Xbox One X:海外専門家による評価まとめ

美しく作られたマシンだが,対応タイトルは499ドルの価格に釣り合うのか?

 Xbox One Xが明日(※北米時間2017年11月6日時点)正式にローンチされる。誰に聞いても,この素晴らしい超高性能ゲーム機は4月に遡って最初にDigital Foundryで公開されたときに形容されたモノそのものだった(関連英文記事)。多くのメディアがマシンのパワーとHDRのワイドカラーガンマを活用した4Kテレビと組み合わせたときの究極的に素晴らしいビジュアルをもたらす能力を絶賛している。

 Digital FoundryのRich Leadbetter氏は公式レビューでこう述べている(関連英文記事)。「すべては,あなたが4K画面を持っているか,または投資を考えているか次第ですね。ちゃんとしたHDRをサポートした正しいUltra HDディスプレイは,標準1080pの画面と比べて本当に多くの点で大きな改善を提供してくれるものです。Forza 7の精密な描線や美しいライティングはXbox Oneベースの体験とはかけ離れた世界です。Gears of War 4のディテールの細かさ(もしくはお好みでフレームレート倍増)は革新的な体験です」

 IGNのBrandin Tyrrel氏は10点満点で8.7点をつけたレビューでこれに同意する(参考URL)。「Gears of War 4のようなMicrosoftエクスクルースブのタイトルは非常に綺麗に見え,ハイエンドゲームPCの半額以下で買えるXbox One Xでとても滑らかに動きます」

「私が考えるXbox One Xの最大の問題点は,なぜこれが499ドルの価値があるのかをはっきり示してくれる圧倒的な4Kタイトルに欠けていることです」-Tom Warren, The Verge

 Microsoftによる,1080pのテレビでどれくらいゲームがよくなるのかという話も同様に本当だったと氏は語る。「Xbox One Sto比べて,Xbox One XでのGears of War 4は劇的にスムーズで鋭く,より深い体験となります。HDRがなくても,あるいは1080pディスプレイにつないでいても,エフェクトやスーパーサンプリングによって明らかにアップグレードされます。スーパーサンプリングは,目立ったジャギーのあるエッジを滑らかにするために4K画像を縮小するものです」

 そうは言っても,IGNのレビューやその他のものも,まだ「最終評価」というわけではない。なぜなら,多くのサードパーティタイトルでXbox One X対応アップデートが利用できないからだ。そして,ひとたびサードパーティタイトルが対応を終えたとしても,エクスクルーシブなタイトルは一つもなく,多くの消費者にとっては,どこでも遊べるちょっと良くなっただけのゲームに499ドルを払う価値を見出せないかもしれない。これはXboxのボスであるPhil Spencer氏が明らかに解決したがっている問題ではあるものの(関連英文記事),この冬のXbox One Xの商戦にはあまり関係ないだろう。

 「私が考えるXbox One Xの最大の問題点は,なぜこれが499ドルの価値があるのかをはっきり示してくれる圧倒的な4Kタイトルに欠けていることです」とThe VergeのTom Warren氏は,10点満点中8.5点をつけたレビューで語っている(参考URL)。「私が試した中ではAssassin's Creed Originsが最高でした。しかしこれはXbox One Xのエクスクルーシブタイトルではありません。Microsoftはこのゲーム機では単独の独占発売をしていません。たとえ旧作のXbox One X対応が素晴らしくてもそれらが4Kテクスチャを念頭に作られているとは思いませんので,大きな違いを見つけることは難しいだろうと思います。現時点で私がXbox One Xでプレイできている範囲ではもの凄いブロックバスタータイトルというのはありませんし,Microsoftも将来そういうものが出るといったことは言っていません」

Xbox One XでGears 4のビジュアルがいかに強化されたのサンプル

 「ソニーは God of War,Spider-Man,Death Stranding,The Last of Us Part II,Final Fantasy VII RemakeそしてDetroitを抱えており,現在進行中です。それらがネイティブ4Kであるかどうかにかかわらず,非常に多くのゲームがあり,人々はそれと比較してMicrosoftのラインナップをつまらないとみなしています」

 The GuardianのKeith Stuart氏はXbox One Xに5点満点中4点をつけ(参考URL),非常に似通った批評を行っている。ソニーのPS4 Proが素のスペック上ではXbox One Xより技術的に劣ったものだとしても,そのゲームが著しく劣化しているわけではない。

 「たとえ30fpsであっても,それ(※PS4 Pro)にはネイティブ4Kで走るゲームがあります。そして擬似4Kを実現するチェッカーボードレンダリングで知られるスマートな技術もあります。これを使えばネイティブ4Kと比べてもほんの少し劣化するだけです」とStuart氏は言及している。

 「カジュアルユーザーにとって,Destiny 2やFIFA 18,Assassin's Creed Originsのようなビッグタイトルはどちらのゲーム機でもほとんど同じように見えます。同時に,Uncharted 4やHorizon Zero Dawnのようなエクスクルーシブタイトルは,Xbox One Xで動いているいかなるタイトルと比べても絶妙なグラフィックスを誇っています。もしPlayStationが好きで,Sea of ThievesやHalo,Gears of WarないしForzaといったゲームよりもUnchartedやLast of Us,God of War,Death Strandingといったゲームをプレイしたいのなら,ほとんどの人にとって買い替えのきっかけにはなりません」

 ではXbox One Xは誰のためのものか? XboxのマーケティングヘッドであるAlbert Penello氏は次のように説明している(参考英文記事)。これは「最高のバージョンのゲームをプレイしたいゲーマー」のためのものであると。さらに4K Blu-rayムービーやDolby AtmosのHi-Fiオーディオを楽しみたいホームシアターマニアのためのものでもある。ソニーのマシンはそういった機能を提供していないが,Xbox One Xは,Xbox One Sよりいくぶん小さい滑らかなデザインの筐体内にそれらすべての機能を詰め込んでいる。

「間違いなく言えるのは,将来を見据えた多くの機能を搭載したこのマシンがコアゲーマーへのラブレターだということです」-Rich Leadbetter, Digital Foundry

 GameSpotのJimmy Thang氏はレビューではこのハードウェアに点をつけていないが(参考URL),このゲーム機について「圧倒的に静か」だと評している。Gears of War 4のようなグラフィックスが強化されたゲームをプレイしているときでさえ,クーラーからのかすかなハム音が聞こえるだけだ。しかし,Xbox One XでこれまでのMicrosoftによる主張にそぐわない技術的側面の一つにロード時間がある。MicrosoftはオリジナルのXbox Oneに対してXbox One Xでは最大50%速くなると主張していたのだが,Thang氏の体感ではMicrosoftの説明は正しくないという。

 「コールドブートからの起動でXbox One Xは7.5秒かかりました。これはオリジナルXbox One Xと比べて0.6秒速いだけです。Gears of War 4のロードではメインメニューが出るまでXbox One Xは50.8秒かかり,これはオリジナルXbox Oneに比べて7秒速いだけです。Act1ミッションををロードしたときには,どちらのゲーム機も31秒かかりました」と氏は語る。

 「Killer Instinctを起動したとき,Xbox One Xは37.7秒で起動したのに対して,Xbox Oneは44.1秒でした。ロード時間ではほぼ有意なパフォーマンス向上が認められますが,Microsoftが主張するものには遠く及びません」

 一部のレビュアーはXbox One X対応ゲームの膨れ上がったファイルサイズに対して不平をこぼしている。HDDはXbox One Xで1TBになったが,これは数字としては多いようにも聞こえるものの,実際にはすぐに埋め尽くされてしまうのだ。

 「Xbox One Xの1TBドライブで,だいたい14本のゲームと20本のアプリをインストールしたら足りなくなりました」とThe VergeのWarren氏は注意している。「ほとんどのXbox Oneゲームは40GBから50GBくらいの大きさです。しかしXbox One X対応タイトルは大幅に大きくなっているのです。Gears of War 4とHalo 5 は少なくとも100GB,Titanfall 2は70GBくらいでした。もしも十分高速なインターネット回線がないときは,こういったゲームのダウンロードに何時間も待たなくてはなりません」

 結局のところ,Xbox One Xは潜在力のあるシステムで満たされている。デベロッパが秘められた力を引き出していけばいくほど,4Kテレビを所有するゲーマーは非常に満足することになるだろう。

 「間違いなく言えるのは,将来を見据えた多くの機能を搭載したこのマシンがコアゲーマーへのラブレターだということです」と Digital FoundryのLeadbetter氏はコメントしている。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら