11月4日に秋葉原で開催されたVimConf 2017に参加してきました。
VimConfとは
VimConfは一部のエンジニア達が愛してやまないテキストエディタ vim に関する国際カンファレンスです。テキストエディタのカンファレンスと銘打ってはいるものの、そこで発表・共有される情報は、プラグイン開発の話や文字列エンコーディングの話から、UI・画面デザインの話に至るまで、多種多様なものでした。
"エンジニアの63%がvim利用者(vimmer)"
そんな弊社fixpointも、今回のVimConfにいくつかの形で関わらせて頂きました。
・情報発信
今回fixpointからは私を含め、3人の社員が参加しておりました。その中でも@lambdalisueは発表者(タイムテーブルの大トリ)として、
@aomoriringoはLTセッションにて、
それぞれvim scriptに関する情報発信を行いました。
私はVimConfで出てきたお昼ご飯の写真をtwitterや社内slackに流す仕事をしていました。
・スポンサー活動
fixpointは今回、VimConfのスポンサーとなっております。全社を挙げてvimに愛を注いでいると言っても過言ではありません。
なお、@lambdalisueによる会社紹介にもありましたが、弊社は通年で技術者を募集しております。
勿論vimmer以外の方も募集しております!
講演について
本当は一つ一つのセッションについて詳しくアレコレ書きたいところですが、かなりの文量になってしまいますので、
全体を通じて言及されていたことについて何点か書き記したいと思います。
"小さいところから"
全体を通して講演の内容は、基本的にはvimの拡張機能開発に纏わる話でしたが、開発経験の無い人々にも「まずはこういうところから始めてみるとよいのでは」という入り口を提示してくれる発表内容が多く、
私のようなvim歴の浅い参加者にとっても興味深い内容だったと感じます。
そして、そういった入り口として提案されるものは、基本的に
「できるところから、少しずつ」
というものです。
これは、拡張機能の開発であれ、vim自体の開発であれ、共通しているように見えました。
運用自動化においても、"スモールスタート"はしばしばキーワードとして言及されます。
講演者の方々は皆「大したことはやっていない」ように語られていましたが、言うは易く行うは難しですね……
互換性のバランス
ソフトウェア開発を行う際、いつの時代もどんな現場でも悩まされがちなのが互換性の問題です。@haya14busa さんの講演では、「後方互換性を大切にした」ことがユーザ数増加の一要因であったという考察がされており、
「自分が動かせればそれでいいや」精神の危うさを痛感するのでした。
とはいえ、やはり互換性やプラットフォームの違いに苦しめられる話はあちこちの講演で飛び出しており、
例えば完全にどんな環境でも動くような設定を作り上げるためには、プラットフォーム自体の歴史やエンコーディングの問題まで踏み込む必要がありそうだったりと、
並々ならぬ体力や執念が求められるように思えました。
幅広いプラットフォームをどこまでサポートするべきか、という問題については、エディタ一つ取ってもなかなか全体で明確な答えは出ていないようでした。
ツールと体験(UX)
vim以外のエディタに関する言及が多かったことも印象的でした。vimではなくVisual Studio Code上でvimの動作を再現するエミュレータに関する話は復数の講演で出てきましたし、
@t9md さんの講演はatom上で動くvimエミュレータに関するものでした。
エミュレータというと、どうしても大元のvimを100%再現することがゴールに見えてしまいがちですが、
ときにはエミュレータ上で"vimには実装されていない"機能を実装し、新たなUXを生み出す試みが成されていました。
「この機能はvimにも欲しい」と多くのvimmer達が感嘆する場面もありました。
エディタでも自動化でも、"ツール"を軸に考え始めると、
どうしてもツールそのものが持つ機能に発想が制限されてしまいがちだと感じます。
しかし実際にツールのユーザが求めるのはツールそのものではなく、ツールを通じて得られる"体験"であることが大半であり、
UX側からの観点を持つことで初めて出てくる機能もあると、考えさせられる発表でした。
ツールに敬意を払うことと、ツールに合わせてUXを考えてしまうことは別物であると再認識しました。
最後に
全席に電源があり、無料WiFiもあり、非常に聞きやすい環境が整っていたと感じます。過去に参加した中では、会社に持ち帰るために講演の議事録を必死こいて打ち込んでいて、気が付いたら終わっていた会議なども多かったのですが、
今回は資料・講演共に後々公開される事が何度も周知されていたため、
鬼のようにキーボードを叩くことなく、ゆったりと講演に耳を傾けることができました。
モチベーション維持や自分自身の描いている軌道を見つめ直すためにも、やはりこういった会には定期的に参加した方が良いと感じました。
懇親会で何人かの方に「こういうアイデアがあって、こういうものを作ろうと思っている」といった漠然としたアイデアを軽い調子でお話しした際にも、単なるアイデアの段階だったにも関わらず色々と詳しく相談に乗って頂き、もう作らざるを得なくなりました。
次回は何かしら大々的に話せる内容を用意して行ければいいなぁと思っています。
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