安倍晋三首相とトランプ米大統領は6日、東京・元赤坂の迎賓館で会談した。焦点となった核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対応で、圧力の最大化に向け、緊密に連携を取ることで一致した。
会談後の共同記者会見で、安倍首相は「『すべての選択肢がテーブルの上にある』というトランプ大統領の立場を一貫して支持する」と改めて表明。「日米は100パーセント共にある」と強調し、日本独自の制裁を拡大することを明らかにした。トランプ大統領は「(北朝鮮の態度変化を待つ)『戦略的忍耐』の時代は終わった」と明言した。
両首脳とも軍事力行使に伴うリスクについては語らず、外交努力による解決への言及がなかったのが懸念される。
米朝両首脳が「ロケットマン」「米国のおいぼれ」と言葉の応酬を繰り返し、米国は北朝鮮情勢を念頭に原子力空母3隻を展開している。北朝鮮は「情勢を最悪の爆発ラインに追い込んでいる」と非難、緊張が高まっている。
こんな状況でトランプ大統領は「首相は大量の(米国製)軍事装備を購入することになるだろう。そうすれば、ミサイルを上空で打ち落とせるようになる」と日本の軍事力強化をあけすけに求めた。
これに対し安倍首相も「日本の防衛力を量的にも質的にも拡充していきたい」と購入に意欲的な姿勢を示した。危ういと言わざるを得ない。
トランプ大統領は拉致被害者の家族と面会。日本と連携して取り組むことを表明。被害者の期待感が高まるが、具体策は示さなかった。
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安倍首相は会見で「日米同盟の揺るぎない絆を世界に向かって示すことができた」と胸を張った。
会見では両首脳から沖縄の基地問題に関することは一切出なかった。政府によると、首脳会談では「沖縄をはじめとする負担軽減のために在日米軍再編を進めることを確認」したという。
だが、日米同盟の内実は沖縄に過重負担を負わせ、その利益を本土が享受する差別構造である。辺野古新基地は、普天間飛行場にはない軍港機能や弾薬庫を備え、周辺演習場と連結して巨大な軍事拠点となる。負担軽減にならないことは明らかだ。
首脳会談の日に合わせるかのように、政府は辺野古新基地建設の埋め立てのための二つの新たな護岸工事に着手した。揺るぎない同盟の絆はいびつな沖縄の犠牲の上に成り立っているのである。
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最新鋭ステルス戦闘機F3512機が6カ月間、嘉手納基地に配備されたばかりだ。嘉手納、津堅島沖のパラシュート降下訓練も地元の反対の声を押し切って行われている。
昨年12月にオスプレイが名護市安部の浅瀬に墜落し、10月には東村高江の牧草地でCH53大型輸送ヘリコプターが炎上した。沖縄では平時はないと言っても過言でない。
炎上した大型ヘリは事故原因を明らかにしないまま県議会で与野党が全会一致で反対する中飛行を再開した。政府も容認した。日米首脳会談は沖縄の不安には何も応えておらず、とても納得できない。