腹痛で気分が悪い。
しばらく自分で作ることはないだろうと考えながらベッドでスマホを見ると口唇口蓋裂の赤子が親に見捨てられて死んだ云々という話を見つける。
口唇口蓋裂はきれいに治る云々というが、彼は上唇の真ん中を中心点として左右に唇が広がっていた。
ずっとこんな感じだったので口唇口蓋裂なのか、はたまたそうではない別のものなのか全く分からなかった。
とにかく、自称進学校に入れてくれるほどには親も面倒を見てくれているだろうから手術ではどうにもならなかったのだろう。
鼻も潰れていて、顔全体が悪い。歩き方もどこかぎこちない。
彼は孤独そうだった。友人もマトモにいるような類ではもちろんなかったし、運動神経も悪かった。
言葉もモゴモゴしている。
そんな彼と接点があったのは体育の時間に、慶応大学に進学した高身長のやつが、自分と彼を名指ししてこいつらで騎馬戦のチームを作ったら言ったのだ。
そうなのだ。自分も酷く醜くて運動神経も悪い奇形なのだと悟った。
彼と同じくらい醜いのだろうというのは察しはついていたが、言われるとやはり辛くなる。
口唇口蓋裂っぽいやつは頭が良かったからもっと良い大学にでも通っているのかもしれない。
彼が例えいい大学に通っていても彼が羨ましいとは微塵も思わない。
自分の容姿も治せるのなら治したいが、彼みたく治せないのだろうか。
そうだったら、生きている心地がしない。