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今までiPadとMac/Windowsタブレットを併用して製作していたクリエイターも、iPad版「クリスタ」があればiPad Proだけで仕事を完結できる環境がやってきます。
PC版CLIP STUDIO PAINT EXの機能が完全移植されており、さらにiPad向けにApple Pencil対応、ショートカット機能を割り当てできるタッチジェスチャーも使えます!
漫画もイラストもアニメーションも!クリエイター歓喜のiPad版リリース
PCにおけるグラフィックソフト売上No.1、イラスト・漫画作成ソフトの決定版「CLIP STDUIO PAINT」こと「クリスタ」がついにiPadにやってきました。
iPad版「CLIP STUDIO PAINT EX」はiOS11をインストールしたiPadで使用できます。
アプリの使用価格は月額980円。
12月20日(火)までにアプリをインストールして登録すれば6ヶ月間無料のキャンペーンも実施されます。半年も無料で使えるなんてセルシスさんかなり太っ腹ですね。(無料期間中に課金をキャンセルすることもできます。)
対応機種と端末ごとの対応は以下のようになります。
【動作対象端末】
高解像度のイラスト・漫画などに対応するモデル
最大限にアプリのパフォーマンスを発揮できる機種です。いずれもメモリ4GB搭載モデル。
- 第1、2世代 12.9インチiPad Pro
- 10.5インチiPad Pro
標準的なサイズのイラスト・Web用の漫画などに対応するモデル
重い処理をするともたつくことがありますが、使用に耐える範囲です。メモリ2GBモデル。
- 9.7インチiPad Pro
- iPad 第5世代
- iPad Air2
Web用のイラストなどに対応するモデル
アプリをインストールできますが、かなり動作は重くなります。
- iOS11が動作するiPad(iPad Air、iPad4/5、iPad mini2/3/4)
画面サイズの大きい12.9インチiPad Proで操作するとキャンバス表示面積が大きくとれて、本当にPCそのままの感覚でストレスなく使えます。クリスタを仕事で使う方には、やはり12.9インチか10.5インチモデルがおすすめですね。
PC版そのままのインターフェースなのにiPadでも使いやすい
ここからは10.5インチiPad Proの画面でご紹介します。
まずアプリを起動してキャンバスを開くとPC版そのままのインターフェースに驚くはず。これがiPadの画面と言われても気付かれないでしょう。
iPadの画面上でもフローティングウィンドウのレイアウトが違和感なく行えます。
ボタン類は一部小さなものもあるため、Apple Pencilで操作するのが望ましいと思います。もちろん指でも操作できます。
カスタマイズしたウィンドウレイアウトは「ワークススペース」として保存しておけます。
マルチタスク対応iPadモデルではSplit Viewが利用できます。TwitterやYoutubeを見ながらのんびり描くのも、資料を見ながら描くこともできます。
iPad専用のカスタマイズとして、キーボードショートカットの代わりとして活用できる「エッジキーボード」機能を搭載。
画面の左右端から内側に軽くスワイプすると縦にショートカットボタンが並んだウィンドウが表示されます。
各ボタンには修飾キーの操作やショートカットを割り当てできます。
閉じるときは再び外側にスワイプします。
スワイプするとき指を離さず内側までドラッグすると、エッジキーボードを出したたま作業することもできます。
iPadアプリ特有のタッチジェスチャーに完全対応
iPadお絵かきアプリで効率的に作業するために欠かせない「タッチジェスチャー」に対応。
2本指を使ってキャンバスの拡大縮小、移動、回転はもちろん、2本指・3本指タップで、元に戻す・やり直しができるなどショートカットキーの代わりになります。
またペンでは描画ツールを、指でなぞると消しゴムになる設定もあります。
各ジェスチャー操作は、使用するツールに応じて切り替えることも可能で、ラフ段階、ペン入れ、塗りや仕上げなど各工程ごとに最適なジェスチャーで作業できます。
タッチで使用するツールは「修飾キー設定」→「ジャスチャー」で好きなものを割り当てできます。
混色が美しい水彩ブラシなど幅広い表現に対応
iOSアプリではできなかったような美しい水彩の重ね塗りが可能です。「透明水彩」「濃い水彩」などデフォルトで入っているブラシだけでも、滑らかな色調が簡単に作れました。
アナログ風の油彩ブラシ、鉛筆ブラシなどもあり、厚塗りなど幅広い表現のイラスト作りに対応できるでしょう。
専用のWebサイトからユーザーが作成したカスタムブラシをダウンロードして追加できます。
ベクターレイヤーを活用して線画を快適に修正
ベクターレイヤーでは、後から線の修正が簡単に行える「線修正ツール」などが使用できます。
まずベクターレイヤーを作成、その上で描画したストロークはベクターデータとして扱われ、各ツールを使って後から再編集できます。
太さを変えたり線を補正したりと自由に修正を加えられます。線をきれいに描けない人でも手を加えれば誰でも魅力的な線画に仕上げることができます。
線の隙間もきれいに埋めて塗りつぶせる賢い塗りつぶし機能
塗りつぶしツール作業は素早くきれいに行いたいものです。クリスタの塗りつぶしツールには、線で閉じていない部分も自動で認識して塗り範囲を調整してくれます。
「隙間閉じ」機能が優れているため、かなり曖昧な線画でもしっかり塗りつぶしができました。
使ってみて特に便利に感じたのは「囲って塗る」ツール。ざっくりと囲むだけで塗り残しも正確に認識してくれます。
マンガ制作ソフトの最高峰
コマ割りや集中線、セリフ入れなどマンガ制作に欠かせないツールも揃っています。各ページのサムネイルを見ながら制作できるので、ページ間のイメージを持ちながら描き込むことができます。
ペン入れ作業時には精度の高い手ぶれ補正機能が活躍します。補正を強くしても遅延がほとんど出ないため、髪の毛など気を使う部分でも気持ちよくすいすい線を描けます。
レイヤープロパティの効果をトーンにすれば、描画がすべて白黒のハーフトーンに変換されます。この機能は元の描画を壊さずに行えるため、いつでもON/OFF切り替えて作業できます。
自由に動かせる3D素材は線画に一発変換
3D素材の中にはマンガの背景に使えるものなどが用意されています。ウィンドウから好きな素材を選んでキャンバス上にドラッグすれば、3DCGモデルが配置されます。
この3D素材もレイヤープロパティで線画に一発変換できます。
3DCG素材にはポーズをつけられる人物モデルもありますので、描きながらデッサンの狂いを確認するなど活用できます。
今日からはクリスタをiPad Proで使おう
私はPC版のクリスタを使い込んでいたわけではないため、仕事でも使うような人が触れば気になるところもあるかもしれません。でも数日間使ってみてクリスタが普通に動作しているiPad Proは最高の液タブに近づいたなという感じがします。
使えば使うほど便利さを実感できて、手放せない存在になっています。
デスクトップ版の機能を切り捨てることなく、全て惜しげもなく投入したセルシスさんには本当に感謝しかありません…。
さぁ、今日からは思う存分iPadでクリスタを使いましょう!