『好一代女』のお話を紹介すると言っておきながら、いつまでたってもなかなか書きませんが、この件に関して誰にも何も言われないので、このまま当分、書かれることはないでしょう(笑)
それよりもですね、妖怪関係の草紙を色々見ておりましたらね、桜川慈悲成(さくらがわじひなり)作・歌川豊国画『化物夜更顔見世 ( ばけものよふけのかおみせ )』(寛政三[1791]年刊)って作品が気になりましてね、一冊丸ごと原本で読むのは大変ので、どっかに翻刻ないかしらんとざっと調べてみたのですが、どうもないみたいなので、ついつい自力で読んでしまいましたのよ!
だから、せっかく苦労して読んだので、ここで翻刻でも載せないと気が済まないじゃないですか!(笑)
いつも通り、翻刻と現代語表記と現代語訳と解説を載せますよ♪
もちろん、現代語訳は厳密なものではなく、わかりやすくざっくりとしたものになっておりますので、古文に拒否反応を示す方は、翻刻と現代語表記はすっとばして、ざっくり現代語訳と解説だけでも御覧ください(笑)
あ、この作品、読むのが結構、難しかったので、たぶん間違いとか出てくると思います。あとで、間違いに気づいたらしれっと何事もなかったかのように訂正してると思いますので(笑)
たぶん全部紹介し終わるまでに十回はかかると思われ、このブログにしては長丁場になると思います。
途中で違う内容の記事とかも入れたりするかもしれないので、わけわかんなくならないよう、今巻のタイトルは普通に漢字で題名です(笑)
タイトルにある「顔見世」については、前に説明したのでそっちを見てくださいね♪
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それではまず、序文から読んでいきましょう♪
※国会図書館の画像を利用しています。
詳細画像は国会図書館のホームページでご覧ください。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物夜更顔見世 2巻
4ページ目です。
【翻刻】
まかり出(いだ)せる此(この)二冊物(さつもの)は物(もの)は物にて
化物成(ばけものなり)されどこわひものにあらずおそろしひ
物にあらすまつた気(き)のきいたものでは猶(なを)なし
趣向(しゆこう)は新(あたら)しひ物やら古(ふる)ひ物やら物が物して物が
物とたゞ戯(もの)したまゝに筆(ふで)をさつさ物にはしらせ
心得(こゝろへ)は山菜かごの目ときたものなれば大目に
見(もの)して御覧(もの)ねがひ上巻(あげまき)のぬけ穴とものす
づんどいなかもの
慈悲成述(ものす)
【現代表記】
罷り出(いだ)せる此(この)二冊物(さつもの)は、物(もの)は物にて化物成(ばけものなり)。されど怖いものにあらず、恐ろしい物にあらず、まった気(き)の利いたものでは猶(なお)なし。
趣向(しゅこう)は新(あたら)しい物やら、古(ふる)い物やら、物が物して物が物と、ただ戯(もの)したままに筆(ふで)をさっさ物に走らせ、心得(こころえ)は山菜籠の目ときたものなれば、大目に見(もの)して御覧(もの)願い、上巻(あげまき)の抜け穴とものす。
ずんど田舎者・慈悲成述(ものす)
【ざっくり現代語訳】
この度出版いたしますこの二冊の草紙は、化け物のお話であります。
とはいえ、恐ろしいものではございません。
かといってシャレたものでもございません。
新旧織り交ぜた題材で、ただ思うままに書きつらねましたので、山菜籠の目のように大雑把な内容となっておりますが、どうか大目に見てやってくださいませ。
以上、言い訳を兼ねたご挨拶といたします。
by ど田舎者・慈悲成
【解説】
まあ、序文なので大したことは書いてませんが、ここで分かるのは、この作品が二冊で完結するの化け物のお話だということです。
そして、ざっくり現代語訳では省きましたが、原文では「もの」という言葉をテンポよく連呼した、言葉遊びのようなシャレた文章になってるのが特徴です。
署名の下には落款にしてはなにやらカワイイ絵が描かれています。
上部右に「ね一」とページ番号が振られています。
上部中央についている紋は、出版者の西村屋与八の紋ですね。
※参考『七福今年咄』より
国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 七福今年咄 : 2巻
3ページ目です。
さて、くずし字クイズも忘れてませんよ!(笑)
くずし字クイズは次回の分から出題します!
もちろん、正解発表は次回と言うわけです!(笑)
【ヒント1】
この字はよく出てくる「可」のくずしですから、もう覚えましたよね♪
【ヒント2】
この字は「里」のくずしなのですが、さて何と読むか?
【ヒント3】
すべて平仮名です、漢字はありません!
次回に続く!!!