「てるみくらぶ」逮捕の社長 銀行提出書類 偽造指示か

「てるみくらぶ」逮捕の社長 銀行提出書類 偽造指示か
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経営破綻した旅行会社「てるみくらぶ」の社長らが銀行からおよそ2億円の融資金をだまし取ったとして、逮捕された事件で、この社長が元社員に銀行に提出する書類を偽造するよう指示を出していた疑いがあることが、警視庁への取材でわかりました。警視庁は、社長が事件の主導的な役割を果たしていたと見て調べています。
ことし3月に経営破綻した、東京・渋谷区の旅行会社「てるみくらぶ」の社長、山田千賀子容疑者(67)と、当時経理の責任者だった36歳の元社員は、不正に融資を受けようと、去年6月から9月にかけて、「航空機のチャーターに金が必要だ」といううその請求書を示し、銀行からおよそ2億円の融資金をだまし取ったとして、詐欺などの疑いで警視庁に逮捕されました。

警視庁によりますと、調べに対し2人は、おおむね容疑を認めているということです。

これまでの調べによりますと、「てるみくらぶ」は、4年ほど前から架空の利益を計上する粉飾決算を繰り返し、決算書類を偽造していたということですが、山田社長が元社員に、銀行に提出する決算書類や請求書を偽造するよう指示を出していた疑いがあることが、警視庁への取材でわかりました。

警視庁は、山田社長が事件の主導的な役割を果たしていたと見て、さらに詳しい経緯を調べています。

元社員「銀行融資に疑問」

「てるみくらぶ」の元社員の1人は、資金繰りが悪化していたのに銀行の融資を受けられていたことに疑問を感じていたといいます。

この元社員は、「本格的に資金繰りが厳しくなっていたのは、去年の夏前後だったと思う。そのころにはよく銀行の関係者が事務所に来ていた。決済を見たら赤字なのにどうして融資を受けられるのかわからないという話は社員みんながしていた」と当時の状況について話していました。

そのうえで、「本当に多くの人にご迷惑をかけてしまったことは元社員として今でも申し訳なく、心苦しく思っている。山田社長も経営者として会社を回すのに必死だったとは思うが、どういう状況だったのかきちんと説明し、迷惑をかけたことや詐欺行為をしていたことについてもきちんと償っていく必要があると思う」と話していました。

利用者「経営者責任全うを」

「てるみくらぶ」で旅行を申し込んだ利用者の1人は山田千賀子社長に対し、経営者としての責任を全うするよう求めていました。

「てるみくらぶ」が経営破綻を発表する4日前に新婚旅行でハワイに行こうと、およそ54万円を振り込んだ茨城県の41歳の男性は、「当日の会見では、破綻したという結論しか説明しておらず、破綻に至るまでの詳しい経緯がわからないので、納得することができない」と話し、経営破綻から半年以上たった今も、会社側から経緯について、十分な説明がないとして憤りを感じていました。

そのうえで、粉飾決算の疑いなどから少なくとも発表の数日前には経営破綻がわかっていたにもかかわらず、旅行者の募集を続けていたとして、「詐欺的な行為が被害者の拡大につながったと思う。この点についてもきちんと追及を受けて、経営者としての責任を全うしてほしい」と話していました。

逮捕前の山田社長 債権者集会で謝罪

「てるみくらぶ」が都内で開いた債権者集会では、山田千賀子社長が改めて謝罪したうえで、金融機関の借り入れを継続するために、架空の利益を計上するなどの手口で粉飾決算が行われていたことが明らかにされました。

「てるみくらぶ」の債権者集会は6日、都内で開かれました。参加者によりますと、集会の中で破産管財人を務める弁護士などが、「『てるみくらぶ』が金融機関からの借り入れを継続し、事業を続けていくために、平成25年9月から架空の利益を計上するなどの手口で粉飾決算を行っていた」としたうえで、よくとしの9月からは債務超過に陥っていたことを明らかにしたということです。

また参加者からは、山田社長が破産の直前まで事業を継続し、旅行代金の振り込みを続けたことが詐欺に当たるのではないかなどといった批判の声が多く上がったということです。

山田社長は、改めて謝罪したうえで「利益市場主義で売り上げを伸ばす中で、結果、赤字になるという悪循環になってしまった。お客様をだまそうとか詐欺をしようとかは思ったこともなく、お客様のためを思って日々やってきた」などと、涙を流しながら話していたということです。

「てるみくらぶ」めぐる経緯

「てるみくらぶ」は、平成11年に旅行業者として登録され、航空会社から売れずに余った空席などを安く仕入れ、格安ツアーを企画することで、幅広い世代の利用者を集めていました。

しかし、ことし3月突然航空券が発券できないなどのトラブルが発覚し、その数日後には山田千賀子社長が、記者会見を開き、陳謝するとともに、裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことを明らかにしました。

関係者によりますと、「てるみくらぶ」は、航空会社が機体の小型化を進めるにつれ、安い料金での座席の確保が難しくなったことや新聞広告を始めたことによる広告費の増加などが原因で次第に資金繰りも厳しくなっていましたが、自転車操業を続けていたということです。

予約はされているもののお金が支払われていないといったケースも多く、利用者が、現地のホテルで追加の支払いを求められるなど合わせて8万人から9万人に影響が及びました。

負債の総額は150億円余りと見られ、すでに利用者が支払っていたツアー代金などはおよそ99億円に上りますが、そのほとんどが、現在も戻ってきておらず、一部の利用者らは被害者の会を作り、弁済を求めて活動を続けています。

6日には、被害に遭った利用者、数百人が参加して、都内で債権者集会が開かれ、参加者によりますと、集会の中で山田社長は、粉飾決算を認めたうえで、「大変申し訳ない」と謝罪したということです。

こうした事態を重く見た観光庁は、再発防止のため保証制度の見直しなどを考える有識者会議を設置しました。弁済費用に充てるため、一定の規模以上の旅行会社が業界団体に預けている分担金の額を10%程度引き上げたり、各社に義務づけている国への財務状況の報告を、今の5年に1度から毎年に増やしたうえで、業界団体による立ち入り調査も行ったりするといった新たな対策を発表していました。

「てるみくらぶ」逮捕の社長 銀行提出書類 偽造指示か

経営破綻した旅行会社「てるみくらぶ」の社長らが銀行からおよそ2億円の融資金をだまし取ったとして、逮捕された事件で、この社長が元社員に銀行に提出する書類を偽造するよう指示を出していた疑いがあることが、警視庁への取材でわかりました。警視庁は、社長が事件の主導的な役割を果たしていたと見て調べています。

ことし3月に経営破綻した、東京・渋谷区の旅行会社「てるみくらぶ」の社長、山田千賀子容疑者(67)と、当時経理の責任者だった36歳の元社員は、不正に融資を受けようと、去年6月から9月にかけて、「航空機のチャーターに金が必要だ」といううその請求書を示し、銀行からおよそ2億円の融資金をだまし取ったとして、詐欺などの疑いで警視庁に逮捕されました。

警視庁によりますと、調べに対し2人は、おおむね容疑を認めているということです。

これまでの調べによりますと、「てるみくらぶ」は、4年ほど前から架空の利益を計上する粉飾決算を繰り返し、決算書類を偽造していたということですが、山田社長が元社員に、銀行に提出する決算書類や請求書を偽造するよう指示を出していた疑いがあることが、警視庁への取材でわかりました。

警視庁は、山田社長が事件の主導的な役割を果たしていたと見て、さらに詳しい経緯を調べています。

元社員「銀行融資に疑問」

「てるみくらぶ」の元社員の1人は、資金繰りが悪化していたのに銀行の融資を受けられていたことに疑問を感じていたといいます。

この元社員は、「本格的に資金繰りが厳しくなっていたのは、去年の夏前後だったと思う。そのころにはよく銀行の関係者が事務所に来ていた。決済を見たら赤字なのにどうして融資を受けられるのかわからないという話は社員みんながしていた」と当時の状況について話していました。

そのうえで、「本当に多くの人にご迷惑をかけてしまったことは元社員として今でも申し訳なく、心苦しく思っている。山田社長も経営者として会社を回すのに必死だったとは思うが、どういう状況だったのかきちんと説明し、迷惑をかけたことや詐欺行為をしていたことについてもきちんと償っていく必要があると思う」と話していました。

利用者「経営者責任全うを」

「てるみくらぶ」で旅行を申し込んだ利用者の1人は山田千賀子社長に対し、経営者としての責任を全うするよう求めていました。

「てるみくらぶ」が経営破綻を発表する4日前に新婚旅行でハワイに行こうと、およそ54万円を振り込んだ茨城県の41歳の男性は、「当日の会見では、破綻したという結論しか説明しておらず、破綻に至るまでの詳しい経緯がわからないので、納得することができない」と話し、経営破綻から半年以上たった今も、会社側から経緯について、十分な説明がないとして憤りを感じていました。

そのうえで、粉飾決算の疑いなどから少なくとも発表の数日前には経営破綻がわかっていたにもかかわらず、旅行者の募集を続けていたとして、「詐欺的な行為が被害者の拡大につながったと思う。この点についてもきちんと追及を受けて、経営者としての責任を全うしてほしい」と話していました。

逮捕前の山田社長 債権者集会で謝罪

「てるみくらぶ」が都内で開いた債権者集会では、山田千賀子社長が改めて謝罪したうえで、金融機関の借り入れを継続するために、架空の利益を計上するなどの手口で粉飾決算が行われていたことが明らかにされました。

「てるみくらぶ」の債権者集会は6日、都内で開かれました。参加者によりますと、集会の中で破産管財人を務める弁護士などが、「『てるみくらぶ』が金融機関からの借り入れを継続し、事業を続けていくために、平成25年9月から架空の利益を計上するなどの手口で粉飾決算を行っていた」としたうえで、よくとしの9月からは債務超過に陥っていたことを明らかにしたということです。

また参加者からは、山田社長が破産の直前まで事業を継続し、旅行代金の振り込みを続けたことが詐欺に当たるのではないかなどといった批判の声が多く上がったということです。

山田社長は、改めて謝罪したうえで「利益市場主義で売り上げを伸ばす中で、結果、赤字になるという悪循環になってしまった。お客様をだまそうとか詐欺をしようとかは思ったこともなく、お客様のためを思って日々やってきた」などと、涙を流しながら話していたということです。

「てるみくらぶ」めぐる経緯

「てるみくらぶ」は、平成11年に旅行業者として登録され、航空会社から売れずに余った空席などを安く仕入れ、格安ツアーを企画することで、幅広い世代の利用者を集めていました。

しかし、ことし3月突然航空券が発券できないなどのトラブルが発覚し、その数日後には山田千賀子社長が、記者会見を開き、陳謝するとともに、裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことを明らかにしました。

関係者によりますと、「てるみくらぶ」は、航空会社が機体の小型化を進めるにつれ、安い料金での座席の確保が難しくなったことや新聞広告を始めたことによる広告費の増加などが原因で次第に資金繰りも厳しくなっていましたが、自転車操業を続けていたということです。

予約はされているもののお金が支払われていないといったケースも多く、利用者が、現地のホテルで追加の支払いを求められるなど合わせて8万人から9万人に影響が及びました。

負債の総額は150億円余りと見られ、すでに利用者が支払っていたツアー代金などはおよそ99億円に上りますが、そのほとんどが、現在も戻ってきておらず、一部の利用者らは被害者の会を作り、弁済を求めて活動を続けています。

6日には、被害に遭った利用者、数百人が参加して、都内で債権者集会が開かれ、参加者によりますと、集会の中で山田社長は、粉飾決算を認めたうえで、「大変申し訳ない」と謝罪したということです。

こうした事態を重く見た観光庁は、再発防止のため保証制度の見直しなどを考える有識者会議を設置しました。弁済費用に充てるため、一定の規模以上の旅行会社が業界団体に預けている分担金の額を10%程度引き上げたり、各社に義務づけている国への財務状況の報告を、今の5年に1度から毎年に増やしたうえで、業界団体による立ち入り調査も行ったりするといった新たな対策を発表していました。