会社設立は手続きとして法的に決して専門家に依頼しなければできないことではありませんが、 個々の留意点を検討せずに会社を設立してしまうと、設立後に各場面で支障をきたしてしまう可能性があります。
そこで、今まで1万社の会社設立で培ったノウハウのうち、設立時に検討すべき項目を48項目に分けて各項目ごとの留意点、検討すべきことについてまとめてみました。 これら各項目について事前に検討することで、設立後に失敗しない会社設立をすることができます。会社設立は、法人として活動するための最初の手続きであるとともに、 設立後の運営にも影響を与える決定事項を多く含みます。 設立手続きに入る前に、再度この48項目について確認してみましょう!
事前検討
会社設立の申請に入るその前に、確認すべき事項があります。設立申請に入ってしまうと、気持ちは一日でも早く会社設立したいという方向に向いてしまい、後戻りが出来なくなってしまいます。その前に検討すべき事項を見ていきましょう。
検討1個人事業と法人はどちらが税金が有利か
起業は会社設立からと思いこんではいませんか?創業期は誰でもコストを抑えたいもの。税金の視点から当初個人事業から始めるのも一つの選択肢です。また既に個人事業を営んでいる方にとっては、法人成りで税金が安くなる場合があります。個人事業と法人、税金面ではどちらが有利かを見ていきましょう。
検討2株式会社と合同会社はどちらにすべきか
業種等によっては株式会社でなくとも、合同会社で十分なケースもあります。知名度はまだ高くない合同会社。株式会社と合同会社のメリット、デメリット等をみていきましょう。
検討3助成金で取得できるものはないか
助成金には様々な種類がありますが、主に雇用に基づく助成金がほとどんです。起業後に従業員の雇用をしたいが、資金的に最初は難しいと考えることも多いと思いますが、雇用に基づく助成金で取得できるものがあれば、起業後の事業計画も変わってきます。どのような助成金があるかのチェックをしていきましょう。
検討4補助金で取得できるものはないか
補助金は助成金よりも幅が広く、様々な補助金が中小企業庁、都道府県、市区町村で募集されます。特に創業時に取得できる補助金があれば補助金申請時期に合わせて設立時期の調整も必要になってきたりします。
検討5設立後の創業融資を視野に入れた設立になっているか
創業融資制度を受ける場合には、創業の要件、自己資金の要件に該当していなければなりません。創業期の運転資金や設備投資に「創業融資」を検討している場合に、「要件に該当せず、希望額の融資申請ができなかった」ということにならないように、設立前から要件に該当できるかの確認が必要になってきます。
検討6必要となる許認可に見落としがないか
業種や経営する事業の内容によっては、勝手に商売を始めてはいけないものもたくさんあります。自分のビジネスに許認可が必要なのかどうか? を確認してから会社設立するようにしましょう。
検討7銀行口座開設を視野に入れた設立スケジュールになっているか
銀行口座開設には、登記簿謄本や税務署に提出する法人の開設届出等が必要になってきます。登記簿謄本は設立時にすぐに取得できるものではなく、設立から早くても10日前後は取得に時間を要します。銀行口座開設までのスケジュールをしっかりと確認しておきましょう。
検討8許認可申請を視野に入れた設立スケジュールになっているか
許認可も申請してすぐに許可が下りるものではありません。法人として設立した後でなければ許認可申請が出来ないケースがほとんどですから、ビジネスを開始しようとする時期からさかのぼって、許認可申請から許可が下りるまでの期間、会社設立までの期間をトータルでスケジュールを計画していきましょう。
検討9商標権登録されている会社名でないか
新会社法施行後は類似商号調査がなくとも会社は設立できますが、既に商標登録されている他の会社から営業上の利益を侵害するものとして損害賠償を請求される場合も出てきます。自分の会社名が商標権登録されているかをしっかり確認していきましょう。
会社名検討事項
会社名はその会社の顔でもあり、イメージや雰囲気を作り出す重要な要素です。自分が作った会社に思い入れや愛着を持てるような会社名になるようにしましょう。
検討10会社名で使える記号や文字になっているか
会社名には使える記号・文字、使えない記号・文字があります。せっかく使える記号を使わない、使えない記号を入れて会社設立申請が却下されたとならないように、使える記号や文字についても確認していきましょう。
検討11会社名で使えない言葉が入っていないか
使えない言葉、使ってみたものの他人から見たら入れないほうが良い言葉。奇をてらった会社名も過剰になってしまうといけません。他の方の意見等も聞けたらよいですね。
検討12会社名と同じドメインが取得できるか
ドメイン名も会社名と同じくらい会社イメージを決定する重要な要素の一つです。そのドメイン名を会社名と同じもので取得できるといいですよね。
検討13同名の会社名の会社がネット検索で上位にでないかは確認しましょう
いまやホームページは会社の入り口といってもよいでしょう。会社名で検索したときに、同名の有名企業が検索されてしまうと、なかなか検索でその会社の上位に表示させることは困難になってきます
検討14レンタルオフィスで設立をするときの会社名の注意点
レンタルオフィスを利用する予定の場合には、同一住所、同一会社名の可能性というのが出てきます。必ず同一名称の会社がないかの存在の確認をしましょう。
検討15商号に英語表記を入れるかどうか
英語の会社名の登記はできません。ただし、定款に英文表示を決めることができます。この場合の英文表記方法についても確認していきましょう。
資本金検討事項
資本金は設立後の消費税の納税義務や創業融資に関係性のあるものですので、十分に検討していく項目です。また設立申請の際にも資本金証明の仕方に気をつけなければならないのと、この資本金を使える時期というのもお客様から良く聞かれる質問のうちの一つになります。
検討16資本金は消費税の免税を考えているか
消費税の納税義務の判定は設立当初は資本金で判定していきますので、消費税の納税義務も踏まえた資本金を決めていかなければ成りません。
検討17資本金は銀行の融資に有利になるようになっているか
創業融資の要件の一つに自己資本金額があります。創業融資で申請したい希望額とあわせて資本金を決めていく必要があります。
検討18資本金を使える時期を報告しているか
資本金はいつから使えるの?この質問はベンチャーサポートのお客様でも一番多い質問の一つでもあります。資本金の使える時期を確認していきましょう。
検討19資本金の振り込み方に問題はないか
資本金証明は昔は別段預金として口座を開設し、そこに振込みを行っていくやり方でしたが、現在は簡易的に発起人の個人口座に預け入れ又は振込みによって、その入金された預金通帳の写しを資本金証明に使っていきます。その場合の振り込み方について確認していきましょう。
検討20現物出資のメリット・デメリットを検討できているか
資本金を少しでも多く見せたい方は現物出資も検討のうちの一つになるかと思います。現物出資のメリット・デメリットを見ていきましょう。
事業年度検討事項
会社設立事項のうち事業年度も大事な検討事項の一つです。
検討21納税時期を考えて何月決算が最適か
法人の納税時期は決算日から2ヶ月以内、申告期限と同じ期限となっています。納税時期に資金繰りが一番厳しい時期に当たってしまうと、納税を遅延することになり、さらには延滞税等が課税されるリスクも出てきてしまいます。
検討22消費税の免税期間を考えて何月決算が最適か
消費税の免税期間はなるべく長く取りたいと思いませんか?その場合の事業年度の決め方等について確認していきましょう。
検討23消費税の特定期間を考えて何月決算が最適か
消費税の納税義務の判定は、最近の改正でとても複雑化してきています。創業すぐに売上が上がっていく会社、従業員複数名雇用を考えている会社は特に特定期間を考えて決算月を決めていきましょう
検討24決算作業を考えて何月決算が最適か
法人の決算作業は個人の決算作業と比べて難易度も高く、非常に時間を費やします。海外出張等が多い月には決算作業を行う時間がなくなり期限内申告が難しくなってきます。決算作業も踏まえて決算月を検討しましょう。
検討25定期的に売上のあがる時期を考えて何月決算が最適か
繁忙期、閑散期と業種によっても会社によっても異なってきますが、例えば繁忙期が決算月となると、決算対策のための売上予測が難しくなり、反対に落ち着いている時期が決算月となると売上予測がしやすく決算対策がしやすくなるというメリットがあります。
検討26事業計画の立てやすさから考えて何月決算が最適か
会社によって年の区切りという意味で決算月を考えてみてもいいでしょう。一つの区切りを境に事業展開を毎年考えるようであれば、事業計画の立てやすさという意味で、その区切りの月を決算月にしてみるのもよいでしょう。
本店所在地検討事項
会社設立時の本店所在地にすればいいのか、さまざまな角度からメリット・デメリットを見ていきます。
検討27本店所在地は銀行通帳が作りやすい場所になっているか
本店所在地を会社所在地とは別に自宅で登記した場合には、自宅の地域に会社が無い場合、銀行通帳を作れないというケースも出てきます。
検討28本店所在地を自宅にする際のメリット・デメリットの説明
自宅を本店所在地にするメリットとしては、家賃などの経費を抑えることができることが挙げられます。一方、デメリットとしては、外部からの信用を得にくいということが挙げられます。本店所在地を自宅にするかどうかは非常に多い相談の一つです。
検討29部屋番号まで登記する場合のメリット・デメリット
本店所在地の登記表記は部屋番号を含めて表示することも、含めないで表示させることも出来ます。この場合のメリット・デメリットをみていきましょう。
検討30定款の本店所在地を市町村で止めるメリット・デメリット
定款にも本店所在地を記載する箇所がありますが、定款の本店所在地を市町村で止める場合のメリット・デメリットはどうのようなものでしょうか?
役員・株主検討事項
会社設立後、事業を軌道に乗せるには、経営を安定させる必要があるでしょう。そのためには、会社の業務を行う役員の選任が重要になります。 もし選任した役員が不適切なものである場合は、すぐ解任できるようにしなければなりません。そのため役員の選任と解任をスムーズに行えるような株式持株比率にすることが大切です。その他株主や役員に関する注意点を確認していきましょう。
検討31役員の構成は節税上有利になるようになっているか
配偶者や親族が事業を手伝う場合、役員にするか社員にするかで節税上の有利になるかが決まってきます。
検討32役員報酬をいくらにすべきかの検討をしているか
数ある節税の中でも役員報酬の設定は非常に重要なポイントになってきます。役員報酬の設定についてみていきましょう。
検討33非常勤役員を置くメリットと注意点を報告しているか
外部から顧問として非常勤役員になってもらうケースもあるでしょう。その場合のメリットや注意点についてみていきます。
検討34安定経営を考えた資本政策になっているか
スムーズに事業経営を行っていくための株主比率で経営することが大切です。株主比率を考えた資本政策についてみていきます。
検討35他社に過半数出資している株主の確認
消費税の納税義務判定には特定新規設立法人という判定が新たに追加されています。特定新規設立法人についてみていきます。
事業目的検討事項
会社の「目的」の作成に際しては、定款を見た人にいったいどういった事業をする会社なのか、明確な方向性や業種が伝わるように注意して作成する必要があります。その他注意点についてみていきます。
検討36事業目的は許可申請を取得することを念頭に置けているか
許認可が必要となる事業の場合は、許認可要件を意識した「目的」を記載する必要があります。
検討37事業目的は閲覧者が内容がわかりやすいものになっているか
謄本や定款を見た人にいったいどういった事業をする会社なのか、明確な方向性や業種が伝わるように注意して作成する必要があります。
検討38事業目的には将来予定している内容も盛り込めているか
定款に記載した「目的」以外の業務を行うことは基本的にできないので、もし事業拡大をしたい場合に、いちいち定款変更の手続きをしなくてはならないのではないかという懸念があるため、将来予定している内容を盛り込んでいるかを確認します。
その他検討事項
その他会社設立する際に検討すべき事項は以下の通りです。