カメキチの目
きょうで、このシリーズを終わります。
最後だからと書きたいこと多く、ゴチャゴチャ詰めこみました。
これまでとQ・Aの形式も違いますが、読みにくさをお赦しください。
初めは非政治的なことを。
内田さんは日常の生活上の姿勢・態度のことを他の書物でもけっこう書いておられる。
(さきのUFO、超常現象の話などは日常を超越していますが)自分が経験・体験したことがないからといって、自分には「わからなく」「信じられなく」ても、信頼できる、親しい人がそう言っているのだったら(心はちょっと疑っていても)「あっ、そう。よかったね!」と応える(受け流す)鷹揚さ。柔軟さ。キャパシティ・懐の深さのたいせつさを説かれる。
また、(さきの合気道柔道の話のように)前もってあれこれ詳しく調べたりすること(予断につながりやすい)の弊害も。
どちらにも共通していることは、自分だけの狭い世界にとらわれないようにしたこと。
横(社会)に広げれば前者のようなことがいえるし、縦(時間)に広げれば後者のようなことがいえる。
この本には「アンサング・ヒーロー」(歌われざる英雄)という話もあった。(たとえば、人が困るだろうからと雪かきする人)
その功績を誰も讃えることのない、知られざる英雄。
要は人が見ようが見まいが、知ろうが知るまいが、たんたんと「すべきこと」「したほうがよい」と自分が感ずることを為す人。だから、けっして見かえりを求めることはない。
「禅」に通じる心のありようみたい。
内田さんは他の本で、教室(道路でもどこでも)に落ちていたゴミを誰が拾えばいいか?ということに、見つけた学生(人)が拾えばいい。簡単なこと。とサラリと述べておられました。
広い世の中にはゴミが散らかっていてもまったく気ならない人もいます。だから、気になる人、散らかってないほうが気持ちいいと感じる人のうち、見つけた人が拾ってゴミ箱に捨てればいいだけ。
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終わりに政治的なこと。(すみません)
人権を制約されることで高まる国民の不満はどうするのでしょうか?
その不満は経済発展でトレードオフできる、安倍さんはそう思っています。「みなさん、デモクラシーとお金とどっちが大事ですか?」という二者択一を迫った場合、日本人の圧倒的多数は「お金」と答えるだろうと思っているから。
国民を見下しているという点では、中国や北朝鮮の統治者に気質的にはよく似ています。
でも、…グローバリストたちが理想としているのは、実はシンガポールの国家モデルだと思います。
シンガポールは国家目標が「経済発展」です。金儲けのために国が存在する。その点では実に筋目のはっきりした国です。だから、政治も社会制度も教育も、すべてが経済発展にプラスかどうかで適否を判断される。
安倍自民党が改憲や特定秘密保護法でつくり出そうとしているのは、左派の人たちが懸念しているような「戦前の大日本帝国」ではありません。そうではなくて、「シンガポール化した日本」なんです。グローバル経済に最適化した社会システムです。国民は金儲けだけに専念して、政治については政府に丸投げしてコミットしない国。それが安倍さんたちの夢見る「美しい国」です。
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オマケ(も書かせていただきます)
・「銃社会」アメリカでは、年間3万人が死んでいる。2012年、日本では銃による死者は4人。
ついこの前も(よりによってトランプ来日のとき)教会で銃乱射で27名の人がなくなり、その前はラスベガスの野外コンサートで60名近くの人(主に若者)が死んでいます。
銃による危険がほとんどないだけでなく、地震・台風や大雨による風水害、自然災害が多いとはいえ、でも日本は他の国と比べると「負けしろ」(豊な自然=「目に見えないストック」)の厚さがだいぶ違う。地震が来ようが、国債が暴落しようが、そのときはそのとき、国が破れても山河が残っている限りは大丈夫です。なんとかなります。…
でも、経済成長論者の方たちはこのストックをゼロ査定します。
・よく、日本はアメリカの「属国」扱いをされるけれど、日本政府がアメリカ政府に異論を唱えた姿を知らない(私が知らないだけならゴメンなさい)。
アメリカの1州ほどの政治的実力もない、今の日本はただの「属国」。
(投資家たち)彼らにとってはアメリカの国益なんかどうでもいい。自分の個人資産が増えさえすればいい。アメリカの産軍複合体はたしかに強力な戦争遂行能力ですけれど、戦争で儲けるのはもうアメリカ人じゃない。世界の投資家たちなんです。
日本も同じです。戦争をしたがっているのは兵器産業の無国籍株主たちです。彼らは日本国民が戦闘で死んでも、日本国民が報復のテロで怯えても、日本国民が非民主的な独裁体制で苦しんでも、別に痛くも痒くもない。グローバル経済というのはそういう仕組みなんです。犠牲を負担するのは国民国家だけれども、利益を得るのはクロスボーダー7で、活動する無国籍の富裕層。だから、みなさんは兵器産業への資源集中で経済がよくなると思っているんでしょうけれど、よくなりませんよ。おいしいところは株主たちが持っていくんですから。
政権は「政治に絶望して、有権者が投票所に行かない」ことを願っており、市民たちはこの惨めな状況の中でなお「政治に期待する」という決断をしなければならない。立憲デモクラシーにとってはきわめて苦しい状況です。でも、「戦争に絶対コミットしない」という一点に争点を絞って選挙すれば、市民連合にも勝つ可能性がある。
(ヨーロッパやアメリカにおける)左翼の再登場は、成長神話の時代が終わり、限られた資源をどうフェアに分配するのかという問題意識が全世界的に前景色化してきたことの現れだと僕は思っています。
オマケの話も政治的になって、ゴメンなさい。