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俺は己の属性について知る
遅くなってすみません。
朗はエーアデに魔法を教わり問題ないと言われるほどになった。そして、これかどうするか、決めることにした。
「それで、あなたはそれなりに魔法を使えるようになったわけだけど、これからどうする?どこか近くの街や村にでも行く?」
「ああ、そうだな…………よし、そうしよう」
水に関してはエーアデが魔法を使ってくれるおかげで湧水が飲めるからいいが、いつまでも魔物をただ焼いただけの料理を食べ続けるのはつらい。
きちんとした料理を食べるにはどうしても人がいるところに行かなくてはいけない。
「よし、それじゃあ、行こうか」
そうして歩きだした俺だったがエーアデに止められた。
「まって。もしかしたら朗の魔法で歩いていかなくても済むかもしれないわよ?」
「俺の魔法でか?」
「そう。まあ、朗が便利な属性を持っていたらの話だけれどね」
「うん?いったいどういうことだ?」
朗はエーアデの言っていることが分からずに困惑してしまう。
かつて、エーアデは俺の属性は、エーアデを呼び出した時とエーアデと同じ地だけしか今は分からないと言っていたはずだが……。
「地属性の魔法の一つに魔石を作る魔法があるの」
「魔石?」
いきなり聞いたこともないことが言われ困惑してしまう朗。
すると朗の顔を見て察したのか、説明してくれる。
「魔石、名前の通り魔素の塊よ。ちなみに魔物の体には大小はあるけど、すべての個体が持っているわ……ってそういえば、魔法の訓練なんかで狩った魔物の魔石、あなたは持っているじゃない?」
「ああ。これか」
そう言って朗は自身のアイテムボックスから、小さい黄色い石を取り出すのであった。
ちなみにアイテムボックスはエーアデが朗に真っ先に教えた魔法の一つであった。
アイテムボックスは時の属性があれば習得が容易で、また時の属性がなくてもそこそこ努力すれば覚えっらせる魔法であった。
「ええ、それよ。……っていうか、今まで魔石を何だと思っていたのかしら?」
「いや~きれいな石としかみていなかった」
エーアデはあきれたような表情で溜息を吐いた。
「まあ、それは置いておくとして、地属性には自身が持ちうる属性を含んだ魔石を作ることができる魔法があるの。上級魔法の一つになるけど、今のあなたには使えるはず。やってみる?」
確かに今のおれは地の属性の下級、中級と僅かばかりの上級魔法、そして時の属性の下級魔法が使える。
しかし、この先のことを考えておくと他の属性も使えたほうが便利だろう。
今のおれでは地属性の魔法は攻撃系を持っておらず、そもそもとして地属性に攻撃系があるのかすらわからない。
また、俺は、バスケットボールはやっていたが武術は全くと言っていいほどできない。
そうなると今のおれが持ちうる攻撃手段は地の属性の魔法しかない。
もし、地の属性が効きにくい、あるいは効かないあいてとあたったときに、どうする事も出来ずにやられてしまうだろう。
そう考えをまとめ、俺はエーアデの言葉にうなずいた。
「ああ、そうだな。教えてくれ」
「ええ。それじゃあっと!!」
掛け声とともにエーアデが手を振り上げると地面に奇妙な模様が現れた。
「これは一体なんだ?魔法教えてくれるんじゃないのか?」
するとエーアデは得意げな顔をしながら言った。
「これは魔法陣よ。これは描かれている魔法に適性があり、かつその魔法に精通していれば、その魔法を詳しく知らなくても魔法を使えるすぐれものなのよ」
それば便利そうだと、朗は驚いた。
「それはすごいな。後で魔法陣、教えてくれるか?」
「別にそれはいいけどかなり大変よ?あと描けるのは術者本人が使える魔法だけよ?」
「魔法陣を覚えれば使えない魔法も使えるかもと考えたがな~」
重い道理にいかず、ついぼやいてしまう。
「まあ、今はそのことはどうでもよくて……じゃあ、この陣に空気から魔素を取り込んで思いっきり流して」
エーアデの言うとおりにすることにして俺は魔方陣に手をつき、魔素を取り込み魔力に変換して流し始めた。
すると次第に魔法陣が光り始め、そしてとても強く光ったと思ったら、魔法陣の上にさまざまな色が混ざったような濁った魔石がおかれていた。
「ふう~ん。朗、よかったじゃない。これなら歩いて向かう必要はなさそうよ」
エーアデはどこか機嫌よさそうに魔石を見て言う。
その反応にほっとしながらエーアデに尋ねる。
「それで、俺は他にどの属性が使えるんだ?」
エーアデの反応で悪くはないのだろうと思いながらも、気になり急かす。
「ええっとね~朗は他に光と風と空が使えるみたいよ。五つも使えるなんてめずらしいわね」
エーアデは驚いているのか眼を見開いている。
「光と風はともかく空?」
光は聞いたことがある。しかし空は聞いたことがないなっと思いながらも尋ねる。
「空の属性は文字通り空を浮いたりできるわよ。これがあれば街まであっという間ね!!」
そうしてエーアデは機嫌よさそうに空の魔法の使い方を教えてくれるのであった。
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