金正恩政権が崩壊する可能性

説得も先制攻撃も難しいならば…

2017年11月8日(水)

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米国のトランプ大統領が初のアジア歴訪の途上にある。11月8日には、中国の習近平国家主席との首脳会談に臨む予定。対北朝鮮政策をめぐる話し合いをするとみられている。果たして、北朝鮮に核兵器を放棄させるすべは存在するのか。米国の北朝鮮政策に詳しい米ブルッキングス研究所のジェフリー・ベーダー上席研究員に聞いた。同氏は、オバマ政権で安全保障担当の大統領特別補佐官を務めた経験を持つ(聞き手 森 永輔)
米空母「ロナルド・レーガン」。米海軍は第7艦隊の管轄海域に、ロナルド・レーガンをはじめとする3隻の空母を展開し、北朝鮮への圧力を強めている(AP/アフロ )

核兵器を放棄するよう、対話で北朝鮮を説得することは可能でしょうか。

ジェフリー・べーダー氏(Jeffrey Bader)
米ブルッキングス研究所の上級研究員。外交政策が専門。オバマ政権において安全保障担当の大統領特別補佐官(国家安全保障会議=NSC=の上級アジア部長)を務めた。米政府で30年間働いた経験を持つ。活躍の場は国務省、NSC、通商代表部など多岐にわたった。著書に『オバマと中国』など

べーダー:私は説得できるとは思いません。彼らは何年も前から、核弾頭を搭載できる大陸間弾道弾(ICBM)を開発する決意を固めています。この開発を中断したり、逆戻ししたりするよう求める交渉はうまくいかないでしょう。

 もし北朝鮮が、彼らが運用可能と考えるレベルにまで核弾頭とICBMを仕上げ、十分な数を確保することができたら、彼らは喜んで米国や韓国との交渉に応じるでしょうが。

 多国間での話し合いを復活させることができるかは判断できません。私は、北朝鮮は米国との2カ国間交渉を望んでいると理解しています。韓国とも、少しは交渉するかもしれません。この交渉においても、非核化は受け入れないでしょう。我々が交渉したいのは、まさにそこだけなのですが。

だとすると、米国は北朝鮮に対して先制攻撃を仕掛けることになるのでしょうか。

べーダー:トランプ政権が何をするか、私には予測できません。同政権は、軍事力を使用するオプションがあると明言し続けています。その準備を進めている。しかし並行して、核開発計画を放棄もしくは停止するよう説得しようともしている。

 米中央情報局(CIA)のジョン・ブレナン前長官や、リチャード・アーミテージ氏が20~25%の確率で先制攻撃があり得ると推測しています。ワシントンの関係者と対話する中で、そのような確信を得たのでしょう。

 しかし、私はこの可能性の多寡を判断する基本的な材料を持っていません。ブレナン氏やアーミテージ氏の推測が当たるかどうかを注視していきたいと思います。本当に可能性があるのかもしれません。

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「金正恩政権が崩壊する可能性」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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