同じ距離で違う金額「特急料金」は明朗会計か

数多くの特例、消費者に対する説明は十分?

小田原付近を走る東海道新幹線。新横浜―小田原間と小田原―三島間では前者のほうが距離は長いが、自由席特急料金は後者のほうが高い(写真:河野信紀 / PIXTA)

「新幹線特急料金は駅間ごとに決めています」

『JR時刻表』の営業案内のページには、新幹線特急料金に関する説明としてこのような文章が記載されている。そして、駅間ごとの特急料金が記載された階段状の料金表が営業案内の「運賃・特急料金早見表」のページにまとめて掲載されている。

一方、JR在来線特急料金は早見表のほかに、営業キロ区分の特急料金表が別に掲載されている。たとえば、A特急料金(指定席・通常期)では、50kmまで1270円、100kmまで1700円などといった具合だ。JR在来線特急料金は営業キロに比例した料金区分が明確に示されている。

だが、新幹線自由席特急料金については、営業キロ数に比例した増減となっていない場合がある。新幹線・在来線ともに、自由席特急料金は原則として指定席特急料金(通常期)から520円引きした金額であるが、特例が設けられている場合があるのだ。

料金が距離に比例しないことも

たとえば、東海旅客鉄道(JR東海)では、東海道新幹線新横浜―小田原間55.1kmは980円なのに対して、同小田原―三島間36.8kmは1730円である(指定席特急料金はともに通常期2250円)。また東日本旅客鉄道(JR東日本)では、上越新幹線熊谷―高崎間40.3kmは860円なのに対して、東北新幹線水沢江刺―新花巻29.9kmは1840円である(指定席特急料金はともに通常期2360円)。

上で挙げた新横浜―小田原間、熊谷―高崎間など、JR旅客営業規則第57条第1項第1号ニの(イ)のaに定める「特定区間」については、同第125条第1項第1号イの(ニ)のaにおいて

(a)当該区間の営業キロが50キロメートル以下の場合は860円
(ただし、東京―大宮間は1070円、北海道旅客鉄道会社(JR北海道)線内は1310円、九州旅客鉄道会社(JR九州)線内は850円とする)
(b)当該区間の営業キロが50キロメートルを超える場合980円
(ただし、JR北海道線内は1490円、西日本旅客鉄道会社(JR西日本)線内は970円とする)

とする、と定められている。これらの特定区間には共通点がある。それは、この区間が隣接する駅、または過去に隣接駅だったという点である。

次ページ距離は短いのに特急料金が高額な区間も
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  • 設定根拠?190a6d3b0830
    自由競争の社会だ。「言い値」の世界でしかない。特急料金だけではなく、世の中のすべての商品について、その値段に対する根拠が示さなければいけないのか?
    例えば、自家用車の値段が100万円として、その製造原価はいくら、販売店の取り分はいくら…と説明されているのか?
    筆者は、物やサービスを売った経験がないのか?

    この人は「鉄道の中だけで物事を考えている」、典型的なマニア思考の持ち主としか思えない。
    特急料金は許認可を受けた額であり、営業規則が約款である以上、その額は鉄道会社の自由裁量の下にあるとは考えないのか。営業キロに対応している必要がどこにある。では、区間制の運賃はいいのか?

    明朗会計と言うが、では反対に、バーゲンと同じで「利用促進のため、この区間は安めの料金を設定しよう」とか。そういう考えではいけないという根拠を示してほしい。
    up72
    down14
    2017/11/8 06:18
  • NO NAMEac7fc5a22d32
    で?
    鉄ヲタさんの物知りは良く分かりました
    up52
    down7
    2017/11/8 07:37
  • NO NAME2fcb3c70c79c
    都市近郊なら利用者が多いから薄利多売でも収入が見込めるけど、利用者が少ないから据え置きというだけでは?
    キロ数で一律に取るのもいいけど、受益者負担の面で
    利用者が少ないのに料金が一律なのはおかしい
    と言われそう。
    up42
    down5
    2017/11/8 07:27
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