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相棒 season 16 #4[解][字] 2017.11.08

(森山健次郎)いらっしゃいませ!お弁当温めますか?
(冠城亘)いやそのままで。
はい。
(読み取り音)これ使える?はいお使いになれます。
じゃあ。
かしこまりました。
(携帯電話の着信音)はい。
あっ…昨日はどうも。
ありがとうございました!あっ…。
(車の解錠音)
(健次郎)お客さん!これ…お忘れです。
わざわざ店から?まだ30円残ってますから。
それと…よろしければどうぞ。
ありがとう。
またいらしてください。
では。
そのカードピカピカ光ってきれいですね。
ようケンちゃん。
頑張れよ。
ありがとうございます。
ここここ。
ねえやめようよ…。
大丈夫大丈夫。
絶対やばいって。
来いって。
大丈夫だから。
本当にやばいって…。
こっちこっち。
ここ…。
絶対やばい…。
(2人の悲鳴)
(宍戸洋介)どけ!
(男子高生)なんだよ…。
(女子高生)何?あれ…。
ねえやっぱやめようよ…。
大丈夫だから…大丈夫大丈夫。
(男子高生)なんだよ?あれ。
(女子高生)わかんない…。
(女子高生)嘘…!?たまに行くコンビニの店員なんですけどいつも全力投球って感じですがすがしいんですよ。
こんな世知辛い世の中でもいるところにはいるんですねああいう昭和の高校球児みたいな青年。
(杉下右京)それはそうとこのカード特に光ってはいませんがね。
いや…そこはどうでもいいでしょう。
(角田六郎)暇か?おはようございます。
おはようございます。
おはよ。
ちょっとごめんよ。
(操作音)例のダブル不倫女優のほうが会見やるらしいんだよ。
気になっちゃってさ…。
(アナウンサー)「コンビニエンスストア店員の森山健次郎さん25歳と見られ現場の状況から警察は殺人事件と見て…」ここじゃねえな…。
あっちょっと。
なっ…なんだよ?「森山さんの遺体は頭から血を流している状態で発見され遺体のそばにはボウリングで使用するピンが落ちており警察ではこのボウリングのピンで…」君もしかして…?ええ。
やはりなんでもかんでも事件に首を突っ込むのはどうかと思いますがねぇ。
いいじゃないですかどうせ暇なんだし。
それにこんな好青年が殺されたんです。
放っとけません。
森山健次郎25歳。
身寄りは…兄が1人だけですね。
あっ…金融コンサルタント会社経営か。
若いのに社長なんて結構なやり手みたいですね。
(伊丹憲一)特命係がこんなところで何をしてるんですか?冠城くんがこの事件に興味があるというもので。
(芹沢慶二)興味!?捜査はね夏休みの自由研究じゃないんだよ。
うまい事言いますね。
特命係の出番なんかない。
もう犯人の目星もついてる。
そうですか。
どのような目星でしょう?
(ため息)諦めてお帰り頂けるよう説明して差し上げろ。
もう…。
被害者の森山健次郎さんは2年前逃げる途中の窃盗犯宍戸洋介と出合い頭にぶつかって入院までしています。
その時の森山さんの証言で宍戸は実刑を食らったんですがその宍戸が今回の現場付近で目撃されているんですよ。
宍戸は1週間前に仮出所したばかりでつまり…。
お礼参りで森山健次郎さんを殺害した。
そういうわけなんでどうぞお引き取りを。
でも変ですね。
仮出所したばかりでそんなにすぐに捕まるような事しますか?また刑務所に逆戻りです。
よほど腹に据えかねたんだろう。
それにそもそも被害者がなぜボウリング場に?宍戸に呼び出されたからって素直に行くとは思えませんが…。
そんな事は宍戸を捕まえてからじっくり聞けばわかる事だ。
これ…なんでしょう?
(芹沢)仕事のメモじゃないですかね?大中小の「中」とか。
コンビニの店長の話だと被害者は手にメモする癖があったそうですから。
なるほど…。
何が気になります?ええこれなんですがね。
回転式のボールペンのようですがよく見るとペン先の部分が出されたままになっているんですよ。
となるとこの手のひらに書かれた文字は殺される直前に書かれた可能性がありますねぇ。
つまりこれはダイイングメッセージ。
あくまで可能性ですがね。
(チャイム)以前はご兄弟でこちらに?
(森山真一郎)ええ。
私が大学生あいつが小学5年生の時に両親が事故で亡くなりまして。
それから10年ほど両親が残したこの家で暮らしました。
私は4年ほど前に今のマンションに移ったんですがあいつはどうしてもここがいいと言って。
そうですか…。
健次郎さんはあなたとの思い出を大切になさっていたようですねぇ。
私が幼い頃から親代わりでしたから。
優しい奴でしたがあいつは弱虫でよく泣いてました。
何かあっちゃお兄ちゃんお兄ちゃんと私のあとばかりついてきて…。
お兄さんの事頼りにしてたんですね。
こんな事になるなんて…。
何か心当たりありませんか?弟さん誰かに恨まれていたとか。
そんな…!兄の私が言うのもなんですが弟は誰にでも優しくてみんなに好かれてました。
バイト先でもうまくやっていたようですし…。
中学を卒業してすぐに今のコンビニでアルバイトを始めたようですね。
勉強が大の苦手だったんです。
それで早くから働きに出て少しでも迷惑をかけないようにしたいといって今のコンビニに。
そうですか。
あっところで…。
こんなものが健次郎さんの手のひらに書かれていたのですがね。
何かの記号…あるいは漢字の「中」という字にも見えますが。
健次郎さんの周りに名前に「中」がつく方などいらっしゃいませんか?心当たりがあるんですね?ああ…はあ…。
(真一郎)中井さんには1年ほど前からうちで働いてもらっています。
(真一郎)健次郎の事で聞きたい事があるそうだ。
(中井小百合)なんでしょう?真一郎さんに伺いましたがあなたは元々健次郎さんのお知り合いだったそうですねぇ。
1年半ほど前です。
私派遣社員として別の会社で働いていたんですが…。
落とし物ですか?えっ?ええ…。
多分この辺りにキーホルダーを…。
ああ…会社に電話しないと。
もしもし中井です。
すみません…落とし物をしちゃって戻りが少し遅れてしまいます。
あの…。
1人で捜すより2人で捜したほうが見つかりますよ。
私が帰ったあとも捜してくれてたんです。
中井さん1番に電話です。
はい。
お電話代わりました中井です。
(健次郎)「キーホルダー見つかりましたよ!」えっ…。
それから親しくなってお兄さんの真一郎さんとも知り合いになって1年ほど前からここで働かせてもらっています。
親しくなった…。
つまり健次郎さんとは恋愛関係だった?いえ…。
告白はされた事はありましたが…人間的には素晴らしい人でしたけど恋愛の対象とは…。
彼とはそれでわだかまりが出来てしまったとか…。
いいえ。
なぜそんな事を?これなんですがね…。
彼が殺される直前に書いた可能性があるんです。
「中」という字にも見える。
中井小百合さんあなたの名前にも「中」がつきますよね。
私を疑ってるんですか?私がケンちゃんを殺すわけないじゃないですか!それは私も保証します。
告白のあとも健次郎はごく普通に彼女に接していましたし彼女に健次郎を殺す理由がありません。
では最後にもうひとつだけ。
鍵を拾った健次郎さんはあなたの会社に連絡をしてきた。
あなたが会社の番号を教えたという事でしょうか?いいえ。
それが不思議なんです。
特に名乗ってもいませんし…。
ケンちゃんに聞いてみても笑って答えてくれなくて。
そうですか…。
ケンちゃんにはいくつか不思議な事がありますねぇ。
君のカードが光って見えると言ったかと思えば教えてもらってもいない小百合さんの会社に電話をかけてきたり…。
そこ気になりますか?ええもうちょっと調べてみましょう。
益子さん…。
あれ?いませんね。
あっ!これ例の事件の物のようですねぇ。
ええそうですねぇ。
ああ〜ちょっとちょっと…!ケンちゃんの預金通帳ですねぇ。
おや?ここ4カ月ほどニシゾノ印刷という会社から月々10万ずつ振り込まれていますねぇ。
印刷会社?コンビニひと筋で働いてきたケンちゃんが全く畑違いのところで働き始めていた…。
ちょっと気になりますねぇ。
ええ。
(ドアノブを回す音)
(益子桑栄)おっ…お前ら何やってるんだ?いやあちょっとお願いがあって来たんですけどちょっと留守だったもんで…。
お願いってなんだよ?いえもう済みましたので。
どうもありがとう。
えっ?おいおい…なんか勝手に触ってないだろうな?それからいい釣りの穴場聞いたんでちょっと教えますよ。
なんか釣れるらしいですよ!ったく…。
(舌打ち)穴場か…。
うわっギリギリだ…。
間に合うでしょう。
おはようございます。
やはりこういう事でしたか…。
ちょっとお話を。
(機械の作動音)
(檜原)なんで森山くんが殺されるの?それを今調べているところです。
(檜原)いい子だったよ。
真面目でね。
残業頼んでも嫌な顔ひとつしないで引き受けてくれてさ。
彼がここで働き始めたきっかけはなんだったかご存じありませんか?さあ…。
お金じゃないの?深夜の印刷工場ってのは時給高いから。
なるほど…お金ですか。
ところでこの工場に「中」がつく名前の方はいらっしゃいませんか?中?うちにはいないと思うけどなあ。
この「X」と書かれた日森山さんが最後に出勤された日ですねぇ。
ちなみにこの「X」というのはどのような作業だったのでしょう?言えないから「X」なの。
こっちにも依頼主への守秘義務ってのがあるから。
あっ…。
ねっ!でも事件とは関係ないよ!ただの印刷だから。
危ないですよ。
(檜原)あっお疲れ。
こっちです。
あっ…。
つまり健次郎さんが好きだった小百合さんを兄のあなたが横取りしたという事ですか?いや…そんなつもりは。
仕事の相談に乗ってもらったりしているうちに自然と…。
健次郎さんはそういう2人の関係を?知らなかったと思います。
あいつの気持ちを考えると言えませんでした。
いやしかしそういう事って普通わかるんじゃないですか?いえ彼女に交際を断られた時も…。
小百合さんにフラれちゃって…。
またいい人見つかるさ!そうかな?
(真一郎)ああそうだよ。
そうだよね!兄さんの言う事なら間違いないよね。
ですから最後まであいつは私たちの事は疑っていなかったと思います。
そうですか…あの2人はそういう関係でしたか。
もしケンちゃんがそれを知っていたとしたら心中穏やかじゃなかったはずです。
その辺りトラブルがなかったかもう少し調べてみます。
右京さん今どこに?慶明大学に来ています。
(チャイム)中垣教授でいらっしゃいますか?
(中垣智徳)どなたかな?
(中垣)森山くんの事ならよく知っています。
ニュースを見て惜しい才能をなくしたと服部くんとショックを受けていたところです。
(服部由和)ええ…。
惜しい才能…といいますと?1年ほど前になりますか森山くんはモグリの学生として私の授業を受けに来ていました。
とても熱心だったんで黙認していたんですが…。
(中垣)今日はここまで。
先生…質問いいですか?ああ。
あのここなんですがこの証明別の方法もあると思うんです。
僕ちょっと考えたんですけど…。
まずですね両辺を−1のn+1乗で割るんです。
そうするとこれただの等差数列になるんです。
(中垣の声)驚きました。
彼は我々には考えつかないユニークな発想を持っていたんです。
(中垣の声)そこで研究室に呼んで能力を確かめると…。
めったにない逸材だと確信しました。
本人ももっと数学を勉強したいと言うのでこの研究室に通うように勧め服部くんに教育係を頼んだんです。
彼は新しい理論を教えるたびスポンジのように吸収していきました。
それに問題もほぼ瞬間的に記憶し解いてしまうんです。
瞬間的に…ですか。
将来は研究者になりたいという希望も持っていたようです。
なのにこんな事になるとは…。
なるほど。
それで「惜しい才能を」と。
あっ!そうそう…。
これは健次郎さんが殺される直前に書いたものだと思われるのですが…。
何を表しているかおわかりでしょうか?空集合ですね。
あるいはオイラー関数のφもしくはゼロスラッシュ。
さすが!お二人は数学者ですねぇ。
我々はこれを…「中」という字かと思っていました。
なるほど。
いやあお忙しいところありがとうございました。
あっ!申し訳ない…最後にもうひとつだけ。
ここに4つの数学の問題が書かれています。
これは先生がお出しになった問題ですか?いえ私では…。
僕も知りません。
そうですか…。
大学で数学?ええそれもかなりの才能の持ち主だったようです。
えっ…すげえな!ケンちゃん一体何者なんだ?となると手のひらに書かれていたのは数学の記号なのかもしれません。
オイラー関数のφまたはゼロスラッシュあるいは空集合。
空集合…。
(月本幸子)集合論の概念です。
う〜ん例えば身長が5メートル以上の人間の集まりっていうふうに当てはまるもののない集まりの事なんです。
女将さん…!そういえば幸子さんは数学がお好きでしたねぇ。
ええ…趣味としてたしなむ程度に。
たしなむ…。
しかしあれが「中」だという線も消えてませんよ。
おや何か収穫でも?誰に聞いても仲のいい兄弟だったという証言ばかりでしたが何しろ兄貴は弟が好きになった女と付き合ってるわけですから…。
まああの兄弟の関係はそう単純なものではないという事かもしれませんね。
真一郎さんが中井小百合さんをかばっている事だって十分に考えられる。
それとここにも「中」がいますよ。
ええ確かに中垣教授には引っかかるものがありました。
このノートの最後に書かれている4つの問題を見せた時教授は明らかに動揺していましたからねぇ。
でも変じゃないですか?ケンちゃんは勉強がまるで出来なくて進学も諦めたはず。
彼は確か2年前に入院していましたねぇ。
ええ窃盗犯の宍戸とぶつかった時に。
それが何か?いえ…。
(ゲームの音声)お忙しそうですね。
(青木年男)なんですか?この間のボウリング場の事件の被害者2年前の窃盗犯の目撃証言してるよな?その時の詳しい状況を知りたい。
困りますよ僕が特命に協力してるなんてわかったら。
でしょうねぇ。
では場所を変えましょう。
2年前の11月20日深夜宍戸洋介が貿易会社に侵入。
(青木の声)金品を奪って自転車で逃走する途中…。
(宍戸)うわっ!
(衝突音)痛い…。
(宍戸)あっ痛え…。
(宍戸)ああ…。
痛…。
ああ…金…!あっ…。
大丈夫ですか…?
(青木の声)森山健次郎はその後入院。
宍戸の容姿と所持金額が98万円だった事を証言しそれが事実と合致していたため宍戸は逮捕された。
こんなところですが。
今98万円と言いましたね?ええ。
100万円の束からあらかじめ2万円が抜かれていて盗まれた現金は98万円だったんですよ。
なるほど。
じゃあ僕はこれで。
あっくれぐれも…。
わかってます。
ご協力感謝します。
あっでも今さら無駄だと思いますよ。
逃げていた宍戸今朝確保されましたから。
すでに一件落着ですよ。
「俺は殺していない」
(芹沢)「じゃあなんであの夜あのボウリング場にいたわけ?」「あなたは見られてるんだよ」
(伊丹)「まさかお散歩していたなんて言わねえよな?」
(宍戸)「あいつにどうしても聞きたい事があった」だからあいつの家に行ったんだ。
行ってみたら玄関から出てくるのが見えて追いかけたんだ。
(宍戸の声)見失って捜していたら…。
(物音)あっ…!おい…。
嘘だろおい…。
本当だ!殺したのは俺じゃない!
(机をたたく音)お前な!そんな言い訳が通じるとでも思ってるのか!ああもう…。
いつもいつももう…!これは失礼。
1分かからないので。
ねっ?「ねっ?」じゃねえよ。
あなたが森山さんにどうしても聞きたかった事とは100万円の束の事ではありませんか?もう聞いてるし。
一万円札の束がバラバラになったにもかかわらずなぜ98万円と証言出来たのか。
ああ。
100万円の束から2枚抜かれていたなんてわかるはずがないんだ。
あとで警察が俺を陥れるために教えたに決まってる!それを確かめたかったんだよ!つまり全ては一瞬の出来事で98枚もの札を数えるなど不可能な状況だった。
そういう事ですね?ああそうだよ!そうですか。
どうもありがとう。
はい59秒。
1分かかりませんでした。
失礼します。
不思議な事がまたひとつ増えましたね。
なぜケンちゃんはばらまかれた一万円札の枚数がわかったのか。
君例のプリペイドカードをまだ持っていますか?ええ。
30円残ってますから。
調べてみてください。
調べる…?右京さんが言ったとおりこの番号素数です。
そうですか。
やはり素数でしたか…。
何をしてるんです?例の問題を解いてみようと思いましてね。
そろそろ種明かししてもらえません?ケンちゃんが一体何者なのか右京さん見当がついてるんでしょ?あくまで推論ではあるのですが…。
彼が光って見えると言っていたのはこの素数の事。
それは恐らく彼が共感覚を持っていたからでしょう。
共感覚というのは文字や数字に色を感じたり音や形に味を感じたりする特殊能力の事です。
そのような感覚を持っている人たちの中にはこの素数が光って見える場合があるようですよ。
…で?さらに彼は数学の問題を一瞬にして記憶し解いてしまう能力がありバラバラになった札を瞬時に目に焼きつけ数える事が出来た。
それらを考えると彼の正体が見えてきます。
つまりは…サヴァン症候群。
サヴァン症候群って見たものを瞬時に記憶したり計算機のように暗算が出来たり超人的な能力を持つ人の事ですよね?でも誰もそんな事を言ってませんでしたよ。
兄の真一郎さんだって…。
子供の頃から一緒だった真一郎さんが知らないはずがないでしょう。
ですから生まれつきではなかったのですよ。
恐らく彼がサヴァンになったのは2年前の事故によってでしょう。
(杉下の声)2年前の事故で特殊な能力を身につけた彼は数学に興味を持ち大学に通ううち才能を見いだされてその能力に磨きをかけた。
教わってもいない小百合さんの会社に電話をしてきたのもスマホの画面に浮かんだ電話番号を一瞬にして記憶したからでしょうねぇ。
で右京さんは彼のそんな特殊能力が原因で今回の事件が起きたそう考えてるんですよね?この問題もそれに関係してると。
解けました。
えっ?もう解けたんですか?ええ。
1問を除いては。
これ解けたって言います?言いませんねぇ。
しかし解けないからこそ事件の謎が解けたんです。
(チャイム)
(山崎真吾)こんな事は本学始まって以来の不祥事です。
部外者を学内に招き入れた責任をどう取るおつもりですか中垣教授!
(ノック)なんですか?あなた方は。
警視庁特命係の杉下と申します。
冠城です。
どうかご無礼をお許しください。
しかしどうしても皆さんに確認して頂きたい事がありまして。
これは先日の事件の被害者森山健次郎さんのノートです。
ここに書かれている4つの問題。
これはこの大学の来年の数学の入試問題ではありませんか?ああ…やはりそうでしたか。
入試問題が盗まれたとあっては大学としては一大事。
それでこうして理事長学長入試担当の責任者がお集まりになっていらっしゃる。
大丈夫です。
他には漏らしませんからご安心を。
(山崎)そのとおりです。
しかしなぜそれが入試問題だとわかったんです?どこから漏れたかもわかっているんですか?森山さんは4カ月前からとある印刷所で働いていました。
その印刷所はこの大学と取引のある印刷所でした。
しかも彼が殺される前日その印刷所では極秘の印刷作業が行われていました。
そこで入試問題が盗まれた可能性が高い。
我々はそう考えてます。
いやそれはあり得ません。
入試問題の印刷は厳重に管理されています。
盗み出す事など不可能です。
普通なら不可能でしょう。
しかし森山さんならばどうでしょう?問題を人に知られずに記憶として盗み出す事が出来たはずです。
健次郎が入試問題を?ええ。
働いてた印刷工場から盗み出していました。
本人から何か聞いていませんでした?いいえ…何も。
しかしあなたは健次郎さんから信頼されてましたよね?ええ…。
生活費のためにバイトを掛け持ちして帰ってきてあいつに飯を食わせて勉強を見てやって…。
青春をあいつに捧げたと言ってもいいぐらいです。
そうですか。
それほどの関係となると健次郎さんはあなたの言う事はなんでも受け入れた…。
どういう意味です?健次郎さんは入試問題を盗んでいました。
目的は不正入学に使うためでしょう。
だとすると彼が単独でやったとは考えにくい。
それをさせた人物がいるはずなんです。
それが私だと?調べてみたんですがこの計画が始まったと思われる4カ月前この会社相当資金繰りに困っていたようですね。
だからって…。
大体試験問題なんてそんな簡単に盗めるものではないでしょう?それが出来るんですよ。
健次郎さんは数学の問題を一瞬にして記憶し解いてしまうという特殊能力の持ち主でした。
あなたはそれを利用して入試問題を盗ませるために彼を印刷所へ送り込んだんじゃありませんか?お認めになりますね?はあ…。
会社が危なかったんです。
あのままいけば確実に倒産だった。
必死に頑張ってようやくここまできたんです。
潰すわけにはいかなかった…。
(携帯電話の着信音)
(真一郎の声)そんな時でした。
相手は不正入学のブローカーだと名乗った。
健次郎には特殊な才能がある。
それを利用すれば金になると。
すぐに前金が振り込まれました。
ただのいたずらではなかった…。
(真一郎の声)私は健次郎を呼んで本当にそんな才能があるのか確かめたんです。
そしたら…。
お前なんで黙ってた?本当の研究者になれたら言おうと思ってたんだ。
兄さんそのほうが喜ぶと思って…。
健次郎俺の事を助けてくれ。
えっ…?
(真一郎の声)最初は戸惑っていましたが会社が危ないと言うと最後は納得してくれました。
しかし入試問題の印刷があった夜…。
ノートに写したけど…置いてきた…。
健次郎!お前俺の言う事聞けないのか!今までお前のために俺がどんだけ苦労したと思ってんだ!
(健次郎)ごめんなさい…。
おい健次郎…!ごめん兄さん…やっぱ無理だよ…。
(真一郎)健次郎!なるほど。
やはりそういう事でしたか。
本当の事が言えずすいませんでした。
でも殺したりなんかしてません。
弟と会ったのはその夜が最後なんです。
ええわかっています。
犯人はあなたと健次郎さんを事件に巻き込んだ人物…。
…ですね。
(チャイム)今日はなんのご用でしょう?ご報告に。
ようやく健次郎さんの手のひらの記号の謎が解けたので。
実は例の入試問題を解いてみたのですがひとつだけ解けない問題がありました。
いや正確には問題は解けたのですが答えの選択肢に正解がなかった。
つまり出題ミスがあったという事です。
まさか…。
当然健次郎さんはその事に気づいたでしょう。
彼は殺される直前犯人の前でこの問題を解いたと考えられます。
その時選択肢に正解がないとわかった彼はパニックに陥った。
そしていつもの癖でこの記号を手のひらに書いたんです。
そうだとするとこの記号の意味は漢字の「中」でもオイラー関数のφでもゼロスラッシュでもありません。
空集合。
そう当てはまるものがないという意味だったんです。
そう考えた時一人の人物が思い浮かびました。
その人物は一見しただけで空集合と即座に答え他の可能性には言及しなかった。
それはなぜか?死の直前の健次郎さんと会いこの記号の意味を知っていたからなんですよ。
その人物とは…。
あなたです服部さん。
空集合ですね。
えっ?ちょっと待ってください。
それって言いがかりですよ。
健次郎さんのお兄さんの銀行口座に不正入試ブローカーを名乗る男から振り込まれた前金の記録が残っていました。
今その金が振り込まれたATMの防犯カメラ調べてもらってます。
誰が振り込んだのかじきにわかります。
そっか〜。
(拍手)バレてしまったみたいですね。
服部くん…なぜそんな事を?なぜ?大学は僕の才能を認めなかったじゃないですか。
僕より若い奴が何人も准教授になってるっていうのにこの年で僕は講師のまま?講師の給料がどれくらいかあなたなら知ってますよね?
(中垣)だからって不正入試を…?森山くんを利用させてもらったんですよ。
(服部)失敗した?弟がどうしても教えられないと。
なので頂いたお金はお返しします。
(爪をかむ音)
(服部の声)そんな事で諦めるわけにはいかないですよね。
(服部)君は研究者になってお兄さんを喜ばせたいんだろ?僕が力になる!だから問題を書き出すんだ。
(健次郎)んっ…。
出来ません!
(ため息)だったら警察に通報するよ?僕が指示したという証拠はない。
そうなれば君のお兄さんは…?犯罪者だ!大好きなお兄さんが犯罪者になってもいいのか?どうした?何してる?おかしいんですこの問題。
えっ?選択肢に答えがないんです。
ハハハ…そんなはずはない。
これのどこがおかしいんだ?わからないんですか?おかしいじゃないですか。
n引く1,1から右へ動く場合とn,0から上です。
x軸上にあるがまだ考える必要がある。
n,0へはn引く1,0から右へ動く必要があるわけです。

(服部の声)あいつは僕をあざ笑った。
凡人だとあざ笑った。
あざ笑ったんだ!
(殴る音)ハハハッ…!
(服部の声)僕はずっと神童って言われてたんだ。
凡人なんかじゃない!なのに大学もあいつもみんな僕を馬鹿にするんだよ。
てめえ…!冠城くん!冠城くん…!そうですか…。
犯人捕まりましたか。
あなたも窃盗の容疑で事情を聞かれる事になります。
ひとつだけわからない事があります。
あなたの会社確かに4カ月前まで火の車だった。
しかしそのあと大口の顧客がついて倒産の危機は脱しましたよね?なのになぜ計画を中止にしなかったんですか?あいつを…認めたくなかった…。
認めたくなかった…?弟でしょ?弟だからですよ!あいつは優しいだけが取りえの人より優れたところなんてなんにもない奴だった。
私はそんな出来の悪い弟の面倒を見る優秀な兄という役割だった。
それが心地良かった…。
それがある日突然特殊な能力を持った。
大学の研究者になるって?…冗談じゃない。
今度は俺が見下される…。
それだけは許さない。
だってあいつを育てたのは俺なんですよ!だから…犯罪に手を染めさせた。
もしかして小百合さんの事も…?
(真一郎)あいつの気持ちを知ってて取り上げてやったんです。
あなたね…。
兄弟というものは時として本人たちにしかわからない複雑な感情をもたらすものなのかもしれません。
しかしあなたのそんな思いが弟さんが命を落とすきっかけを作りました。
その罪をあなたは一生背負っていかなければなりませんねぇ。
おわかりでしょうが。
彼は周りのたくさんの方に愛されていたようですねぇ。
ええ。
じゃあな。
君そのカード…。
これ見るたびにあいつを思い出しますね。
そのうち数字が光って見えるかもしれませんよ。

(中園照生)警察学校内での事件なんだ。
(中園)絶対に首を突っ込むな!冠城くんは被害者の生徒だったそうですね。
樋口教官の娘さん。
(樋口真紀)捜査がありますので失礼します。
(米沢守)杉下警部!なんだか昔に戻ったようですねぇ。
2017/11/08(水) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
相棒 season 16 #4[解][字]

死体に残された暗号はダイイングメッセージ!?
解読不能の数式が特命係を翻弄する!!

詳細情報
◇番組内容
【第4話】『ケンちゃん』
亘(反町隆史)が顔見知りになったコンビニの店員・森山健次郎(西井幸人)が遺体で発見された。亘に担ぎ出される形で捜査に乗り出した右京(水谷豊)は、健次郎の遺体の手に謎の文字が書かれていたのが気になる。その後、健次郎の兄・真一郎(内田朝陽)をはじめ関係者の証言が集まるにつれて、右京は被害者の身に起きたある可能性を感じ始める…。
◇出演者
水谷豊、反町隆史
鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、山西惇、浅利陽介、田中隆三
【ゲスト】内田朝陽、西井幸人
◇スタッフ
【脚本】金井寛
【監督】橋本一
◇音楽
池頼広
◇おしらせ
最新情報はツイッターでも!
【ツイッター】https://twitter.com/AibouNow
【番組HP】http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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