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政治政策 政局

結局、希望の党の「経済スタンス」が見えないという大問題

「保守」なのか「革新」なのか

希望の党の方向性はこれから

希望の党の共同代表選びが始まった。所属国会議員による選挙で決めることになっており、11月8日に告示、10日に開票される。いずれも民進党出身者の大串博志氏、泉健太氏、玉木雄一郎氏が真っ先に立候補を表明。これに渡辺周氏なども加わり、混戦模様だ。

選挙の結果、誰がトップになるかによって、希望の党が向かう方向は大きく変わりそうだ。希望の党は小池百合子・東京都知事が代表を務めるが、選挙の敗北を受けて小池氏は都政に集中する方針を示している。このため、今回選ばれる共同代表が実質的に国政における希望の党の方向性を決めることになる。

そんな中で、希望の党所属の議員は大きく2つグループに分けられる。ひとつが、実質的に元の「民進党」に戻ろうという議員たちのグループ。今回の総選挙での希望の党の当選者50人のうち40人は民進党から合流した議員だということもあり、元の仲間である立憲民主党と協力関係を築いていくことを模索しようというグループだ。大串氏や渡辺氏はこうした方向に動くのではないか、とみられている。

もうひとつのグループは、もはや民進党では選挙は戦えないと割り切っている議員たち。玉木氏らは当選者の平均年齢が40歳台であることをアピール、「新しい党」であることを前面に打ち出すべきだとしている。左派色の強い立憲民主党とは一線を画し、小池氏が打ち出した「寛容な改革保守政党」という枠内で、中道勢力を結集する核を作るという戦略のようだ。こうした議員の多くが、仮に民進党として選挙を戦った場合でも、大敗北を喫したのは間違いないという見方を持つ。

 

経済政策の路線問題で軋轢

前者の姿勢を取る候補者が代表になった場合、小池氏の掲げた「保守」の色彩は薄れ、リベラル色が強まることになりそう。特に安全保障や憲法改正に対する姿勢は、希望の党が掲げたものとかい離し、元の「民進党」路線へと戻っていくだろう。

一方で、後者の方向を目指す候補者が代表になっても前途は多難だ。民進党に属してリベラル色の強い政策を表明してきた議員が、保守に「転向」するのは容易ではない。

とくに難しいのが経済政策だ。希望の党は選挙戦で、企業の内部留保に課税することや、国民に一定の所得を保証するベーシックインカムの導入などを掲げた。この2つの政策は極めてリベラル色の強いものだが、民進党議員の合流から投票日までほとんど時間がなかったこともあり、所属議員の間でほとんど議論されていない。

一方で、「保守」的な改革による成長重視の政策を標ぼうしていたはずの小池氏の姿勢とも相いれない。分配中心の経済政策を掲げて「保守」と言えるのかどうか。

さらに、民進党の支持母体だった連合との関係をどうするかがもうひとつの焦点になる。小池氏は選挙後、連合の神津里季生会長に会い、希望の党候補者への連合の支援に謝意を表した。だが、保守政党を標ぼうしながら、労働組合に支援を求め続けるということはあり得るのかどうか。大いなる矛盾を抱え込んだと言えるだろう。