生命保険料や地震保険料を支払っている場合、生命保険料控除・地震保険料控除の手続きをすると、払い込んだ保険料によって一定の金額がその年の所得から差し引かれます。税率をかける前の所得が低くなることで、所得税と住民税の負担が軽減されます。
秋頃になると、生命保険や地震保険に加入している場合、保険会社から「生命保険料控除証明書」や「地震保険料控除証明書」が届きます。
この証明書を使って、会社員の方は年末調整時に、自営業の方は確定申告時に手続きを行うと所得税と住民税の負担が軽減されます。
また、年末調整もしくは確定申告の手続きをすれば、住民税の手続きは不要です。
生命保険料控除には、「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の保険料控除があります。
一般生命保険料控除 | 生存または死亡に基因して一定額の保険金、その他給付金を支払う ことを約する部分に係る保険料 |
---|---|
介護医療保険料控除 | 入院・通院等にともなう給付部分に係る保険料 |
個人年金保険料控除 | 個人年金保険料税制適格特約の付加された個人年金保険契約等に 係る保険料 |
資料:公益財団法人 生命保険文化センターHP「税金に関するQ&A」を基に作成
いずれに分類されるかは特約等の名称に関わらず、保障内容によって異なるため生命保険会社に確認しましょう。
生命保険料控除制度が改正され、平成24年1月以降に、対象となる保険や控除額が変更になりました。保険に加入した時期や契約内容の変更によって、新契約と旧契約に分かれ、控除額や計算方法が異なるので注意しましょう。旧制度では対象でなかった「介護医療保険料」も対象となり、「一般生命保険料」と「個人年金保険料」と合わせて3つの保険料が対象となりました。控除の上限額は下記の図のように変更となりました。
所得税 | ||
---|---|---|
区分 |
年間払込保険料額 |
控除される金額 |
一般生命保険料・ 個人年金保険料 (税制適格特約付加) | ||
25,000円以下 | 払込保険料全額 | |
25,000円超 50,000円以下 | 払込保険料×1/2+12,500円 | |
50,000円超 100,000円以下 | 払込保険料×1/4+25,000円 | |
100,000円超 | 一律50,000円 |
住民税 | ||
---|---|---|
区分 |
年間払込保険料額 |
控除される金額 |
一般生命保険料・ 個人年金保険料 (税制適格特約付加) | ||
15,000円以下 | 払込保険料全額 | |
15,000円超 40,000円以下 | 払込保険料×1/2+7,500円 | |
40,000円超 70,000円以下 | 払込保険料×1/4+17,500円 | |
70,000円超 | 一律35,000円 |
所得税 | ||
---|---|---|
区分 |
年間払込保険料額 |
控除される金額 |
一般生命保険料・ 介護医療保険料・ 個人年金保険料 (税制適格特約付加) | ||
20,000円以下 | 払込保険料全額 | |
20,000円超 40,000円以下 | 払込保険料×1/2+10,000円 | |
40,000円超 80,000円以下 | 払込保険料×1/4+20,000円 | |
80,000円超 | 一律40,000円 |
住民税 | ||
---|---|---|
区分 |
年間払込保険料額 |
控除される金額 |
一般生命保険料・
介護医療保険料・ 個人年金保険料 (税制適格特約付加) | ||
12,000円以下 | 払込保険料全額 | |
12,000円超 32,000円以下 | 払込保険料×1/2+6,000円 | |
32,000円超 56,000円以下 | 払込保険料×1/4+14,000円 | |
56,000円超 | 一律28,000円 |
資料:公益財団法人 生命保険文化センターHP「税金に関するQ&A」を基に作成
※上説新制度は2016年4月現在の税制・税率に基づき作成しております。
税制・税率は将来変更されることがあります。
「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」については、旧制度と新制度でそれぞれ計算して合計することができます。そのときの各控除の適用限度額は、所得税で40,000円、住民税で28,000円です。
旧制度の適用限度額は、所得税で50,000円、住民税で35,000円なので、旧制度のみで所得税の控除額が40,000円を超えるときは、引き続き旧制度で控除を受けることになります。
新・旧合わせて制度全体の適用限度額は、所得税で120,000円、住民税で70,000円です。
全体の適用限度額 所得税120,000円・住民税70,000円 | |||
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【新制度】
平成24年 以後の契約 |
①一般生命保険料控除 所得税40,000円 住民税28,000円 |
介護医療保険料控除 所得税40,000円 住民税28,000円 |
③個人年金保険料控除 所得税40,000円 住民税28,000円 |
【旧制度】
平成23年 以前の契約 |
②一般生命保険料控除 所得税50,000円 住民税35,000円 |
- |
④個人年金保険料控除 所得税50,000円 住民税35,000円 |
①+②、③+④の場合の適用限度額は、所得税40,000円・住民税28,000円です。
資料:公益財団法人 生命保険文化センターHP「税金に関するQ&A」を基に作成
地震保険料を支払った場合、一定額の所得控除を受けることができます。所得税が最高50,000円、住民税が最高25,000円、課税所得金額から控除されます。控除の対象となる保険や共済の契約は、自己もしくは自己と生計をともにする配偶者やその親族が所有している居住用家屋・生活用動産が対象です。
平成18年に税制改正があり、平成19年度分より損害保険料控除が廃止されました。そのため経過措置があり、要件を満たす一定の長期損害保険契約に係る損害保険料も地震保険料控除の対象とすることができます。
所得税 | ||
---|---|---|
区分 |
年間払込保険料額 |
控除される金額 |
地震保険料
| ||
50,000円以下 | 支払保険料全額 | |
50,000円超 | 一律50,000円 | |
旧長期損害保険料 (経過措置) | ||
10,000円以下 | 支払保険料全額 | |
10,000円超 20,000円以下 | 支払保険料×1/2+5,000円 | |
20,000円超 | 一律15,000円 |
住民税 | |||
---|---|---|---|
区分 |
年間払込保険料額 |
控除される金額 |
|
地震保険料
| |||
50,000円以下 | 支払保険料×1/2 | ||
50,000円超 | 一律25,000円 | ||
旧長期損害保険料 (経過措置) | |||
5,000円以下 | 支払保険料全額 | ||
5,000円超 15,000円以下 | 支払保険料×1/2+2,500円 | ||
15,000円超 | 一律10,000円 |
資料:国税庁「地震保険料控除」(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1145.htm)、東京都主税局HP「都税Q&A」を基に作成
※地震保険料(長期損害保険料)の控除額は2016年4月現在の税制・税率に基づき作成しております。
税制・税率は将来変更されることがあります。
会社員の場合は年末調整の際に保険料控除の申告を行います。保険会社からの控除証明書は届いても、申告書の「計算方法がわからない」「どこに何を書いたらいいのかわからない」という人も多いのでは。
でも、そんなに難しいことではありません。
よくある疑問を中心に書き方を見てみましょう。
控除申告書は大きく「生命保険料控除」と「地震保険料控除」の欄に分かれています。 「生命保険料控除」はさらに「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」に分かれています。保険会社から届く生命保険料控除証明書を見ると、どの保険料にあたるのかが書いてあるので、保険の種類ごとに分類してから該当する欄に書き入れていきます。
保険料控除証明書に記載されている【保険会社等の名称、種類、保険期間、契約者名、新・旧の区分】等を該当する欄に書き入れます。
なお年末調整で対象となるのは、保険金等の受取人が本人または配偶者、その他の親族ですので、念のため配偶者や親族にももれがないか確認しましょう。
保険会社から送られてくる保険料控除証明書に、「証明額」と「申告額(参考額)」の2つの金額が書いてある場合「あなたが本年中に支払った保険料等の金額(分配を受けた剰余金等の控除後の金額)」の欄にはどちらを書けばいいのでしょうか。ここには、12月まで契約を継続するのであれば、控除証明書が発行された時点の支払金額である「証明額」ではなく、「申告額」を書きます。
加入している保険が多くて行が足りない場合は、用紙を継ぎ足すか内訳書を添付してもいいのですが、控除の限度額に達していたらそれ以上書く必要はありません。申告しても控除額は変わらないからです。
保険料控除証明書は控除の手続きのために必要なものなので、保険会社から届いたら、必ず開封・チェックしましょう。
また、年に一度、年末調整や確定申告の際に「加入中の保険は今の状況に合っているかな?」「この保障は足りているかな?」等、保障内容が家族の状況や今のライフステージに合っているかを確認することで、いざというときに困らないように備えることができます。
取扱保険会社・保険商品は店舗により異なります。あらかじめご了承ください。
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