薬局が病院の周りにやたらと溢れかえる事情

結局、患者の薬代負担を増やした政策の是非

今の薬局は、仕事の多くが薬剤師本来の能力を生かすものになっていない(撮影:今井 康一)

「何でこの薬局を選んだのかだって?そりゃ、いちばん近かったからパッと入っただけだよ。それ以外の理由は特にないねえ」。

そう話す70代の男性が通う東京都立墨東病院は、墨田、江東、江戸川3区で唯一の救命救急センターを備える、東京都東部地区の中核病院だ。外来患者は1日平均約1400人。病院の外来入り口から緩いスロープを30メートルほど歩くと、細い道を挟んだ向かいに6店の薬局が目に入る。

目につく違いは看板の色ぐらい

「処方せん受付」「保険薬局」・・・・・・、掲げている内容はどこも同じで、目につく違いは看板の色ぐらいだ。男性は横断歩道をわたってすぐの、病院正門から最も近い薬局に入ったが、ひとえに「近さ」がここを選んだ理由だという。正門真正面の2店の薬局は、5~15人ぐらいの患者で待合室は満席が続いていた。他方で、少し奥まった立地だと、まばらな客入りの薬局もあった。

『週刊東洋経済』11月6日発売号(11月11日号)の特集は「薬局の正体 ―膨張する利権と薬学部バブル―」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

同じ薬局から出てきた70代の女性は病院への不満を募らせていた。「もう何年も通っているが、いつも処方箋をもらって薬局に行って、また会計で病院に戻るなど、行ったり来たりの繰り返しで疲れる。なぜ病院で全部済ませてくれないのかと、ずっと思っている」。

病院内にはこう掲示されている。「当院では厚生労働省が推進する医薬分業に沿い、原則、すべての外来患者さんに院外処方箋を発行し、お薬を院外の保険薬局でお受け取り頂いております」。

現在、日本全国の薬局数は約5万8000店。病院などとは異なり薬局の開設許可には需給面からの規制がなく、右肩上がりで増加している。同じく伸長しているコンビニの店舗数(約5万4000店)より多く、ガソリンスタンド(約3万2000店)や郵便局(約2万4000店)といった社会インフラをはるかに凌駕している。

『週刊東洋経済』は11月6日発売号(11月11日号)で「薬局の正体 ―膨張する利権と薬学部バブル―」を特集。コンビニを上回る数の薬局がなぜ潰れずにやっていけるのか。調剤報酬に基づく複雑な薬局ビジネスの儲けのカラクリを解剖し、薬局・薬剤師の今後の行方を展望している。

薬局急増の背景には、薬の処方は医師が、調剤は薬剤師が分担して行う「医薬分業」が、国策として強く推し進められてきたことがある。病院が院外処方箋を発行するようになると、それを目当てに病院の近隣に多くの「門前薬局」が林立するようになった。

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  • NO NAMEe3602c573c3b
    かかりつけ医だって藪医者だらけなのに、今度はかかりつけ薬局ですか。
    そもそも医者じゃない薬剤師が医療判断するようじゃ駄目でしょ。
    それこそAI導入して明らかにおかしい処方箋だと自動で通知するようにしたら良いのに。
    ドラッグストアの店員薬剤師もほとんど役に立ってないよね。
    市販薬の違いも説明できないと言うか抽象的過ぎて参考にならない。
    有効成分が同じで量も一緒で値段だけ違う薬の説明できる店員一度も会った事ないわ。
    up11
    down2
    2017/11/6 07:08
  • NO NAME97b5748fc8e3
    薬剤師に、リアルな商品としての薬の知識を得ているのが患者に分かる人がどれだけいるのだろう。柵から処方箋に書いてある薬を選んでくるだけの人が多すぎる。

    結局、薬剤師の資格は門前薬局や調剤ドラッグストアへの就職の為のキップとしてしか使われていない。

    up3
    down0
    2017/11/6 07:59
  • NO NAME1123d14e4097
    目薬や錠剤に対しても、高額な「調剤技術料」がかかる。下手をすると、薬の値段より高かったりする。

    で、薬局は何をするかというと、「どうされましたか?」などと聞いてくる。
    それはもう、医者に話して終わっているんだが? なんであんたにまた話さなくちゃいけない?
    up2
    down0
    2017/11/6 08:26
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