日経ビジネス10月16日号の企業研究「リクルートホールディングス 創造への破壊は続く」。日経ビジネスオンラインの連動企画の今回は、「番外編」として、あるリクルートOBの挑戦を取り上げる。体験型レジャーなどの予約サイト「asoview!(アソビュー)」の運営を手がける、ネットベンチャーのアソビュー(東京都渋谷区)の山野智久社長だ。
人材輩出企業として知られるリクルートホールディングスのOB・OGには、多くの著名起業家がいる。トレンダーズを立ち上げた経沢香保子氏や、マクロミル創業者の杉本哲哉氏もそう。在籍期間や当時の担当は様々だが、新たなビジネスを立ち上げ、成長させてきた。
ただ、山野氏が他の起業家と異なるのは、現在手がける体験予約サイトというサービスがリクルートと直接競合し、その領域で同社を脅かす可能性を秘めていることだ。なぜリクルートを辞め、あえて古巣に挑もうとしているのか。山野氏にリクルートに対する思いや、今後の成長戦略について聞いた。
インタビューに入る前に、アソビューについて簡単に紹介しておこう。山野智久氏がアソビューの前身のカタリズムを設立したのは2011年。翌12年に予約サイト「アソビュー」を開設し、サービスを本格的にスタートさせた。ミッションとして掲げたのは「ワクワクをすべての人に。」。余暇時間の選択肢を幅広く人々に提供し、質を向上させることを目指している。
ビジネスモデルの核となるのは、体験型レジャーなどを提供する事業者と、消費者をつなぐこと。アウトドアスポーツや陶芸教室、日帰り温泉などの「遊び」のプランをサイト上に掲載し、利用者は旅行先の場所や自分の興味に合わせて申し込みができる。アソビューは販売額の一部を成果報酬として受け取る仕組みだ。
創業当時、大手旅行代理店などの「オプショナルツアー」は存在していたものの、アソビューのように場所や目的に応じて自由にプランを選べるネットサービスの可能性は未知数だった。山野氏は全国を地道に営業して回り、知られていない優良な体験を一つ一つ発掘。事業者側の理解を得ながら商品を充実させていった。
そうした努力と、近年の「コト消費」の定着が合わさり、アソビューは注目を集めていく。サービス開始から契約施設数・プラン数は年2倍以上の伸びで推移し、申し込み件数は3年間で45倍に急増。現在では約380種類の遊びのカテゴリーで、約4200施設・約1万5000プランを扱うまでに拡大した。
急成長に大手企業も着目する。JTBは15年にアソビューと資本業務提携し、体験型プランの販売などで連携するほか、各地の宿泊施設や観光地の支援サービスにも乗り出している。アソビュー自体もギフトサービスやマーケティング・プロモーション支援など事業領域を広げ、さらなる飛躍を目指している。
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