10月22日に開票された第48回衆議院議員総選挙の結果は、自民党が294議席獲得で圧勝した。11月1日には、第4次安倍内閣が発足。自民党が掲げた公約をどう実現させていくつもりなのか、無批判に受け入れるでも、やたらめったら批判するのでもなく、私たちは今後、よく見ていかなくてはならない。どこの政党のどの候補に投票したとしてもだ。早速、ある動きがあった。
▼認可外保育施設 無償化せず 政府検討、財源に限度
自民党が衆院選の公約に掲げた幼児教育・保育の無償化について、認可外保育施設の利用は無償化の対象に含まない制度設計を政府が検討していることが分かった。東京都の認証保育所など認可外保育施設に通う子どもは17万人以上おり、不平等だと批判が出る可能性がある。与党内でも配慮を求める声が出ているが、財源の大枠は固まりつつあり調整は難航しそうだ。(中略)政府の試算は認可保育所や幼稚園の利用に限っており、ベビーホテルや事業所内保育所などを含む認可外施設の利用は想定していない。認可外は保育士の配置や面積などの基準が認可よりも緩く、無償化の対象にすると、政府が推奨していると受け止められかねないからだ。(11月6日 毎日新聞より)
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先日の衆議院選、各政党が公約でこぞって掲げていたのが<子育て支援>にまつわる文言だ。自民党は、幼児教育の無償化や待機児童解消について触れ、【2020年度までに、3歳から5歳まですべての子供たち、低所得世帯の0歳から2歳児の幼稚園や保育園などの費用を無償化します】とアピールした。「3歳から5歳まですべての子供たち」とある以上、どのような保育施設・幼稚園に通おうと3~5歳の子供たちは全員例外なく無償で幼児教育・保育を受けられる、と解釈するのが自然である。
問題なのは、保育施設の種類によって無償化の対象外になってしまうところだろう。毎日新聞の報道によると、政府は、幼児教育・保育の無償化の制度について、認可外保育施設は対象外にする方針であり、しかもその理由というのが、「認可外は保育士の配置や面積などの基準が認可よりも緩く、無償化の対象にすると、政府が推奨していると受け止められかねないから」だというのだから、開いた口が塞がらない。なぜ認可より基準が緩く、また補助金もないため保育料が高くなりがちな認可外の保育施設をわざわざ利用する親子がいるのか、きちんと認識しているのか疑いたくなる。
いわゆる「保育園」は、「認可保育所」と「認可外保育所」とがあり、待機児童問題を深刻な社会問題として捉えられるようになったのはここ数年の話だが、「認可」と「認可外」に生じている格差も見逃せない問題である。幼児教育・保育の無償化の対象となり得るのが「認可」のみで、「認可外」は対象外と見なす政府の感覚は、あまりにもズレているのではないか。
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