があるんだろうか?」と迷った時に読みたい一冊です。
【あらすじ】※公式サイトより転記
ゲーム業界の片隅で起きた小さな奇跡の物語――!
『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズや『.hack』シリーズの開発で知られる株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長の松山洋氏によるノンフィクション。
本書は、2006年12月、プレイステーション2用ソフト『.hack//G.U. Vol.3 歩くような速さで』発売直前に松山氏に入った1本の電話をきっかけに、ひとりの少年に出会うところから始まります。
その電話は、目の病気のため眼球摘出手術を受ける少年が、『.hack//G.U. Vol.2 君想フ声』の続きを遊びたい、と望んでいることを告げるものでした。ソフト発売は、手術の9日後。このままでは間に合わない――! そこで、視力を失う少年のもとへ直接ROMを届けに行くという、異例の対応を行った松山氏。10年前当時のことを振り返るとともに、この対応の裏で多くの関係者が動いてくれたことや少年の半生などをこまかに取材し、執筆しました。
ゲーム、エンターテインメントにできることって何だろう? 松山氏とその少年との出会いが、当時の開発スタッフに勇気と希望を与えるものであったこと、そして、エンターテインメントに関わるすべての人々へ伝えたい想いを込めた1冊です。