左がサバで、右がサバヒー。
台湾旅行へいくことになり、なにか変わった食べ物はないかなと調べていたら、友人から『サバヒー』という魚の存在を教えてもらった。なんでも台湾の国民的人気魚で、お粥などに入れるらしい。
サバヒーなんて初耳だ。よし、この全く聞いたことがない魚を旅行の裏テーマとして、市場調査、実食、博物館訪問、そして帰国後に調理をしてみよう。 結論から先に言うと、サバヒーはサバに非ず。サバ非だったのだ。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
前の記事:「うどん屋併設の飲めるビリヤード場」 人気記事:「一番安い寝台車のシート、ノビノビ座席で寝てきた」 > 個人サイト 私的標本 趣味の製麺 台湾の国民的人気魚、サバヒーを探して世界一の養殖量とも言われているサバヒー(虱目魚)は、ネズミギス目サバヒー亜目サバヒー科サバヒー属という、サバとはかなり遠い種類の魚。ネズミギス目というのがまずピンとこない。
藻類を主なエサとしているため、昔からの養殖方法だと、まず池に小麦や米糠をまいて、藻を培養してそこに放つらしい。魚で魚を育てるマグロなどとはだいぶ違う。 台湾で見かけたサバヒーの養殖用と思われる池。
台湾のみならず、フィリピンやインドネシアなどの東南アジアでも養殖されている、世界レベルの人気魚種。
それなのに魚大好き民族である日本人の食卓に上ることが、ほぼないという理由はなんなのだろう。 台湾のビートルズと呼ばれているバンドではなくて一緒に旅行に行った方々。後ろの緑のカバンが私です。
サバヒーを求めてまずやってきたのは、南部にある台湾第二の都市、高雄。ウィキペディアでざっと眺めた程度の知識だが、サバヒーは温かい海の魚であり、台湾では中部から南部にかけて養殖が盛んらしいのだ。
こう書くとサバヒーのために高雄へ来たみたいだが、別にサバヒーを探してきたという訳ではなく、この旅がたまたま高雄からだったから。 サバヒーよりも観光優先の旅です。
今回の旅行はだいたい5~6人でウロウロしており、サバヒーに興味があるのは私だけ。もっといえば、この時点では私もネタになればいいな~くらいの軽い気持ちだった。
旅の途中でたまたま出会うサバヒーをチェックするスタイルで、どこまでサバヒーの本質に迫れるだろうか。逆に言えば、このくらい軽い気持ちで出逢いまくるなら、それこそ台湾の国民魚である証と言えよう。 変わった姿で売られていたサバヒー高雄についてやってきたのは、蓮池潭という池。この池にサバヒーがいるという訳ではなくて、この周辺が観光スポットだからだ。
台湾版新幹線の停車駅の近くで、蓮の池があるとなれば、日本で言えば上野みたいな街だろうか。 もし上野ならばアメ横みたいな市場があるかもねとブラブラしていると、一昔前の真夏のアメ横みたいな一角を見つけた。そしてさっそくサバヒーらしき魚を発見! このV字の尻尾はサバヒーのはず。
サバヒーの特長はV字の尻尾。よって黄色いトレイに乗った左上の4皿がたぶんサバヒー。お店の方に「サバヒー?」と聞いたら、頷いてくれたのできっとサバヒーだ。
サバより一回り大きいくらいの魚なのだが、その売られ方が独特だ。お腹の部分がスパッと切られたり、さらにそこから側面の肉をそがれたりしている。 なんだろう、この独特な切り方は。
日本だと頭と内臓だけ取ったり、二枚や三枚に捌いて売られている魚はよくあるが、こういう姿は初めてみる。そして腹回りの肉が売られていない。
見た感じだと、身の質はサバやサワラに近いだろうか。サバヒーの別名がミルクフィッシュで、身がミルクのように白いと書いてあるサイトがチラホラあったが、そこまで白くはないようだ。 サバヒーだと思われる魚の頭。
こちらは東京湾で水揚げされたボラ。
まとめて売られていた頭をみると、なんだかボラっぽい感じだ。そういえばボラもこんな身の質だった気がする。
サバヒーは海だけでなく、河川や汽水域でも生活できる点も含めて、ボラに近い魚の気がしてきた。 サバヒーの腹肉を発見あの魚屋で売られていなかったお腹の部分はどこにいくだろう。腐りやすいから食べないのかなと思っていたら、スーパーの冷凍食品コーナーでお腹部分だけが『虱目魚肚』として売られていた。
肚は腹という意味で、カツオのハラモにあたる部分である。イワシだとここは骨が多いから、さばくときに内臓と一緒に捨てちゃう場所だ。 サバヒーの腹部分。隣にはサバヒーのつみれも売られていた。
この腹肉だけのお粥が台湾にはあるらしいけど、それは安いからなのか、あるいはうまいからなのか。
昼食に牛肉麺などを食べつつも、まだ味わっていないサバヒーへの想いが強くなっていく。 ゴミ袋としてサバヒーの飼料袋が使われているのを見かけて、さすが本場だなと感動した。
夜市でもサバヒーの腹が売られていた続いてサバヒーを探したのは、高雄市内の夜市。夜市とは台湾各地で盛んに開催されている、屋台が集まった夜の観光スポットだ。
台湾滞在中、毎日各地の夜市に通っていた。
海鮮が並ぶ店も多いので、ここにもサバヒーがあるかもしれない。なにか食べ歩きできるサバヒー料理はないだろうか。
しばらくブラブラしていると、観光客向けのちょっとお高そうな店に、サバヒーのお腹を発見。 写真中央に注目。
タチウオなどの大きな魚をのぞけば、ほとんどの魚は丸ごとで売られているのだが、サバヒーは腹だけの虱目魚肚だ。
ちょっと高級であろうこの店で、この部分だけの扱いということは、やはりこの腹が高級ということなのだろう。 台北の朝市にもサバヒーがあった時系列を無視して、ここで旅の後半に一泊した台北の話となる。
最終日の朝に見学した朝一で、丸のまま売られている新鮮なサバヒーを多数発見したのだ。 こうやって全身をみると、ボラというよりもニシンっぽいかな。
高雄で泊まった宿の日本人オーナーの話では、「サバヒーは食べますよ!皆さんも食べたほうがいいです!フライとかおかゆとかが人気かな。うーん、癖はありますよ。でも気にならないです。鮮度が落ちやすいので、産地でない台北ではあまり食べないかも」とのことだったが、台北で鮮度抜群のサバヒーが売られているとは。
一番最初にここへ来ていたら気づかなかったかもしれないが、左の開かれた魚はサバヒー。上の方にある頭もサバヒー。
この市場ではサバヒーは丸のままか、アジフライ用みたいに背開きにした状態で売られいて、お腹だけというのは見かけなかった。サバヒーのサイズが小振りだからだろうか。
とにもかくにも、台北でもサバヒーは人気のようだ。 サバとサバヒーが並んで売られているのを見つけて大興奮して、同行者にキョトンとされるなど。
という長い前振りを踏まえて、ようやくサバヒーを食べます。
台湾のモデルさん美人だなーと思ったらガッキー。
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