んんん?まだクナ先生を取り上げていなかったとな?
これはまた不覚!

名前からしてエグいが、なんと『アインザッツ』の「橋久奈」の語源となった人。
どうしてこんなごっつい人をヒロインの語源にしてしまったのか・・・。

朝比奈御大が彼の実演を観ているが、まぁ行儀が悪かったらしい。
指揮もそっちのけで背中を掻いたり、そんなことがしょっちゅうあったとか。

演奏にも気分のムラがあり、残っている実演のフィルムも、ウィーン・フィルを野放しにしたかのような、アンサンブルの乱れもどこ吹く風のような指揮ぶりが散見される。

しかし当たれば凄い。
とんでもない音を出す。
豪放磊落とはまさにこのこと、アンサンブル?はぁ?それおいしいの?と言わんばかりの、肺腑を抉るような音を出した。
土臭くて人間臭い、今じゃ絶対味わえない音だね。

やっぱり尊敬するワーグナーが良かった。
途中で録音を投げ出した『ワルキューレ』の第一幕、あれは素晴らしい。
神々と人間の美醜をことごとく描き抜いた音。素晴らしい。


最近「表現と人間性は別!」って俺も乗っかって言ってるのだが、それも所詮はまやかしだ。
本人の人間性の美醜がそのままドラマツルギーとなってうねり狂う、それが真実の芸術だ。
今では完全に不可能な所業だ。