安倍長期政権の「今後の切り札」とは何か

投資家目線で日本を見る目が変わるのは当然

安倍首相は将来消費増税を見送るのか。まだそれはわからない(撮影:尾形文繁)

10月22日の衆議院総選挙での与党勝利後、日本株市場は5%以上上昇し、日経平均株価は11月2日、2万2539円まで駆け上がった。1996年以来、21年ぶりの水準まで回復したことになる。

日本株が急騰した「真の理由」とは?

決算発表が本格化した米国株市場が最高値圏で上下する中で、米国長期金利の上昇そして円安の追い風が日本株の大幅高を後押しした。総選挙での与党勝利は事前にほぼ織り込まれており、国内要因で日本株が上昇した側面は小さかったと筆者はみているが、日本株の大幅高によって、TOPIX(東証株価指数)の年初来パフォーマンスは米国のS&P500をやや上回った。

9月に突然総選挙が決まり、野党の分裂など予想外の展開を経て総選挙への注目が集まった中で、日本株市場は16連騰を演じるなど大幅な株高となった。政治イベントの解釈は千差万別だからだろうが、今回の総選挙は「歴史的な出来事」と位置づける論者の見方がメディアで報じられている。

だが、9月から10月にかけての日本株の上昇は、それまでの米国など海外株対比でのアンダーパフォームを解消した側面が大きいと筆者はみている。日本株にとってネガティブな要因の中では、年初からの為替市場での円高が重石になっていたことが最大のものだっただろう。

ただ、9月以降米国経済の底堅さが増したことが明らかになり、さらにトランプ政権による減税政策への期待の高まりによって、為替市場でドル高が進み、円高リスクが和いだ。この外的環境の変化だけでも、米国株対比での出遅れを解消することで、日本株が大幅高となったのは不思議ではない。

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  • 質問者248cdde21b9f8
    まともな金融政策が、雇用環境改善や株高、長期政権など、政治経済の安定をもたらす、という内容に同意です。安倍政権は2013年を除いて緊縮的な財政政策ですが、(不充分ながらも)金融緩和を粘り強く続けている。
    逆に金融緩和を軽視したり、否定する政党や団体、個人などは政治経済の不安定化を目指している、とも言える。ほとんどの野党や大手メディアが、これに該当する悲劇。
    up4
    down2
    2017/11/6 07:40
  • NO NAMEddbc8d92a36b
    教育無償化は、子供が多い富裕層への、子供を持てない貧困層からの「逆再分配」

    また「いつもの」格差拡大政策によって、日本の経済格差は後進国なみに更に広がって行くだろう。
    up6
    down5
    2017/11/6 07:07
  • NO NAME30a0de91632f
    テレビ新聞野党と
    三位一体の総攻撃で見る間に支持率を落とした(そう見せた?)安倍政権の
    選挙勝利が事前に織り込まれていたとはとても思えない。
    後付けの理屈など簡単、数行で片付ける筆者の論説は結果論でしかない。
    up0
    down0
    2017/11/6 07:51
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