鳥インフルの冬 間近 韓国 「野鳥から検出」 既に12件

 今年も大陸から渡り鳥の飛来が本格化する季節がやってきた。韓国では10月、野鳥のふんから鳥インフルエンザウイルスが相次いで検出され、日本でも6日、松江市で前日に回収した野鳥の死骸について、簡易検査で陽性反応が確認された。確定されれば今シーズン初の検出となる。高病原性鳥インフルの発生阻止に向け、防疫対策の強化が急務となっている。
 

早くも警報「深刻」 冬季五輪で防疫を徹底


 韓国では昨シーズン、高病原性鳥インフルが計383件、殺処分が3787万羽を超す過去最大規模の流行となった。

 今季は家禽では高病原性鳥インフルが発生していないが、10月10日に野鳥のふんから低病原性ウイルスを検出。同31日に京畿道で2件、11月2日には忠清南道で、野鳥のふんから相次いで高病原性の可能性もあるH5型ウイルスが検出されたことを受け、警戒を強めている。

 今季に入っての野鳥からのウイルス検出は12件。同国は従来、渡り鳥が増える10月から翌年5月までを高病原性鳥インフルの重要な防疫時期としている。今年は10月から、危機警報を最高段階の「深刻」に引き上げ、渡り鳥の監視強化や人の移動制限、該当地域の消毒などを進めている。

 韓国では昨秋も、野鳥のふんから低病原性ウイルスが検出されていた。低病原性と安心して対策が遅れ、高病原性ウイルスのまん延につながったと反省する。韓国農林畜産食品部は「直近の3件は検査中で高病原性ウイルスの恐れがあり、油断できない状況」(鳥インフルエンザ防疫課)と話す。

 来年2月に開催される冬季五輪・パラリンピック平昌大会を控えていることが背景にある。開催地に近い一部地域では、アヒル飼養を中止する農家も。政府が1羽510ウォン(51円)の補助金を提供し、11月から来年2月まで飼養しないよう呼び掛けている。
 

厳寒の作業に備え 日本 今季初「陽性」


 環境省は6日、松江市で回収した野生のコブハクチョウ1羽の死骸について、簡易検査で鳥インフルウイルスの陽性反応が出たと発表した。確定検査の結果は1週間程度で判明する予定。確定すれば今シーズン初の検出だ。

 昨シーズン、国内では9道県の12農場で高病原性鳥インフルが発生。殺処分された家禽は166・7万羽となった。野鳥では昨年、野鳥や死骸、ふんなどから過去最多となる218例の感染が確認された。家禽に感染したのは全て野鳥と同じH5N6亜型ウイルスで、韓国など大陸で猛威を振るったタイプと同型だった。

 昨年11月に初めて高病原性鳥インフルが発生した青森県。厳寒期とあって、着用する防護服が薄手のため作業担当者は3重に着用して寒さをしのいだという。

 県は今年度、防護服の数を1・5倍に増やした他、防寒具も用意した。資材の配備場所も県内1カ所だったが、家禽の多い地域にも配備。県の防疫対応マニュアルも見直し、発生時の連絡や指揮体制を強化。7月に生産者などを対象に開いた研修では、畜舎周りのチェックなどウイルスの侵入防止策の徹底を呼び掛けた。

 農水省は9月、都道府県に対し、発生予防策として特に人や車両、野生動物を介してウイルスが家禽農場や畜舎に侵入しないようにするなどの対策を通知。併せてウイルスの拡大防止へ発生の初動対応、人員や防疫資材の確保の強化も呼び掛けた。

 専門家らの調査によると、渡り鳥の飛来ルートは複数あり、全国で感染リスクがあるという。「今秋以降も、引き続き厳重な警戒が必要だ」(同省)と強調する。

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