メルカリ年内上場 瀬戸際の攻防

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2017/11/6 7:11
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 メルカリ(東京・港)が年内に計画していた東京証券取引所への上場の延期が濃厚になった。スマートフォン向けのフリーマーケットアプリが爆発的に普及し、日本で唯一の「ユニコーン」(企業価値10億ドル以上の未上場企業)と期待されていた。資金決済法を巡り水面下の協議を続けてきた金融庁に加え、警察庁も難色を示しているという。今年最も注目されるスタートアップに何が起きているのか。

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■金融庁幹部「難しい」

 「(年内の上場は)難しいかもしれない」。金融庁の幹部は3日、こう話した。金融庁は、メルカリの上場申請を受けた東京証券取引所を通じて同社と水面下の協議を続けてきた。同幹部は、「協議は続けている。資金決済法に抵触するかどうか、実態把握に努めている」と話す。

 「紙幣1万円札5枚です。即日発送いたします!!5万9000円」。メルカリで現金が出品されて問題となったのは今年4月半ばのことだ。クレジットカードを使って1万円札を1万3000円で買えば、利子3000円で1万円を借りたのと同じことになる。キャッシング枠を使い切っていても、ショッピング枠で現金を手に入れることができる。メルカリは慌てて4月24日に現金の出品を禁止した。

 その後も1万円札を折り紙のようにして作った「魚のオブジェ」や、高額をチャージした「Suica(スイカ)」などの出品が続き、メルカリが禁止するといういたちごっこになった。

 だが金融庁の幹部が指摘しているのはこうした表面上の不正利用ではない。もっと根本的な問題だ。

 メルカリは、自分が物品を販売して得た売上金を、メルカリに預けておくことができる。売上金が1万円未満だと、引き出すのに210円の手数料がかかるため、1万円を超えるまでためておく人が多い。保管期限は1年間。そのお金で売買を繰り返す。これがクレジットカードや銀行口座を持たない若者にメルカリが爆発的に普及した理由の一つだ。

 このしくみが、資金決済法が定める「資金移動業者」にあてはまるとの指摘がある。資金移動業者は万が一経営不振に陥った場合などに備えて、預かっている資金の100%以上を金融庁に供託金として保全しなければならない。

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