秩父鉄道が週末を中心に運行するSLパレオエクスプレス。東京から最も近いSLとして、運行開始30年がたった現在でも人気列車となっています。この記事では、SLパレオエクスプレスの指定席・自由席の予約方法や、自由席の座席確保のコツ、お得なフリーきっぷの情報、実際に乗車した経験をもとにした繁忙期の混雑状況などについてご紹介します。
SLパレオエクスプレスとは?
SLパレオエクスプレスは、秩父鉄道が運行するSL列車です。3月~12月の観光シーズンの週末を中心に、熊谷~三峰口間で1日1往復運転されています。
1987年に、現鴻巣市の立吹上小学校に保存されていた蒸気機関車(C58 363)を復活させたのが始まりです。2017年はSL運行開始30年にあたります。
沿線には、長瀞や秩父などの人気観光地があり、起点駅の熊谷駅が東京から近いこともあって、観光客に人気のSL列車となっています。
運転日・運転時刻は?
SLパレオエクスプレスは臨時列車として運転されているため、乗車したい日に運転されているかを事前に確認しましょう。例年、3月~12月の土日・祝日を中心に運転され、ゴールデンウィークや8月の夏休み期間中には平日の運転日も設定されています。
詳しい運転日は、秩父鉄道のWebサイト(SLパレオエクスプレスのページ)をご覧ください。
運転時刻(ダイヤ)は、土休日と平日で若干異なります。(下記は2017年の運転ダイヤです)
- 土休日ダイヤ
- 熊谷 10:10発 → 武川 10:31着/10:33発 → 寄居 10:51着/11:00発 → 長瀞 11:26着/11:37発 → 皆野 11:49着/11:50発 → 秩父 12:07着/12:15発 → 御花畑 12:18着/12:19発 → 三峰口 12:50着
- 三峰口 14:03発 → 御花畑 14:30着/14:31発 → 秩父 14:34着/14:36発 → 皆野 14:53着/14:55発 → 長瀞 15:05着/15:13発 → 寄居 15:37着/15:39発 → 武川 15:56着/15:58発 → 熊谷 16:18着
- 平日ダイヤ
- 熊谷 10:12発 → 武川 10:33着/10:34発 → 寄居 10:52着/10:59発 → 長瀞 11:25着/11:32発 → 皆野 11:44着/11:45発 → 秩父 12:03着/12:11発 → 御花畑 12:13着/12:15発 → 三峰口 12:45着
- 三峰口 14:00発 → 御花畑 14:26着/14:27発 → 秩父 14:30着/14:32発 → 皆野 14:49着/14:50発 → 長瀞 15:00着/15:10発 → 寄居 15:34着/15:41発 → 武川 15:58着/16:00発 → 熊谷 16:20着
乗車される場合には、念のため、秩父鉄道のサイトで運転時刻をお確かめください。
座席の予約方法は?
SLパレオエクスプレスは、蒸気機関車+客車4両で運転されます。4両の客車は、いずれも同じ座席の車両になっていますが、
- 指定席車 1両(蒸気機関車のすぐ後ろの車両、三峰口行きは1号車、熊谷行きは4号車)
- 自由席車 3両(後ろ側3両、三峰口行きは2~4号車、熊谷行きは1~3号車)
となっています。
指定席・自由席ともに事前予約が必要!
最も注意しなくてはならないのは、指定席、自由席ともに事前の予約が必要 という点です。通常の乗車券(きっぷ)に加えて、「SL座席指定券」または「SL整理券」が必要です。
- 指定席への乗車: 乗車券、SL座席指定券(720円)が必要
- 自由席への乗車: 乗車券、SL整理券(510円)が必要
「SL座席指定券」は、その名のとおり、座席番号を指定する券で、その座席が確保されます。つまり、着席が保証されます。
一方、「SL整理券」は、自由席車に乗車するための券になりますが、座席は確保されません。SL整理券は、座席数よりも多く発売されますので、混雑期には着席できない可能性があります。それでも、SLパレオエクスプレスに乗車するためには必要になります。
SL座席指定券・SL整理券の予約・購入方法
わかりにくい点が、「SL座席指定券」と「SL整理券」の購入方法が異なることです。
SL座席指定券 | SL整理券 | |
---|---|---|
効力 | 指定席を確保 (着席保証) |
自由席車に乗車可能 (着席は保証されない) |
価格 | 720円 | 510円 |
予約購入方法 | 窓口での事前購入のみ | 電話・Web予約、窓口購入 |
発売箇所 | JR東日本のみどりの窓口 びゅうプラザ |
SL停車駅、旅行代理店(※1) JR東日本のみどりの窓口 びゅうプラザ |
発売期間 | 1ヵ月前~2日前まで | 1ヵ月前~前日(※2) |
払戻手数料 | 2日前まで 220円 出発まで 360円 |
出発まで 220円 |
※1: 東武トップツアーズ各店、JTB各支店、近畿日本ツーリスト各支店 ※2: 旅行代理店では前日15時まで、JR東日本のみどりの窓口・びゅうプラザでは2日前まで、電話予約・Web予約では前日15時まで
「SL座席指定券」は、秩父鉄道の駅(SL停車駅含む)では扱っておらず、JR東日本のみどりの窓口、びゅうプラザでしか購入できません。秩父鉄道の窓口でも購入できませんので注意が必要です。また、電話予約やWebでの予約・購入も一切扱っていないようです。「SL座席指定券」を購入したければ、JR東日本のみどりの窓口、びゅうプラザに出向くしかありません。
一方、自由席車に乗車できる「SL整理券」は、電話予約やWeb予約、秩父鉄道の窓口での購入もできます。
詳しくは、秩父鉄道のWebサイトをご覧ください。
SL整理券のWebサイトでの予約方法
ここでは、SL整理券を、秩父鉄道のWebサイトで予約する方法をご紹介します。
まず、秩父鉄道のWebサイトの「SL整理券(自由席)予約状況」のページにアクセスします。
ここで、SL整理券の予約状況を見ることができます。自由席で、座席数以上を発売することがあるとはいえ、販売枚数が決まっているようです。その販売枚数を超えると、上記の予約状況の表で「×」となって、予約ができなくなります。
「〇」「△」「▲」の表示で、かつ、予約受付期間中(前日15時まで)であれば、予約ができます。
乗車したい日の「日付」をクリックすると、「SL整理券予約フォーム」が表示されますので、必要事項を入力します。
くだり(熊谷→三峰口)、のぼり(三峰口→熊谷)の両方の入力フォームが表示されます。乗車したい列車の「乗車駅」と「降車駅」を選択します。乗車しない場合には、乗車駅・降車駅ともに「乗車しない」を選択する必要があります。
必要事項を入力して送信すると、自動応答メールが返ってきます。そのメールに「受付番号」が記載されています。SL整理券と引き換えるときに、「受付番号」が必要になります。
SL整理券の引き換え方法
SL整理券を電話やWebで予約した場合には、SL乗車前に引き換える必要があります。
とはいっても、乗車日前に事前に窓口などに出向く必要はなく、乗車当日に、SL乗車駅の窓口で引き換えることができます。
私が熊谷駅から乗車した時には、熊谷駅の秩父鉄道の改札を入ったすぐのところに、SL整理券の引き換えカウンターが設置されていて、そのカウンターで受付番号と氏名を申し出ると、現金(510円×枚数分)と引き換えにSL整理券を受け取ることができます。
乗車券は?
乗車券とは、列車に乗車するときに必要なふつうの「きっぷ」です。SLパレオエクスプレスに乗車する際にも、前述の「SL座席指定券」または「SL整理券」のほかに、乗車券が必要です。
SLパレオエクスプレスの乗車券は、普通列車に乗車するときと同じ乗車券を購入すればOKです。駅の窓口や自動券売機で、下車駅までの金額のきっぷを購入するだけです。
ただし、SL乗車に利用できるフリーきっぷがいくつかありますので、簡単にご紹介します。
秩父路遊々フリーきっぷ
- 効力: 秩父鉄道全線を一日乗り降り自由
- 利用可能日: 土日・祝日、年末年始(12/30~1/9)、ロウバイ開花期間(1/10~2/28)、春休み期間(3/25~4/9)、芝桜開花期間(4/15~5/7)、夏休み期間(7/15~8/31)、長瀞七草見ごろ期間(9/1~10/1)、紅葉期間(11/24)
- 発売金額: 大人 1,440円、小児 720円
- 発売箇所: 秩父鉄道各駅
最もスタンダードなフリーきっぷです。基本的に土日祝日に利用可能ですが、沿線の観光シーズンには毎日利用できるようになります。SLパレオエクスプレスの運転日には利用できる可能性の高いきっぷです。
熊谷駅から乗車する場合、長瀞駅(片道760円)より先へ往復する場合には、「秩父路遊々フリーきっぷ」を購入したほうがおトクになります。
ぶらり!秩父・長瀞おでかけきっぷ(寄居駅限定)
- 効力: 寄居~長瀞の往復乗車券+長瀞~三峰口間のフリー乗車券
- 利用可能日: 土日・祝日、年末年始(12/30~1/9)、ロウバイ開花期間(1/10~2/28)、春休み期間(3/25~4/9)、芝桜開花期間(4/15~5/7)、夏休み期間(7/15~8/31)、長瀞七草見ごろ期間(9/1~10/1)、紅葉期間(11/24)
- 発売金額: 大人 1,030円、小児 520円
- 発売箇所: 秩父鉄道 寄居駅
寄居駅限定発売のフリーきっぷです。寄居駅から長瀞駅までの往復と、長瀞~三峰口間のフリー乗車券がセットになったきっぷです。寄居駅で東武東上線やJR八高線から秩父鉄道に乗り換えて、長瀞や秩父への観光に向かう場合に便利なきっぷです。
ただし、寄居から長瀞まで(片道470円)の往復だけではおトクにはなりません ので、注意が必要です。
繁忙期の混雑状況と座席確保のコツ
「SL座席指定券」を入手できていれば問題ありませんが、「SL整理券」の場合には、前述の通り座席の確保は保証されていません。せっかくSLに乗車するのに、ずっと立ったままでは、楽しみも半減ですね。
ここでは、座席確保の可能性はどうなのか、また、座席を確保するためにはどうすればよいのかをご紹介します。
繁忙期の途中駅乗車は座席確保が難しい
まず言えることは、繁忙期には、途中駅からの乗車では自由席の座席を確保することは難しい ということです。
SLパレオエクスプレスの運転期間中の繁忙期は、ゴールデンウィーク、夏休み、紅葉の時期(10月下旬~11月中旬) です。ゴールデンウィーク、夏休みはもちろんですが、秩父・長瀞は紅葉の名所でもありますので、紅葉の時期の週末も混雑します。
繁忙期でも、SLの始発駅、つまり、下り列車(三峰口行き)の熊谷駅からの乗車、上り列車(熊谷行き)の三峰口駅からの乗車であれば、早めにホームの乗車位置に並んでおけば、自由席でも座席を確保できます。
ところが、途中駅からの乗車する場合には、自由席での座席の確保は難しい場合があります。特に、下り列車では、熊谷駅から乗車する乗客が圧倒的に多いので、途中駅からの乗車では座席確保は難しいです。実際に、11月の紅葉期間中に乗車したときには、熊谷発車時点で、自由席の座席はほぼ埋まっていました。
繁忙期に途中駅から乗車する場合には、できる限り「SL座席指定券」を入手しましょう。
紅葉時期の下り列車の自由席の状況
11月の文化の日の3連休に、始発の熊谷駅から自由席に乗車した時の状況をお伝えします。秩父・長瀞の紅葉の最盛期には若干早いですが、天気はおおむね晴れで、お出かけ日和の日でした。
熊谷発車は10時10分ですが、1時間ほど前の9時過ぎに熊谷駅に到着しました。秩父鉄道の熊谷駅の自動券売機で乗車券を購入、改札を入ったあと、予約しておいたSL整理券を受け取りました。ここまではスムーズにいきましたが、自動券売機、SL整理券の引き換えカウンターは一つずつしかありませんので、SLに乗車する乗客が集中すると、ここで行列になる可能性がありそう です。
秩父鉄道のホームに下りたのは9時20分頃。SL発車時刻まで50分もありましたが、すでに自由席の乗車位置(5番線ホームの乗車位置3~8)には、数名~10名程度の列ができていました。
その後も、熊谷駅に高崎線の列車が到着するたびに行列は伸び、SL入線時刻(10時ごろ)には、各列30名くらいの行列ができていました。
それでも、熊谷発車時点ではほぼ全員が着席できたようです。ただし、家族やグループでボックスを一つ確保したい場合は、かなり早めに並んでおいたほうがよいと思います。
その後、寄居駅でかなり乗車があり、立ち客が出始めました。SLパレオエクスプレスの客車は、すべてボックスシートのため通路が狭いうえに、デッキも広くないため、着席できないと結構つらいと思います。
このときは長瀞駅で下車してしまったので、その後の様子はわかりませんが、ホームから発車していくSLを見送った時の様子では、長瀞駅発車時点では立ち客はいなかったように見えましたが、座席はかなり埋まっていたようです。
以上、秩父鉄道が運行する「SLパレオエクスプレス」の概要と、座席予約の方法、繁忙期の混雑状況についてご紹介しました。 座席をきちんと確保して、SLの旅を楽しみましょう!