7日の東京株式相場は日経平均株価がバブル経済崩壊後の戻り高値を更新し、1992年1月以来、25年ぶりの水準に達した。世界的な好景気と金利の低位安定による適温経済が続く中、足元の企業業績も好調で、リスク資産投資に前向きな買いが優勢となった。
海外原油市況が2年ぶりの高値を付けたことを受け、鉱業や石油、海運株など資源セクターが上げ、株式相場の活況を材料に証券株、今期の利益計画を上方修正した三菱地所など不動産株、日本製鋼所など機械株も高い。
TOPIXの終値は前日比20.63ポイント(1.2%)高の1813.29と反発し、2007年2月以来の1800ポイントを回復。日経平均株価は389円25銭(1.7%)高の2万2937円60銭と4日続伸し、チャート上の節目で96年6月に付けたバブル崩壊後の高値(2万2666円80銭)を上抜けた。
ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジストは、「今の株高はアベノミクスがスタートしてからの円安と株高基調の流れであり、いずれは抜く水準だった。これでピークではない」と指摘。短期的には調整も入りやすいが、「世界の物価状況をみても、急激に金融を引き締める感じはなく、経済の拡大余地は来年にかけてまだある」との認識を示した。
株価ボード前の通行者
Photographer: Haruyoshi Yamaguchi/ Bloomberg News
この日の日本株は為替の円安一服、移動平均乖離(かいり)などテクニカル指標からみた過熱感などが重しとなり、主要株価指数は小安く開始。しかし、国内外投資家の間で株式買いの意欲は強く、午前後半にかけ上昇基調を強めると、午後は先物主導で一段高。日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。
リード役となったのは原油関連など資源セクターだ。6日のニューヨーク原油先物は3.1%高の1バレル=57.35ドルと大幅続伸し、2015年6月以来の高値を付けた。サウジアラビアでは汚職を理由に複数の王族や政府要職者が一斉に逮捕されたほか、イランがリヤドの国際空港にミサイル攻撃を試みたことは戦争行為とみなし得るとサウジが非難、中東情勢の不安定化懸念が背景にある。
小幅ながら前日の米国株も上昇。相対比較から日本株のキャッチアップを狙う買いも相場の持ち直しにつながった。ブルームバーグ・データによると、米S&P500種株価指数の翌年予想PERは17.7倍、TOPIXは15倍となっている。東海東京調査センターの中井裕幸専務は、「物価も金利も上がらず、バブルの実感もなく、過熱もしていない適温状態の中で株価は高値を更新し、『ゴルディロックスバブル』」とみる。世界の流れに日本株も追いつき始めたと言え、「長い歴史で達成できなかったデフレ脱却に向けた一つのシグナルになる」とも話した。
東証1部33業種は鉱業、海運、石油・石炭製品、証券・商品先物取引、不動産、ゴム製品、電機、非鉄金属、機械、鉄鋼など31業種が上昇。下落は水産・農林、金属製品の2業種。水産は、円安によるコスト増で業績悪化のマルハニチロが下げを主導した。
売買代金上位では、ファーストリテイリングやファナック、三菱商事、野村ホールディングスが上げ、ジェフリーズが投資判断を上げたSCREENホールディングス、業績計画の上方修正銘柄では三菱地所、ヤマシンフィルタ、旭化成、日本製鋼所も高い。半面、決算内容がアナリストにネガティブ視されたディスコのほか、KLab、アドバンテスト、古河電気工業は安い。
- 東証1部の売買高は18億9665万株、売買代金は3兆5127億円、代金の3兆円以上は7営業日連続
- 値上がり銘柄数は1315、値下がりは619