もうExcelでタスク管理する時代ではない
未だ主流なExcelによるタスク管理
ちょっと言い過ぎかもしれないが、Excelでプロジェクトのタスク管理をしている人はやり方を見直すべきだと思う。もし、Excelで作った管理表はメンテナンス性が低い。更新だけでも相応に時間を費やしているはずだ。効率を優先するのであれば、リスト形式でタスクのデータを管理するという手段もある。やり方を工夫すれば、欲しいデータは簡単に抽出できる。
ただ、リスト形式でタスクのデータを管理したとして、人に見せて説明する時に困る。ガントチャート等、ビジュアル的なものをいれたとして、自動で更新するのが難しい。無理に実現しようとVBAで頑張るとメンテナンスが大変になる。Excelは一見高性能だ。自由に記述できるので何でもできる気分になるが、逆に好き勝手な書き方をするから収集がつかなくなる。
就業時に支給されたPCにExcelとWordしか入っていないから、とりあえずExcelを使うという発想になるのだろう。ただ、時代は変わっている。わざわざExcelで無理をしなくても、ツールやサービスを使うことで簡単に効率よくタスク管理ができる。今までExcelの更新やメンテナンスに割いていた工数分が浮くので、費用対効果も望める。
Excelは個人でのタスク管理には十分使える。ただ、人に説明したり、共同で記入していくには効率が悪い。また、多くの情報を管理するとぐちゃぐちゃになりやすい。メンテナンスに手間がかかり過ぎるので共同作業向きではない。最近では便利なツールがいろいろ出てきたので、相対的に見てもExcelでのタスク管理の必要性が下がった。
一からやり方を考える必要性
Excelでタスク管理をするとなると、一から仕組みを考える必要が出てくる。簡単な数字を管理するのであれば問題ないが、閲覧性や操作性を追求すると難しい。「いや、それは簡単だよ」という意見は良く聞くが、実際のところ安直に済ませているだけだ。小規模なプロジェクトならそれで足りるが、同じやり方を大規模のプロジェクトで使ったら間違いなく制御ができなくなる。
まず、タスク管理をするにあたり、管理したい情報を絞り込んでいるだろうか。タスクの項目か、役割分担か、リスクを洗い出したいのか、目的によってまとめ方は全然変わってくる。もちろん、管理したい項目が増えるほど、記入時のルールが増えてメンテナンスが大変になる。記入時のルールの徹底というのは、工数や労力を想定以上に消費するだ。
Excelは自由度が高すぎる。何でもできるが故に、最初に決めた仕組みが簡単に壊れる。よくできた仕組みというのは、制約の仕方が上手い。シンプルにまとめて必要意外のことをやらせない。逆に出来の悪い仕組みほど制約が下手だ。数字を入れるところに文字列を入れる事ができてしまい、処理をする時にエラーが出たりする。Excelで管理表を共有すると、こういうことがよく起ると思う。
ツールを使ったとしても、管理したい項目を考えたりルールを決めたりする手間はかかる。しかし、それを自分で考えるのではなく、ツールのコンセプトに乗っかることで大きく省くことができる。わざわざ自分で一から仕組みを考えて要件を並べ立てるより、誰かの作ったコンセプトに則った方が断然効率が良い。考え方の視点を変えてみてはどうだろうか。
高すぎる自由度に翻弄されないために
多くのツールがあってもExcelを使う理由はいろいろある。まず、自由度が高いこと。元々あるからタダで使える、誰でも使えるツールであるということだ。これは非常に説得力がある。お金を少しでも安くしたい人にはこれ以上の理由は無い。また、普段から使い慣れているという安心感がある。一般的にも、ツールを使うのが特別でExcelでやるのが普通という認識だ。
ただ、仕組みという視点から考えたらどうだろう。Excelでタスクを管理する場合、仕組みを考えるのは素人だ。ツールは多くのノウハウを元に作られている。結果論ではあるが、Excelでタスク管理している人たちでは、ツールを使ってタスク管理をしている人たちに効率で敵わない。効率の差は仕組みでつくからだ。自由度は効率には結びつかない。これはツールがどういうものか理解できなければ分からない。
ただ「あれも欲しい、これも欲しい」という要望に応えるスタイルだけならExcelに分があるだろう。やろうと思えばVBAでプログラミングでも対応できる。しかし、効率を出すために必要なのはむしろ絞り込みだ。なので、自由度が高いほど逆に翻弄されてしまう。単に要望に応えているだけでは、「何のため」という目的を失ってしまう。Excelでタスク管理を行っている人は、心当たりが無いだろうか。
タスク管理のためにいろいろなツールが出ているが、それぞれにコンセプトがある。自分たちのニーズに合わせたものを選ぶことが重要だ。要望を出しまくるのではなくコンセプトを理解する。仕事にツールを合わせるのではなく、コンセプトに合わせてやり方を変えていく。これが、自由度に奔放されずに結果を出すための考え方ではないだろうか。
ツールを通じてタスク管理を考えよう
Excelでタスク管理をしている人に、「最近便利なツールが出ているよ」という話をしたことがある。それに対して「ああいうツールでは工数管理ができない」という返答が返ってきた。彼らにとっては、タスクには必ず工数が絡むものという認識があるようだ。タスクといってもいろいろな考え方があるし、管理したい項目も違う。
ちなみにこの現場でいうタスクは工数の振り替え先の作業のことだった。タスク管理と言いつつ、やっていたのは工数管理だった。この場合に必要なのは工数管理のツールだ、ToDoの管理をするときのタスクと、工数を計算する項目のタスクと混同されているように思う。この現場で必要なのは、工数管理とタスク管理を区別して考えることだと思う。
無理に色々なことをやろうとすると、Ecelだろうが一般なツールだろうができないものはできない。ただ、Excelだと無理矢理結びつけることができてしまう。その状態で「できている」と勘違いすると、なかなか苦労することになる。効率に結びつけるには、自分の出した要件をいかに満たすかではなく、コンセプトがどれだけ優れているかが重要だ。
タスク管理ツールの使用を薦める一番の理由は、ツールにはコンセプトがあるからだ。一から自分たちで仕組みを考えるより、作った人の考え方を理解した方が早い。実際に結果をだしている人たちはそんなノリだ。人の作ったものをうまく取り入れることが、これからの時代で結果を残すのに有効なやり方ではないだろうか。いろいろなツールを見ることで学べることは多い。