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過去25年間で最長の日程
今回の外遊でトランプ大統領が訪問するのは日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンの5か国です。いずれも大統領としての訪問は初めてとなります。
日本(11月5日~7日)北朝鮮対応は 経済面での要求は
トランプ大統領の日本での滞在では、日米首脳会談や安倍総理大臣とのゴルフ、天皇陛下との会見が予定されているほか、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの両親、横田滋さんと早紀江さん夫妻とも面会することになっています。
日本訪問のポイントは…
・北朝鮮対応の協議と同盟関係の結束確認
・ミサイル防衛を含む軍事協力
・新たな経済面での要求は
今回のトランプ大統領の外遊の主要なテーマは、ミサイルの発射を繰り返し、核開発を続ける北朝鮮への対応です。韓国や中国を訪問するのに先だち、トランプ大統領と安倍総理大臣は緊張が増すばかりの北朝鮮情勢に対して、アメリカがどう臨もうとしているのか情報を共有し、軍事面での協力も含め、同盟国としての結束を改めて確認することになります。
横田滋さん、早紀江さん夫妻に面会して、直接、話を聞くのも、この問題で同盟国日本と同じ立場にあることを強調する思惑もあるでしょう。
一方で、両国の立場が異なるのが経済です。TPP=環太平洋パートナーシップの枠組みを離脱したアメリカは、日本との2国間交渉に入りたい考えですが、日本は残りの11か国でTPPを発効させ、アメリカの復帰を待ちたいと考えています。両首脳の関係が良好なことや、北朝鮮情勢への協力を優先しなければならない状況などから「トランプ大統領は経済面で厳しい要求をしてこないだろう」という見方もありますが、そこは予測不可能なトランプ大統領、ふたを開けてみなければわかりません。
韓国(11月7日~8日)注目は国会演説
韓国では米韓首脳会談のほか、韓国に駐留するアメリカ軍の新たな司令部を訪問し、兵士を激励する予定です。ソウルでは韓国の国会で演説が予定されており、緊張関係が続く北朝鮮に対してどのようなメッセージを送るのか注目されます。
韓国訪問のポイントは…
・8日の国会演説に注目
・北朝鮮への対応、軍事協力の強化
・韓国にFTA=自由貿易協定の再交渉を迫るのか
韓国訪問で特に注目されるのが8日の国会演説です。この演説でトランプ大統領は北朝鮮に何らかのメッセージを発するものと見られています。従来の激しい言葉を並べた挑発的な内容となるのか、それとも、北朝鮮を対話に転じさせるための何らかの呼びかけをするのかが焦点です。
また日本と同様、韓国とも軍事協力を含めた同盟国としての関係強化が話し合われるものと見られます。
中国(11月8日~10日)強い姿勢どこまで
中国での日程は、現時点で米中首脳会談しか公表されていません。トランプ大統領には、ロス商務長官が率いるビジネスリーダーたちも同行します。
中国訪問のポイントは…
・北朝鮮問題への協力要請
・貿易不均衡の問題などでアメリカがどこまで要求するか
中国は北朝鮮の貿易の90%を占め、北朝鮮の核・ミサイル開発問題でカギを握るとされています。トランプ大統領は、中国について北朝鮮への圧力強化を「一生懸命やってくれている」と評価しつつ、「もっとできるはずだ」とも述べてきました。今回の会談では、国連安保理決議を完全に履行し、一段と圧力を強めるよう迫るものと見られます。
ただ、両国の間では対立する課題が山積しています。特に経済関係を巡ってトランプ大統領は、就任前から中国のことを「為替を操作している」などと繰り返し批判。事前のアメリカ側のブリーフィングによると、トランプ大統領は貿易不均衡の是正に向けて習近平国家主席と議論するとしています。一方で、北朝鮮問題では中国の協力を必要としており、どこまで強い姿勢で臨むのか、注目されます。
ベトナム(11月10~12日)対アジア政策の中身は
去年、オバマ大統領が訪問した際には、突然、町なかの庶民的な飲食店に登場し、地元の代表的な料理、ブンチャーを食べるサプライズもあったベトナム。
今回、トランプ大統領はまず中部の町、ダナンでAPEC=アジア太平洋経済協力会議に出席するほか、自由で開かれたインド・太平洋地域のためのアメリカのビジョンを演説で示すとしています。
また、首都ハノイに移動し、ベトナムのフック首相との首脳会談に臨みます。
ベトナム訪問のポイントは…
・トランプ大統領の言う“インド・太平洋のビジョン”とは
・TPP離脱後のアメリカ、アジア諸国とどう向き合う
トランプ大統領は11月10日、ダナンで開かれるCEOサミットで演説を行います。明確な対アジア政策を示してこなかったトランプ大統領が「アメリカ第一主義」の旗印の下、アジア地域にどのように関与していくつもりなのか。TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したトランプ大統領の貿易政策の中身に関心が集まりそうです。 また、中国の習近平国家主席が現代版シルクロード「一帯一路」という経済圏構想の浸透をはかるなか、こうした新たな秩序づくりに、どう対抗していくのかも焦点です。
フィリピン(11月12日~14日)北朝鮮包囲網強まるか
最後の訪問国、フィリピンでは、ASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会議を行うほか、フィリピンのドゥテルテ大統領との2国間会談も予定されています。
フィリピン訪問のポイントは…
・北朝鮮への対応でASEANと結束をはかれるか
・南シナ海における中国の海洋進出の問題での議論の行方は
・本家トランプ大統領と「フィリピンのトランプ」が会談
ASEAN諸国はいずれも北朝鮮との外交関係があり、人やモノ、カネの往来があります。トランプ大統領は各国首脳に対し、北朝鮮に対する包囲網を強めるため、経済面などで北朝鮮との関係を見直すよう働きかけを行うことになります。
また強権的な政治姿勢から「フィリピンのトランプ」とも呼ばれるドゥテルテ大統領との間で、トランプ大統領は同盟関係の重要さを確認することになりそうです。ドゥテルテ大統領は中国の海洋進出の問題を棚上げし、中国との経済的・外交的結びつきを強めようとシフトする姿勢を見せており、今回の会談でどのような発言が出るのか注目されます。
終盤はスタミナ切れで不規則ツイートも?
外遊がそもそも好きではないとも言われるトランプ大統領。アメリカメディアからは日程の長さもあり、「終盤にはスタミナが切れて不規則ツイートが出てくるかもしれない」という指摘も出ています。
また、訪問にはメラニア夫人や、娘のイバンカさんも同行する予定です。ことし5月に中東とヨーロッパを訪問した外遊の際には、その時々に合わせた2人のファッションにも注目が集まりました。
イスラエルを訪問した際には、空港に到着したトランプ大統領が、メラニア夫人と手をつなごうとして無慈悲に払われる姿が全世界に配信される、といったこともありました。
話題に事欠かないトランプ大統領。今回の外遊ではどんなニュースが飛び出すのでしょうか。