僕がリクルートを辞めた訳、古巣に挑むOB社長

体験予約サイト、アソビューの山野智久社長に聞く

2017年11月8日(水)

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 日経ビジネス10月16日号の企業研究「リクルートホールディングス 創造への破壊は続く」。日経ビジネスオンラインの連動企画の今回は、「番外編」として、あるリクルートOBの挑戦を取り上げる。体験型レジャーなどの予約サイト「asoview!(アソビュー)」の運営を手がける、ネットベンチャーのアソビュー(東京都渋谷区)の山野智久社長だ。

 人材輩出企業として知られるリクルートホールディングスのOB・OGには、多くの著名起業家がいる。トレンダーズを立ち上げた経沢香保子氏や、マクロミル創業者の杉本哲哉氏もそう。在籍期間や当時の担当は様々だが、新たなビジネスを立ち上げ、成長させてきた。

 ただ、山野氏が他の起業家と異なるのは、現在手がける体験予約サイトというサービスがリクルートと直接競合し、その領域で同社を脅かす可能性を秘めていることだ。なぜリクルートを辞め、あえて古巣に挑もうとしているのか。山野氏にリクルートに対する思いや、今後の成長戦略について聞いた。

 インタビューに入る前に、アソビューについて簡単に紹介しておこう。山野智久氏がアソビューの前身のカタリズムを設立したのは2011年。翌12年に予約サイト「アソビュー」を開設し、サービスを本格的にスタートさせた。ミッションとして掲げたのは「ワクワクをすべての人に。」。余暇時間の選択肢を幅広く人々に提供し、質を向上させることを目指している。

 ビジネスモデルの核となるのは、体験型レジャーなどを提供する事業者と、消費者をつなぐこと。アウトドアスポーツや陶芸教室、日帰り温泉などの「遊び」のプランをサイト上に掲載し、利用者は旅行先の場所や自分の興味に合わせて申し込みができる。アソビューは販売額の一部を成果報酬として受け取る仕組みだ。

 創業当時、大手旅行代理店などの「オプショナルツアー」は存在していたものの、アソビューのように場所や目的に応じて自由にプランを選べるネットサービスの可能性は未知数だった。山野氏は全国を地道に営業して回り、知られていない優良な体験を一つ一つ発掘。事業者側の理解を得ながら商品を充実させていった。

 そうした努力と、近年の「コト消費」の定着が合わさり、アソビューは注目を集めていく。サービス開始から契約施設数・プラン数は年2倍以上の伸びで推移し、申し込み件数は3年間で45倍に急増。現在では約380種類の遊びのカテゴリーで、約4200施設・約1万5000プランを扱うまでに拡大した。

アソビューでは行く先や目的に合わせ、全国各地の「コト消費」のプランを予約できる

 急成長に大手企業も着目する。JTBは15年にアソビューと資本業務提携し、体験型プランの販売などで連携するほか、各地の宿泊施設や観光地の支援サービスにも乗り出している。アソビュー自体もギフトサービスやマーケティング・プロモーション支援など事業領域を広げ、さらなる飛躍を目指している。

「リクルートホールディングス、創造への破壊は続く」の目次

「僕がリクルートを辞めた訳、古巣に挑むOB社長」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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