1889年から使われてきた国際キログラム原器。もうすぐ、その役目を終えようとしている。(写真:BIPM/AFP/アフロ)

 私たちは日常、米や人体や人工衛星や素粒子などあらゆる物の質量を測る際、単位としてキログラムを用いています。

 このキログラムの定義に、実は間もなく大改革が起きようとしています。

 1889年以来、130年近く使われてきた「国際キログラム原器」が、お役御免で廃止されようとしているのです。

 ここでは、国際キログラム原器とは何物か、そもそも私たちはどうしてキログラムを使っているのか、キログラムの基礎知識をおさらいし、来たる単位の大改革について解説しましょう。

 そして、来年発表される新しい単位系を予想しちゃいましょう。

いまさら聞けないキログラム

 体重を知るにはどうするでしょうか。体重計に乗って目盛を読めばいいでしょう。

 体重計の目盛はどのように定められているでしょうか。言い換えると、測定器具の目盛の正しさはどのように保証されているでしょうか。

 体重計はどこかの体重計工場で作られますが、簡略化して説明すると、工場には質量1kgの重りがあって、その重りを乗せたときに1kgの値を示すように体重計の目盛は調整されています。

 この調整作業は「較正(こうせい)」と呼ばれ、これが測定器具の目盛の正しさを保証しています。(最近は「校正」と書くことが多いようです。)

 では、体重計工場の重りの質量が1kgであることは、どうやって保証されているのでしょうか。